源泉徴収税額表(日額表)の見方(平成30年分)

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こんにちは。税理士のかわべです。

この記事では、源泉徴収税額表(日額表)の見方について、初心者向けになるべくわかりやすく記載したいと思います。

給与所得の源泉徴収税額表(平成30年分)日額表(PDF)

[lpwide color=”dark”]平成30年3月31日(土)に国税庁のサイトがリニューアルされ、リンクアドレスを更新しました。

頑張って作業をしていますが・・・リンク切れがあったらごめんなさいm(_ _)m

[/lpwide]

関連記事 月額表の見方については → 源泉徴収税額表(月額表)の見方(平成30年分)

関連記事 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の見方については → 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の見方(平成30年分)

[lpwide color=”lime”]源泉徴収税額表(月額表)、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表、Excelの源泉徴収税額表などは下記のリンク先からダウンロードできます。

平成30年分 源泉徴収税額表(サイト)

[/lpwide]

[aside type=”boader”]

【 この記事のポイント 】

● 源泉徴収税額表の見方がわかる

● 甲、乙、丙の違いがわかる

[/aside]

[aside type=”yellow”]

この記事は平成30年2月13日現在の情報に基づき作成しています。法令の改正等があるかも知れませんので、実際に源泉徴収事務を行う場合は、その時点の法令等を良くご確認ください。

なお、この記事では居住者に対して支払う給与を想定しています。

[/aside]
[aside type=”pink”]記事の中でも触れていますが、[emphasis]平成30年[/emphasis]から配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われたことに伴い、扶養親族等の数の求め方が変更されています。

LINK 平成29年4月 源泉所得税の改正のあらまし(PDF/4,068KB)

[/aside]


給与所得の源泉徴収税額表とは?

平成30年分-源泉徴収税額表の表紙の画像2

(国税庁;平成30年分 源泉徴収税額表(表紙)PDFより)

給与所得の源泉徴収税額表は、給与や賞与に対する源泉徴収税額を算出する表です。

LINK 国税庁;平成30年分 源泉徴収税額表(サイト)

給与所得の源泉徴収税額表の種類

給与所得の源泉徴収税額表には、次の3種類あり、給与の支払サイクル等によって使う表が異なります。

[aside type=”boader”]

● 月額表

● 日額表

● 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表

[/aside]

この記事では、3種類のうち二番目の「日額表」について取り上げます。

給与所得の源泉徴収税額表(平成30年分)日額表(PDF)

給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の対象となる給与等

「給与所得の源泉徴収税額表(日額表)」(以下、「源泉徴収税額表(日額表)」と表記。)の対象となる給与は次のとおりです。

[aside type=”boader”]

□ 働いたその日ごとに支払う給与

□ 一週間ごとに支払う給与

□ 日割り計算して支払う給与

[/aside]

(国税庁;No.2511 税額表の種類と使い方より)

h29_源泉徴収税額表_日額表の対象となる給与の画像

この記事では説明しませんが、月額表と賞与については、次のような給与等に使います。

● 月額表

h29_源泉徴収税額表_月額表の対象となる給与の画像

関連記事 源泉徴収税額表(月額表)の見方(平成30年分)

● 賞与

h29_源泉徴収税額表_賞与の画像

源泉徴収税額表(日額表)の見方

源泉徴収税額表(日額表)の基本

平成30年分-源泉徴収税額表(日額表)の見方-13

(国税庁;平成30年分 給与所得の源泉徴収税額表(日額表)(8~14ページ)(PDF)>4ページより)

源泉徴収税額表(日額表)は、大きく4つに区分されています。

[aside type=”boader”]

● 「その日の社会保険料控除後の給与等の金額」(左端の2列)(上の画像の紫色の枠囲み部分)

● 「甲」欄(扶養親族等の数により8列に区分。上の画像の赤色の枠囲み部分。)

● 「乙」欄(1列。上の画像の緑色の枠囲み部分。)

● 「丙」欄(1列。上の画像の水色の枠囲み部分。)

[/aside]

給与所得者のその日の給与と扶養親族等の状況を、ルールに従って源泉徴収税額表(日額表)の4つの区分にあてはめ、税額を算出する仕組みになっていますが、基本的な事項を説明する前に、簡単な例で税額を算出してみます。

給与所得の源泉徴収税額表(平成30年分)日額表(PDF)

税額を算出してみる

使い方はある程度、予想できるかと思いますが、ためしに、税額を算出してみましょう。

次のような条件を想定しました。

[aside type=”boader”]<条件>

□ その日の社会保険料控除後の給与等の金額 18,050円

□ 扶養控除等申告書の提出があり、扶養親族等の数は3人[/aside]

平成30年分-源泉徴収税額表(日額表)の見方-15

源泉徴収税額表(日額表)では、「その日の社会保険料控除後の給与等の金額」と「甲」(又は「乙」、「丙」)の交点が求める税額になります。

では、先ほどの条件で税額を算出してみます。

[flow]<ステップ1 その日の社会保険料控除後の給与等の金額が含まれる行を探す>

月額表で「その日の社会保険料控除後の給与等の金額」18,050円が含まれる行を探します。

→ 「18,000円以上、18,100円未満」の行(上の画像の水色の枠囲み部分)[/flow]

[sankaku][/sankaku]

[flow]<ステップ2 扶養親族等の数を特定>

扶養親族等の数3人に対応する列を特定します。

→ 「甲欄 3人」の列(上の画像の緑色の丸囲み部分)[/flow]

[sankaku][/sankaku]

[flow]<ステップ3 税額を算出>

ステップ1で探した行とステップ2で特定した列の交点が算出する税額になります。

この例では、「610円」[/flow]

税額を算出するために必要な事項

上記の例で税額を算出するためのイメージはつかめたかと思いますが、源泉徴収税額表(日額表)で税額を算出するためには、対象となる従業員について次の2つの事項を確認しておかなければいけません。

[aside type=”yellow”]

□ その日の社会保険料控除後の給与等の金額はいくらか?

□ 甲欄、乙欄、丙欄のいずれに該当するか?甲欄に該当する場合、扶養親族等の数は何人になるか?

[/aside]

それぞれどのように確認するかを解説します。

その日の社会保険料等控除後の給与等の金額とは?

「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」とは、『給与の金額から健康保険、厚生年金、雇用保険等の社会保険料等を控除した金額』です。(そのままです)

次に説明する「扶養親族等の数」よりは簡単に確認できますが、非課税の通勤手当など、源泉所得税額を算出する場合に計算に含めない手当てもありますので、Excel等でオリジナルの給与明細書を作成する場合などは、注意しましょう。

給与明細書で確認

h29_源泉徴収税額表(日額表)の見方_給与明細例

簡易的な給与明細書をExcelで再現してみました。

上の画像のピンク色の枠囲み部分(18,050円)が「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」になります。

残業手当や社会保険料の控除額によって毎日変わる可能性があります。(つまり、源泉徴収税額も毎日変わる可能性があります。)

[aside type=”pink”]

ポイントは、非課税通勤費を「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」に含めないこと。

上の画像の例では「小計」18,138円([emphasis]非課税通勤費を加算する前の金額[/emphasis])から「社会保険料」88円を差し引いて「その日の社会保険料控除後の金額」を算出しています。

[/aside]

「甲欄」に該当する場合の「扶養親族等の数」とは?

次に、源泉徴収税額表の「甲欄」を使用する場合の「扶養親族等の数」(0人~7人)について確認していきます。

「扶養親族等の数」は、その給与所得者の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(以下、「扶養控除等申告書」とする。)」を参考に算出しますので、手元に準備してから記事を読み進めてみてください。

扶養控除等申告書の提出がない場合は、「扶養親族等の数」を確認することができないため、源泉徴収税額表(日額表)の「乙」欄又は「丙」欄で税金を算出することになります。

[aside type=”yellow”]「乙」欄に該当する場合には基本的には扶養親族等の数は関係ありませんが、「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」の提出があった場合は、注意が必要です。

関連記事 2か所の勤務先から給与の支払いを受ける場合の従たる給与についての扶養控除等申告書[/aside]

「扶養親族等の数」の算出方法は次のとおりです。

(国税庁;平成30年版 源泉徴収のしかた(サイト)税額表の適用方法、税額の求め方>15ページより。一部中略、背景色は筆者。)

2 税額表の使い方

(中略)

(2) 税額表の甲欄は、給与等の支払を受ける人の扶養親族等の数に応じて使用するようになっています。

この「扶養親族等の数」とは、[keikou]源泉控除対象配偶者控除対象扶養親族(老人扶養親族又は特定扶養親族を含みます。)との合計数[/keikou]をいいます。また、給与等の支払を受ける人が、障害者(特別障害者を含みます。)、寡婦(特別の寡婦を含みます。)、寡夫又は勤労学生に該当する場合には、その一に該当するごとに扶養親族等の数に1人を加算し、その人の同一生計配偶者や扶養親族(年齢 16 歳未満の人を含みます。)のうちに障害者(特別障害者を含みます。)又は同居特別障害者に該当する人がいる場合には、[keikou]これらの一に該当するごとに扶養親族等の数に1人を加算した数を扶養親族等の数[/keikou]とします。

平成30年から「源泉控除対象配偶者げんせんこうじょたいしょうはいぐうしゃ」という新しい言葉が使われるようになりました。(それまでは「控除対象配偶者」。)源泉控除対象配偶者については次の記事を参考にしてみてください。

関連記事 平成30年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書に記載する源泉控除対象配偶者とは?

いろいろなケースがありますので、慎重に確認しましょう。

扶養控除等申告書を参照しながら、源泉控除対象配偶者の記載があるかどうか、配偶者以外の扶養親族の記載があるかどうか、障害者がいるかどうか等を確認し扶養親族等の数を算出します。

最初に配偶者について確認します。

配偶者に係る「扶養親族等の数」の数え方

繰り返しになりますが、平成30年より「源泉控除対象配偶者」という新しい言葉を使用することになりました。平成29年までとは、配偶者について扶養親族等の数の数え方が変更となっていますので、注意が必要です。
(国税庁;平成30年版 源泉徴収のしかた(サイト)税額表の適用方法、税額の求め方>15ページより。カラーの枠囲み線は筆者追記。)

平成30年分-源泉徴収税額表(月額表)の見方-配偶者に係る扶養親族等の数の数え方

● 所得者の合計所得金額が900万円以下、その配偶者の合計所得金額が85万円以下の場合

上の画像のとおり、給与等の支払を受ける人(所得者)の合計所得金額が[emphasis]900万円以下[/emphasis]で、その所得者の配偶者の合計所得金額が[emphasis]85万円以下[/emphasis]の場合は、(配偶者を)「1人」と数えます。(上の画像の赤色の枠囲み部分)

→ この場合、扶養控除等申告書の源泉控除対象配偶者の欄に配偶者の氏名等の記載があるはずです。

● 配偶者の合計所得金額38万円以下で配偶者が障害者に該当する場合

上の画像のとおり、給与等の支払を受ける人の合計所得金額に関係なく、配偶者の合計所得金額が[emphasis]38万円以下[/emphasis]でその配偶者が[emphasis]障害者に該当する場合[/emphasis]は、扶養親族等の数に「1人」を加算します。(上の画像の緑色の枠囲み部分)

→ この場合、給与等の支払を受ける人(所得者)の合計所得金額が900万円を超える場合は、扶養控除等申告書の源泉控除対象配偶者の欄に配偶者の氏名等の記載がないため、見落とさないように注意が必要です。

国税庁の「平成30年版 源泉徴収のしかた(PDF)」に図がありますので、引用しておきます。赤色の枠囲み部分が配偶者を1人(又は2人)と数えるケースになります。

(国税庁;平成30年版 源泉徴収のしかた(サイト)税額表の適用方法、税額の求め方>16ページより。カラーの枠囲み線は筆者追記。)

平成30年分-源泉徴収税額表(月額表)の見方-配偶者に係る扶養親族等の数の数え方2

配偶者以外の「扶養親族等の数」の数え方

次に配偶者以外の扶養親族について、「扶養親族等の数」の数え方を確認します。

(国税庁;《記載例》平成30年分給与所得者の扶養控除等申告書の記載例(PDF)(リンク切れ)より)

平成30年分-源泉徴収税額表(月額表)の見方-扶養控除等申告書の記載例

上記の記載例では、控除対象配偶者、扶養親族、障害者等の記載が多数あり、ちょっと複雑で初心者にはハードルが高いので、「平成30年版 源泉徴収のしかた(PDF)」に記載されている次の表を参考にもう少し簡単な例で解説していきます。

(国税庁;平成30年版 源泉徴収のしかた(サイト)税額表の適用方法、税額の求め方>16ページより。)

平成30年分-配偶者以外の扶養親族等の数の数え方

□ (配偶者以外の)扶養親族等の数が「0人」になる場合(下の画像の水色の枠囲み部分)

平成30年分-配偶者以外の扶養親族等の数の数え方2

最初に配偶者以外の扶養親族等の数が「0人」となるケースを確認しておきます。

扶養控除等申告書に給与の支払を受ける人(所得者)のみが記載され、その所得者が障害者等に該当しない場合あれば扶養親族等の数は「0人」となります。

また、扶養控除等申告書に所得者以外に「年齢16歳未満の人(年少扶養親族)」だけが記載されているケースも扶養親族等の数は「0人」となります。これは、上の画像の緑色の枠囲み部分の注書きのとおり、原則として16歳未満の人(年少扶養親族)は扶養親族等の数には加算しないためです。

ただし、この16歳未満の人(年少扶養親族)が障害者に該当する場合は異なります。 →  障害者に該当する場合は、上の画像のとおり「1人」となり、同居特別障害者に該当する場合は「2人」となります。(上の画像の「1人」又は「2人」の図で確認してみてください。)

□ (配偶者以外の)扶養親族等の数が「2人」になる場合(下の画像のピンク色の枠囲み部分)

平成30年分-配偶者以外の扶養親族等の数の数え方3

次に配偶者以外の扶養親族等の数が「2人」となるケースを確認してみます。

所得者に「控除対象扶養親族(扶養親族のうち年齢16歳以上の人)が1人いる」というケースでは、(配偶者以外の)扶養親族等の数は「1人」となりますが、その所得者が寡婦(特別の寡婦)又は寡夫に該当するような場合は、(配偶者以外の)扶養親族等の数は「2人」となります。

また、所得者に「控除対象配偶者と扶養親族のうち年齢16歳未満の人(年少扶養親族)が1人いるケース」で、その年少扶養親族が[emphasis]同居特別障害者[/emphasis]に該当するケースも、扶養親族等の数は「2人」となります。これは、年少扶養親族は扶養親族等の数には含めませんが、障害者に該当する場合は「1人」、同居特別障害者に該当する場合は「2人」を加算するというルールになっているためです。

[aside type=”pink”]

障害者や寡婦に該当する場合は、「1人」を加算することに気をつけましょう。

16歳未満の人(年少扶養親族)が障害者に該当する場合はさらに注意が必要です。

[/aside]

「乙欄」に該当する場合

従業員から扶養控除等申告書の提出がない場合は、源泉徴収税額表(日額表)の乙欄又は丙欄で税額を算出します。

最初に乙欄について解説します。

源泉徴収税額表(日額表)の乙欄を適用する給与とは?

従業員から扶養控除等申告書の提出がない場合で、日雇い給与に[emphasis]該当しない[/emphasis]場合は、源泉徴収税額表の「乙欄」によって税額を算出します。(「日雇い給与」については、次の「丙欄に該当する場合」のパラグラフで説明いたします。)

[aside type=”yellow”]「乙」欄に該当する場合には基本的には扶養親族等の数は関係ありませんが、「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」の提出があった場合は、注意が必要です。

関連記事 2か所の勤務先から給与の支払いを受ける場合の従たる給与についての扶養控除等申告書[/aside]

源泉徴収税額表(日額表)の乙欄での求め方

たとえば「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が8,000円で扶養控除等申告書の提出がない場合は、つぎの画像のとおり税額は「1,120円」となります。

平成30年分-源泉徴収税額表(日額表)の見方-17

「丙欄」に該当する場合

従業員から扶養控除等申告書の提出がない場合で、日雇い給与に該当する場合は、「丙欄」で税額を算出しますが、どのような給与が日雇い給与に該当するかを慎重に判断しなければなりません。

源泉徴収税額表(日額表)の丙欄を適用する給与(日雇い給与)とは?

源泉徴収税額表(日額表)の丙欄を適用する給与は、「労働した日又は時間によって算定され、かつ、労働した日ごとに支払を受ける給与」で一定のもの(※)です。

e-Gov法令検索所得税法>185条より)

(賞与以外の給与等に係る徴収税額)
第百八十五条 次条に規定する賞与以外の給与等について第百八十三条第一項(源泉徴収義務)の規定により徴収すべき所得税の額は、次の各号に掲げる給与等の区分に応じ当該各号に定める税額とする
(中略)
三 労働した日又は時間によつて算定され、かつ、労働した日ごとに支払を受ける給与等で政令で定めるもの その給与等の金額に応じ、別表第三の丙欄に掲げる税額

ざっくり言うと「日雇い給与は丙欄」と考えて良いですが、日雇い給与とは何かについては、慎重に判断する必要があります。以下、施行令と通達を引用しておきますので、参考にしてください。

※ 一定のものについては次を参照

e-Gov法令検索所得税法施行令>309条

(日払の給与等の意義)
第三百九条  法第百八十五条第一項第三号 (賞与以外の給与等に係る徴収税額)に規定する政令で定める給与等は、日日雇い入れられる者が支払を受ける給与等(一の給与等の支払者から継続して二月をこえて支払を受ける場合におけるその二月をこえて支払を受けるものを除く。)とする。

通達(所得税法基本通達;法第183条《源泉徴収義務》関係より)

(日額表丙欄を適用する給与等に対する税額の計算)

185-8 法第185条第1項第3号の規定は、労働した日又は時間によって算定され、かつ、労働した日ごとに支払われる給与等で令第309条《日払の給与等の意義》に規定するもののほか、次に掲げる給与等についても適用があるものとする。この場合において、次に掲げる給与等を支払う際に徴収する税額は、労働した日ごとの給与等の額につき法別表第3の丙欄を適用して計算した税額の合計額となることに留意する。(昭49直所2-23、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平19課法9-9、課個2-20、課審4-32改正)

(1) 日々雇い入れられる者の労働した日又は時間により算定される給与等で、その労働した日以外の日において支払われるもの(令第309条かっこ内の規定に該当するものを除く。)

(2) あらかじめ定められた雇用契約の期間が2月以内の者に支払われる給与等で、労働した日又は時間によって算定されるもの(雇用契約の期間の延長又は再雇用により継続して2月を超えて雇用されることとなった者に当該2月を超える部分の期間につき支払われる給与等を除く。)

源泉徴収税額表(日額表)の丙欄での求め方(日雇いのケース)

たとえば「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が8,000円の日雇い給与については、つぎの画像のとおり税額が「0円」となります。

 平成30年分-源泉徴収税額表(日額表)の見方-18

[aside type=”boader”]★ いろいろな算出方法を確認する前にちょっと休憩 ★

源泉徴収税額表の見方がなんとなくわかってきましたか?なかなか難しいですよね。

でも心配いりません。

実務では給与計算用のソフトウェアを使って処理するのが一般的なので、表の見方がわからなくても、基本的な設定さえ間違えなければソフトウェアが自動で計算してくれます。(じゃあ、この記事を読まなくても・・・なんて思わないでくださいね。基本は大事です。)

ソフトウェアはそこそこ有名な会社のものであれば、機能はほぼ一緒なので、どこの会社のものを使っても問題ありません。

私のクライアントの中ではfreee人事労務の人気が高いです。

一般的な給与計算のソフトウェアでは当たり前の機能となっていますが、年末調整やマイナンバー管理の機能もあります。

このソフトウェアの特徴は、[keikou]無料でお試し[/keikou]ができるところです。(とりあえず使ってみるでも良いかも知れません。サポートもなかなか充実していますよ。)

クラウド会計ソフトではfreeeと人気を二分するMFクラウドシリーズも忘れてはいけません。MFクラウドシリーズにも「【公式サイト】MFクラウド」シリーズに「MFクラウド給与」という給与計算システムがあります。

(公式サイト⇒サービス一覧⇒MFクラウド給与を選択してください。)

こちらも[keikou]無料[/keikou]のお試しがあります。

よく「クラウドのシステムを使うならどっちがいいの?」と聞かれるのですが、ソフトは[emphasis]慣れ[/emphasis]なので、クラウドにこだわるなら上記2つのどちらでも良いかと。(どっちも良くできていると思います。それぞれ同系列のシステムとの連携もいいですよ。)

[/aside]

いろいろな算出方法

いくつかの具体例で源泉徴収税額表の見方を説明していきます。

甲欄の場合

「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が2,900未満の場合

「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が2,900円未満の場合で扶養控除等申告書の提出がある場合(つまり税額表の「甲欄」で税額を算出する場合)は、扶養親族等の数にかかわらず税額は0円となります。(下の画像の赤色の枠囲み部分)

平成30年分-源泉徴収税額表(日額表)の見方-19

給与所得が高額(28,000円超)の場合

源泉徴収税額表(日額表)は28,000円を超えるとちょっと様式が変わってきます。28,000円以下のケースでは行と列の交点で税額を算出しましたが、28,000円を超えると「率による計算」が加わります。平成30年分-源泉徴収税額表(日額表)の見方-21

たとえば、「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が30,000円、扶養親族等の数が2人の場合は次のようになります。

[aside type=”boader”](a) 28,000円の扶養親族等の数が2人の税額 2,610円(上の画像の薄緑色の丸囲み部分)

(b) 28,000円を超える金額に対する税額(計算方法は上の画像の赤色の枠囲み部分)

(30,000-28,000)×23.483%=469.66円→469円

(c) 算出する税額 (a) + (b) = 3,079円[/aside]

扶養親族等の数が8人以上になるケース

かなり珍しいケースですが、扶養親族等の数ば8人以上になる場合は、つぎのように算出します。

(国税庁;給与所得の源泉徴収税額表(平成30年分)日額表(PDF)>14ページ>備考(1)~(3)より。背景色は筆者追記。)

1 「給与所得者の扶養控除等申告書」(以下この表において「扶養控除等申告書」といいます。)の提出があった人
⑴ まず、その人のその日の給与等の金額から、その給与等の金額から控除される社会保険料等の金額を控除した金額を求めます。

⑵ 次に、扶養控除等申告書により申告された扶養親族等(扶養親族等が国外居住親族である場合には、親族に該当する旨を証する書類が扶養控除等申告書に添付され、又は当該書類が扶養控除等申告書の提出の際に提示された扶養親族等に限ります。)の数が7人以下である場合には、⑴により求めた金額に応じて「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄の該当する行を求め、その行と扶養親族等の数に応じた甲欄の該当欄との交わるところに
記載されている金額を求めます。これが求める税額です。

⑶ 扶養控除等申告書により申告された扶養親族等の数が7人を超える場合には、[keikou]⑴により求めた金額に応じて、扶養親族等の数が7人であるものとして⑵により求めた税額から、扶養親族等の数が7人を超える1人ごとに50円を控除した金額を求めます。[/keikou]これが求める税額です。
(以下、省略)

たとえば、「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が22,900円で扶養親族等の数が9人の場合。

[aside type=”boader”](d) 「扶養親族等の数が7人であるもの」として税額 625円(下の画像の薄緑色の丸部分

(e) 扶養親族等の数は9人ですので、7人を超える2人分 100円(2×50円)

(f) 算出する税額 (d) - (e) = 525円[/aside]

平成30年分-源泉徴収税額表(日額表)の見方-23

乙蘭の場合

その日の社会保険料等控除後の給与等の金額が2,900円未満の場合

「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が2,900円未満の場合で扶養控除等申告書の提出がなく日雇い給与ではない場合(つまり税額表の「乙」欄で税額を算出する場合)は、一定の率「3.063%」をかけて算出します。

平成30年分-源泉徴収税額表(日額表)の見方-24

たとえば、「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が2,000円で扶養控除等申告書の提出がなく日雇い給与ではない場合。

[aside type=”boader”](税額)2,000円×3.063%=61.26→61円[/aside]

給与所得が高額(28,000円超)の場合

源泉徴収税額表(日額表)は28,000円を超える場合は、率による計算が加わります。

平成30年分-源泉徴収税額表(日額表)の見方-25

たとえば、「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が30,000円で扶養控除等申告書の提出がなく日雇い給与ではない場合。

[aside type=”boader”](税額)10,350 +(30,000-28,000)× 40.84%=11,166.8 → 11,166円[/aside]

従たる扶養控除等申告書の提出があった場合

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に似た申告書で「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」という申告書があります。この申告書の提出があった場合の税額の算出方法については、次の記事を参考にしてみてください。

関連記事 2か所の勤務先から給与の支払いを受ける場合の従たる給与についての扶養控除等申告書

丙蘭の場合

その日の社会保険料等控除後の給与等の金額が2,900円未満の場合

「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が2,900円未満の日雇い給与の場合は、税額は0円となります。

平成30年分-源泉徴収税額表(日額表)の見方-26

給与所得が高額(28,000円超)の場合

源泉徴収税額表(日額表)は28,000円を超える場合は、率による計算が加わります。

平成30年分-源泉徴収税額表(日額表)の見方-27

たとえば、「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が30,000円で日雇い給与の場合。

[aside type=”boader”](税額)1,386+(30,000-28,000)× 20.42%=1,794.4 → 1,794円[/aside]

源泉徴収税額表の準備

源泉徴収税額表は、年末に年末調整資料と一緒に新しい税額表が送られてきますが、国税庁の次のページからダウンロードすることもできます。PDF版のLINKを貼りましたが、Excel版もあります。

(国税庁;平成30年分 源泉徴収税額表(サイト)より)

給与所得の源泉徴収税額表(平成30年分)日額表(PDF)


■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■

日雇い給与については、「継続して2か月を超えて雇用」というのが問題になるケースが多いようで、裁決もあります。気になる人は、「日雇い 裁決」で検索してみてください。