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こんにちは。税理士のかわべです。
この記事では、源泉徴収税額表(月額表)の見方について、初心者向けになるべくわかりやすく記載したいと思います。
■ LINK 国税庁;平成30年分 源泉徴収税額表(サイト) WEB
■ LINK 国税庁;給与所得の源泉徴収税額表(平成30年分)月額表(PDF) PDF
※ 平成30年分の源泉徴収税額表の「日額表」と「賞与」については、次の記事をお読みください。
■ 関連記事 源泉徴収税額表(日額表)の見方(平成30年分)
■ 関連記事 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の見方(平成30年分)
【 この記事のポイント 】
- 源泉徴収税額表の見方がわかる
- 甲、乙の違いがわかる
(賞与に対する源泉徴収税額の算出に月額表を使うケースもありますが、この記事では説明していません。)
この記事は、平成30年1月8日現在の情報に基づき作成しています。法令の改正等があるかも知れませんので、実際に源泉徴収事務を行う場合は、その時点の法令等を良くご確認ください。
なお、この記事では居住者に対して支払う給与を想定しています。
記事の中でも触れていますが、平成30年から配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われたことに伴い、扶養親族等の数の求め方が変更されています。
■ LINK 平成29年4月 源泉所得税の改正のあらまし(PDF/4,068KB) PDF
● 参考 e-Gov>法令検索;所得税法 WEB
● 参考 国税庁;No.2502 源泉徴収義務者とは WEB
● 参考 国税庁;平成30年版 源泉徴収のしかた WEB
● 参考 国税庁;平成30年分 源泉徴収税額表 WEB
給与所得の源泉徴収税額表とは?
(国税庁;平成30年分 源泉徴収税額表(表紙)PDFより)
給与所得の源泉徴収税額表は、給与や賞与に対する源泉徴収税額を算出する表です。
LINK 国税庁;平成30年分 源泉徴収税額表(サイト)
給与所得の源泉徴収税額表の種類
給与所得の源泉徴収税額表には、次の3種類あり、給与の支払サイクル等によって使う表が異なります。
[aside type=”boader”]● 月額表
● 日額表
● 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表
[/aside]この記事では、3種類のうち「月額表」について取り上げます。
[aside type=”pink”]給与ソフトで給与計算をすると、この給与所得の源泉徴収税額表(月額表)で算出した税額と一致しない場合があります。これは、電算計算機を利用して給与所得者の源泉徴収税額を算出する場合には特例が認められているからです。(「差」については、年末調整等で調整されるので問題ないとのこと。)
平成30年分の計算式については、次の国税庁のPDFファイルを参照してください。
LINK 月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例について【平成30年1月から平成31年(2019年)12月まで分】(PDF/188KB)
※ 乙欄には特例はありませんが、電算機計算を利用する場合についての計算式が公開されています。
LINK 月額表の乙欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算について【平成29年1月から平成31年(2019年)12月まで分】(PDF/166KB)
[/aside]
給与所得の源泉徴収税額表(月額表)の対象となる給与等
「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」(以下、「源泉徴収税額表(月額表)」と表記。)は、月給に対する源泉所得税を計算するために使います。
この「源泉徴収税額表(月額表)」の対象となる給与は次のとおりです。
[aside type=”boader”]□ 毎月支払う給与
□ 月や旬を単位にして支払う給与(半月ごと、10日ごと、3か月ごと、半年ごとなど)
[/aside](国税庁;No.2511 税額表の種類と使い方より)
[aside type=”pink”]半月ごと、10日ごとなどの給与支払いにも使用することに注意しましょう。また、月給であっても日割りで支払う場合には、日額表を基準に計算します。
[/aside]この記事では説明しませんが、日額表と賞与については、次のような給与等に使います。
● 日額表
関連記事 日額表の見方については → 源泉徴収税額表(日額表)の見方(平成29年分)
● 賞与
源泉徴収税額表(月額表)の見方
源泉徴収税額表(月額表)の基本
(国税庁;平成30年分 給与所得の源泉徴収税額表(月額表)(1~7ページ)(PDF)>4ページより。クリックすると別窓で表示されます。)
源泉徴収税額表(月額表)は、大きく3つに区分されています。
[aside type=”boader”]● 「その月の社会保険料控除後の給与等の金額」(左端の2列。上の画像の紫色の枠囲み部分。)
● 「甲」欄(扶養親族等の数により8列に区分。上の画像の赤色の枠囲み部分。)
● 「乙」欄(1列。上の画像の緑色の枠囲み部分。)
[/aside]給与所得者のその月の給与と扶養親族等の状況を、ルールに従って源泉徴収税額表(月額表)の3つの区分にあてはめ、税額を算出する仕組みになっていますが、以下、順を追って基本的なことを解説していきます。
税額を算出してみる
使い方はある程度、予想できるかと思いますが、ためしに、税額を算出してみましょう。
次のような条件を想定しました。
<条件>
□ その月の社会保険料控除後の給与等の金額 321,256円
□ 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の提出があり、扶養親族等の数は2人
源泉徴収税額表(月額表)では、「その月の社会保険料控除後の給与等の金額」と「甲」(又は「乙」)の交点が求める税額になります。では、先ほどの条件で税額を算出してみます。
[flow]<ステップ1 その月の社会保険料控除後の給与等の金額が含まれる行を探す>月額表で「その月の社会保険料控除後の給与等の金額」321,256円が含まれる行を探します。
→ 「320,000円以上、323,000円未満」の行(上の画像の水色の枠囲み部分)[/flow] [sankaku][/sankaku] [flow]<ステップ2 扶養親族等の数を特定>
扶養親族等の数2人に対応する列を特定します。
→ 「甲欄 2人」の列(上の画像の緑色の丸囲み部分)[/flow] [sankaku][/sankaku] [flow]<ステップ3 税額を算出>
ステップ1で探した行とステップ2で特定した列の交点が算出する税額になります。
この例では、「5,980円」[/flow]
税額を算出するために必要な事項
上記の例で税額を算出するためのイメージはつかめたかと思いますが、源泉徴収税額表(月額表)で税額を算出するためには、給与を支給する従業員について次の2つの事項を確認しておかなければいけません。
[aside type=”yellow”]□ その月の社会保険料控除後の給与等の金額はいくらか?
□ 甲欄、乙欄のいずれに該当するか?甲欄に該当する場合、扶養親族等の数は何人になるか?
[/aside]それぞれどのように調べるかを解説します。
その月の社会保険料等控除後の給与等の金額とは?
「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」とは、給与の金額から健康保険、厚生年金、雇用保険等の社会保険料等を控除した金額です。(そのままです)
この後に説明する「扶養親族等の数」よりはシンプルで理解しやすいかと思いますが、非課税通勤手当など、源泉所得税額を算出する場合に計算に含めない手当てもありますので、Excel等でオリジナルの給与明細書を作成する場合などは、注意しましょう。
給与明細書で確認
簡易的な給与明細書をExcelで再現してみました。
上の画像のA「課税支給額合計」(赤丸)からB「社会保険料合計」(緑丸)を差し引いた金額が「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」になります。(黄色の背景色の金額)
残業手当や社会保険料の控除額によって毎月変わる可能性がありますので、源泉徴収税額も毎月一定ではありません。
[aside type=”pink”]ポイントは、非課税通勤費を「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」に含めないこと。
上の画像の例では「課税支給合計」(非課税通勤費を加算する前の金額)から「社会保険料合計」を差し引いて「その月の社会保険料控除後の金額」を算出しています。
また、年末調整の還付額や給与計算とは関係のない立替経費の振込み等を「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」に含めないようにしましょう。
[/aside]源泉徴収簿で確認
(国税庁;平成30年分給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿(PDF)(リンク切れ)より。画像をクリックすると別窓で源泉徴収簿(PDF)が表示されます。)
上の画像は、国税庁で配布している源泉徴収簿です。
総支給金額(上の画像の「A」)には、給与、諸手当などの合計を記載しますが、非課税の通勤手当を除いて記載します。
(その他、給与計算に含めないものは、LINK 国税庁;平成30年版 源泉徴収のしかた(サイト)>給与所得の範囲(PDF)を参照してください。)
源泉徴収簿のその月の「社会保険料等控除後の給与等の金額」は、総支給金額(上の画像の「A」)から社会保険料等の控除額(上の画像の「B」)を差し引いた金額となります。
「甲欄」に該当する場合の「扶養親族等の数」とは?
次に、源泉徴収税額表の「甲欄」を使用する場合の「扶養親族等の数」(0人~7人)について確認していきます。
「扶養親族等の数」は、従業員から提出された「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下、「扶養控除等申告書」と記載します。)」を参考に算出しますので、手元に準備してから記事を読み進めてみてください。
この扶養控除等申告書の提出がない場合は、「扶養親族等の数」を確認することができないため、源泉徴収税額表(月額表)の「乙」欄で税金を算出することになります。
[aside type=”yellow”]「乙」欄に該当する場合には、基本的に扶養親族等の数は関係ありませんが、「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」の提出があった場合は、注意が必要です。関連記事 2か所の勤務先から給与の支払いを受ける場合の従たる給与についての扶養控除等申告書[/aside]
「扶養親族等の数」の算出方法は次のとおりです。
(国税庁;平成30年版 源泉徴収のしかた(サイト)>税額表の適用方法、税額の求め方>15ページより。一部中略、背景色は筆者。)
2 税額表の使い方
(中略)
(2) 税額表の甲欄は、給与等の支払を受ける人の扶養親族等の数に応じて使用するようになっています。
この「扶養親族等の数」とは、源泉控除対象配偶者と控除対象扶養親族(老人扶養親族又は特定扶養親族を含みます。)との合計数をいいます。また、給与等の支払を受ける人が、障害者(特別障害者を含みます。)、寡婦(特別の寡婦を含みます。)、寡夫又は勤労学生に該当する場合には、その一に該当するごとに扶養親族等の数に1人を加算し、その人の同一生計配偶者や扶養親族(年齢 16 歳未満の人を含みます。)のうちに障害者(特別障害者を含みます。)又は同居特別障害者に該当する人がいる場合には、これらの一に該当するごとに扶養親族等の数に1人を加算した数を扶養親族等の数とします。
平成30年から「源泉控除対象配偶者」という新しい言葉が使われるようになりました。(それまでは「控除対象配偶者」。)源泉控除対象配偶者については次の記事を参考にしてみてください。
関連記事 平成30年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書に記載する源泉控除対象配偶者とは?
扶養控除等申告書を参照しながら、源泉控除対象配偶者の記載があるかどうか、配偶者以外の扶養親族の記載があるかどうか、障害者がいるかどうか等を確認し扶養親族等の数を算出します。
最初に配偶者について確認します。
配偶者に係る「扶養親族等の数」の数え方
繰り返しになりますが、平成30年より「源泉控除対象配偶者」という新しい言葉を使用することになりました。平成29年までとは、配偶者について扶養親族等の数の数え方が変更となっていますので、注意が必要です。
(国税庁;平成30年版 源泉徴収のしかた(サイト)>税額表の適用方法、税額の求め方>15ページより。カラーの枠囲み線は筆者追記。)
● 所得者の合計所得金額が900万円以下、その配偶者の合計所得金額が85万円以下の場合
上の画像のとおり、給与等の支払を受ける人(所得者)の合計所得金額が900万円以下でその所得者の配偶者の合計所得金額が85万円以下の場合は、(配偶者を)「1人」と数えます。(上の画像の赤色の枠囲み部分)
→ この場合、扶養控除等申告書の源泉控除対象配偶者の欄に配偶者の氏名等の記載があるはずです。
● 配偶者の合計所得金額38万円以下で配偶者が障害者に該当する場合
上の画像のとおり、給与等の支払を受ける人の合計所得金額に関係なく、配偶者の合計所得金額が38万円以下でその配偶者が障害者に該当する場合は、扶養親族等の数に「1人」を加算します。(上の画像の緑色の枠囲み部分)
→ この場合、給与等の支払を受ける人(所得者)の合計所得金額が900万円を超える場合は、扶養控除等申告書の源泉控除対象配偶者の欄に配偶者の氏名等の記載がないため、見落とさないように注意が必要です。
国税庁の「平成30年版 源泉徴収のしかた(PDF)」に図がありますので、引用しておきます。赤色の枠囲み部分が配偶者を1人(又は2人)と数えるケースになります。
(国税庁;平成30年版 源泉徴収のしかた(サイト)>税額表の適用方法、税額の求め方>16ページより。カラーの枠囲み線は筆者追記。)
配偶者以外の「扶養親族等の数」の数え方
次に配偶者以外の扶養親族について、「扶養親族等の数」の数え方を確認します。
(国税庁;《記載例》平成30年分給与所得者の扶養控除等申告書の記載例(PDF)(リンク切れ)より)
上記の記載例では、控除対象配偶者、扶養親族、障害者等の記載が多数あり、ちょっと複雑で初心者にはハードルが高いので、「平成30年版 源泉徴収のしかた(PDF)」に記載されている次の表を参考にもう少し簡単な例で解説していきます。
(国税庁;平成30年版 源泉徴収のしかた(サイト)>税額表の適用方法、税額の求め方>16ページより。)
□ (配偶者以外の)扶養親族等の数が「0人」になる場合(下の画像の水色の枠囲み部分)
最初に配偶者以外の扶養親族等の数が「0人」となるケースを確認しておきます。
扶養控除等申告書に給与の支払を受ける人(所得者)のみが記載され、その所得者が障害者等に該当しない場合あれば扶養親族等の数は「0人」となります。
また、扶養控除等申告書に所得者以外に「年齢16歳未満の人(年少扶養親族)」だけが記載されているケースも扶養親族等の数は「0人」となります。これは、下の画像の緑色の枠囲み部分の注書きのとおり、原則として16歳未満の人(年少扶養親族)は扶養親族等の数には加算しないためです。
ただし、この16歳未満の人年少扶養親族が障害者に該当する場合は異なります。 → 障害者に該当する場合は、下の画像のとおり「1人」となり、同居特別障害者に該当する場合は「2人」となります。(下の画像の「1人」又は「2人」の図で確認してみてください。)
□ (配偶者以外の)扶養親族等の数が「2人」になる場合(下の画像のピンク色の枠囲み部分)
次に配偶者以外の扶養親族等の数が「2人」となるケースを確認してみます。
所得者に「控除対象扶養親族(扶養親族のうち年齢16歳以上の人)が1人いる」というケースでは、(配偶者以外の)扶養親族等の数は「1人」となりますが、その所得者が寡婦(特別の寡婦)又は寡夫に該当するような場合は、(配偶者以外の)扶養親族等の数は「2人」となります。
また、所得者に「控除対象配偶者と扶養親族のうち年齢16歳未満の人(年少扶養親族)が1人いる」ケースで、その年少扶養親族が[emphasis]同居特別障害者[/emphasis]に該当するケースも、扶養親族等の数は「2人」となります。これは、年少扶養親族は扶養親族等の数には含めませんが、障害者に該当する場合は「1人」、同居特別障害者に該当する場合は「2人」を加算するというルールになっているためです。
[aside type=”pink”]障害者や寡婦に該当する場合は、「1人」を加算することに気をつけましょう。
[/aside]「乙欄」に該当する場合
従業員から扶養控除等申告書の提出がない場合は、源泉徴収税額表(月額表)の「乙欄」で税額を算出します。
たとえば、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が180,000円で扶養控除等申告書の提出がない場合は、上の画像のとおり税額は「13,900円」となります。
[aside type=”pink”]「乙」欄に該当する場合には基本的には扶養親族等の数は関係ありませんが、「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」の提出があった場合は、注意が必要です。関連記事 2か所の勤務先から給与の支払いを受ける場合の従たる給与についての扶養控除等申告書[/aside] [aside type=”boader”]★ いろいろな算出方法を確認する前にちょっと休憩 ★
源泉徴収税額表の見方がなんとなくわかってきましたか?なかなか難しいですよね。
でも心配いりません。
実務では給与計算用のソフトウェアを使って処理するのが一般的なので、表の見方がわからなくても、基本的な設定さえ間違えなければソフトウェアが自動で計算してくれます。(じゃあ、この記事を読まなくても・・・なんて思わないでくださいね。基本は大事です。)
ソフトウェアはそこそこ有名な会社のものであれば、機能はほぼ一緒なので、どこの会社のものを使っても問題ありません。
私のクライアントの中ではfreee人事労務の人気が高いです。
一般的な給与計算のソフトウェアでは当たり前の機能となっていますが、年末調整やマイナンバー管理の機能もあります。
このソフトウェアの特徴は、[keikou]無料でお試し[/keikou]ができるところです。(とりあえず使ってみるでも良いかも知れません。サポートもなかなか充実していますよ。)
クラウド会計ソフトではfreeeと人気を二分するMFクラウドシリーズも忘れてはいけません。MFクラウドシリーズにも「【公式サイト】MFクラウド」シリーズに「MFクラウド給与」という給与計算システムがあります。
(公式サイト⇒サービス一覧⇒MFクラウド給与を選択してください。)
こちらも[keikou]無料[/keikou]のお試しがあります。
よく「クラウドのシステムを使うならどっちがいいの?」と聞かれるのですが、ソフトは[emphasis]慣れ[/emphasis]なので、クラウドにこだわるなら上記2つのどちらでも良いかと。(どっちも良くできていると思います。それぞれ同系列のシステムとの連携もいいですよ。)
[/aside]いろいろな算出方法
ちょっと特殊なケースでの源泉徴収税額表の見方を説明しておきます。
甲欄の場合
「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が88,000未満の場合
「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が88,000円未満の場合で扶養控除等申告書の提出がある場合(つまり税額表の「甲」欄で税額を算出する場合)は、扶養親族等の数にかかわらず税額は0円となります。
給与所得が高額(86万円超)の場合
源泉徴収税額表(月額表)は86万円を超えるとちょっと様式が変わってきます。86万円以下のケースでは行と列の交点で税額を算出しましたが、率による計算が加わります。
たとえば、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が100万円、扶養控除等申告書の提出があり扶養親族等の数が0人の場合は次のようになります。
[aside type=”boader”](a) 970,000円の扶養親族等の数0人の税額 123,190円(b) 970,000円を超える金額に対する税額(計算方法は上の画像の赤色の枠囲み部分)
(1,000,000-970,000)×33.693%=10,107.9円→10,107円
(c) 算出する税額 (a) + (b) = 133,297円[/aside]
扶養親族等の数が8人以上になるケース
かなり珍しいケースですが、扶養親族等の数ば8人以上になることがあります。その場合はつぎのように算出します。
(国税庁;給与所得の源泉徴収税額表(平成30年分)月額表(PDF)>7ページ>備考(1)~(3)より。背景色は筆者追記。)
⑴ まず、その人のその月の給与等の金額から、その給与等の金額から控除される社会保険料等の金額を控除した金額を求めます。
⑵ 次に、扶養控除等申告書により申告された扶養親族等(扶養親族等が国外居住親族である場合には、親族に該当する旨を証する書類が扶養控除等申告書に添付され、又は当該書類が扶養控除等申告書の提出の際に提示された扶養親族等に限ります。)の数が7人以下である場合には、⑴により求めた金額に応じて「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄の該当する行を求め、その行と扶養親族等の数に応じた甲欄の該当欄との交わるところに記載されている金額を求めます。これが求める税額です。
⑶ 扶養控除等申告書により申告された扶養親族等の数が7人を超える場合には、⑴により求めた金額に応じて、扶養親族等の数が7人であるものとして⑵により求めた税額から、扶養親族等の数が7人を超える1人ごとに1,610円を控除した金額を求めます。これが求める税額です。
たとえば、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が452,000円で扶養控除等申告書の提出があり、扶養親族等の数が9人の場合。
[aside type=”boader”](d) 「扶養親族等の数が7人であるもの」として税額 3,290円(下の画像の赤丸部分)
(e) 扶養親族等の数は9人ですので、7人を超える2人分 3,220円(2×1,610円)
(f) 算出する税額 (d) - (e) = 70円[/aside]
乙蘭の場合
その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が88,000円未満の場合
「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が88,000円未満の場合で扶養控除等申告書の提出がない場合(つまり税額表の「乙」欄で税額を算出する場合)は、一定の率「3.063%」をかけて算出します。
たとえば、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が50,000円で扶養控除等申告書の提出がない場合。
[aside type=”boader”](税額)50,000円×3.063%=1,531.5→1,531円[/aside]給与所得が高額(86万円超)の場合
源泉徴収税額表(月額表)は86万円を超える場合も、88,000円未満と同じく率による計算が加わります。
たとえば、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が950,000円で扶養控除等申告書の提出がない場合。
[aside type=”boader”](税額)320,900+(950,000-860,000)×40.84%=357,656円[/aside]従たる扶養控除等申告書の提出があった場合
甲と乙の違いのパラグラフでも触れましたが、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に似た申告書で「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」という申告書があります。この申告書の提出があった場合の税額の算出方法については、次の記事を参考にしてみてください。
関連記事 2か所の勤務先から給与の支払いを受ける場合の従たる給与についての扶養控除等申告書
源泉徴収税額表の準備
源泉徴収税額表は、年末に年末調整資料と一緒に新しい税額表が送られてきますが、国税庁の次のページからダウンロードすることもできます。PDF版のLINKを貼りましたが、Excel版もあります。
(国税庁;平成30年分 源泉徴収税額表(サイト)より)
■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■
wordpressのテーマを「WordPressテーマ 『Seal~アザラシ~』」に変えてみました。なかなか快適ですが、以前の「stork」でいろいろいじっていたので、表示がおかしい部分があるようです。徐々に直していきます。