この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
こんにちは。税理士のかわべです。
令和3年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(この記事では以下「扶養控除等申告書」と記載します。)の書き方についてまとめてみました。
(記事が長いため、分割で執筆する予定です。「準備中」の段落については、後日、追記します。)
目次 表示
扶養控除等申告書の書き方
それでは、扶養控除等申告書の書き方を簡単に説明していきます。
記載順
「給与所得者本人」の情報
「給与所得者本人」の情報の記載欄
最初に給与所得者本人の情報(氏名、住所、生年月日、世帯主など)を扶養控除等申告書の右上部分に記載します。 給与所得者本人の情報の記載については特に難しい点はありませんが、画像の「★」、「12」の2か所については、以下で解説しておきます。 また、扶養控除等申告書の左上部分(所轄税務署長等や給与の支払者の名称など。画像の薄いピンク色の部分)は、勤務先で記載してくれるかと思いますが、「市区町村長」(画像の「11」)については、勘違いをしているケースを見かけるので、これについても以下でちょっとだけ触れておきます。 さらに、給与所得者本人が障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生に該当する場合に「C欄 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」に記載が必要となりますが、記載漏れのケースを見かけますので、注意してください。(この記載方法については、C欄の書き方の部分で触れます。)
「給与所得者本人」の情報の記載例
「給与所得者本人」の情報の記載例
[★] 個人番号(マイナンバー)
個人番号(マイナンバー)の記載については、専用のソフトウェア等を導入している企業では、扶養控除等申告書への記載を不要としているところもありますので、記載前に勤務先に記載の有無を確認してください。
裏面の「2 記載についてのご注意」の(1)に個人番号の記載について説明があります。(緑色の枠囲み部分。)
「2 記載についてのご注意(1)」
[12] 従たる給与についての扶養控除等申告書の提出
給与所得者本人の記載欄の右横に「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」という欄があります。
これは同じ時期に2か所以上に勤務している人が「従たる給与についての扶養控除等申告書」という申告書を(扶養控除等申告書を提出する勤務先とは別の)勤務先に提出している場合に「○」印を記載する欄です。
ほとんどの人は該当しないかと思いますが、次の画像のとおり裏面の「1 申告についてのご注意 (4)」と「2 記載についてのご注意 (3)」を参考にしてみてください。
「1 申告についてのご注意 (4)」
「2 記載についてのご注意 (3)」
[11] 市区町村長
「市区町村長」欄
次に「市区町村長」欄について触れておきます。 繰り返しになりますが、扶養控除等申告書の左上部分(所轄税務署長等や給与の支払者の名称など。画像の薄いピンク色の部分)は、勤務先で記載してくれるかと思います。 よって、「市区町村長」欄については、提出時に記載がなくても問題にはならないと思いますが、この「市区町村長」欄には、給与所得者本人の住所又は居所の市区町村を記載します。 勘違いして勤務先の市区町村長を記載しているケースを見かけます。(ちなみに税務署長欄には、勤務先の所在地等を管轄する税務署名称を記載します。)
国税庁の記載例 「市区町村長」欄
国税庁が公開している記載例にも「あなたの住所地等の市区町村長を記載します。」とコメントがあります。 記載例の勤務先(給与の支払い者)の所在地は千代田区(麹町税務署管轄)となっていますが、市区町村長の欄には「板橋」(給与所得者本人の住所地の市区町村。)を記載しています。
A欄 「源泉控除対象配偶者」の情報
A欄 「源泉控除対象配偶者」欄
次に配偶者についての記載方法を確認します。 配偶者が「源泉控除対象配偶者」に該当する場合については、A欄(画像の水色の枠囲みのうち上部)にその配偶者の情報(氏名、令和3年中の所得の見積額、住所など)を記載します。「源泉控除対象配偶者(注1)」については、画像の赤色の⇒の先部分の水色の枠囲み部分に要件が記載されています。 また、配偶者が「同一生計配偶者」に該当し、かつ、障害者に該当する場合は「C欄 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の記載が必要となります。「同一生計配偶者(注2)」についても、画像の赤色の⇒の先部分の水色の枠囲み部分に要件が記載されています。
「3 扶養親族等の範囲」の一部
上記のとおり扶養控除等申告書を作成する場合には、配偶者が「同一生計配偶者」「控除対象配偶者」「源泉控除対象配偶者」のどれに該当するかを判定する必要です。 それぞれの要件については、扶養控除等申告書の裏面の「3 扶養親族等の範囲」に記載されていますので、確認してみてください。 同一生計配偶者については、障害者控除を受けられるなど、判定結果によって適用される税制が変わりますので、慎重に判定しましょう。 (まぁ、所得金額は見積りで判定するのですが……)
「源泉控除対象配偶者」の記載例
「源泉控除対象配偶者」の情報の記載欄
源泉控除対象配偶者の記載上の注意点はつぎのとおりです。
[★] 個人番号(マイナンバー)
個人番号(マイナンバー)の記載方法については、勤務先で確認してください。
[21] 令和3年中の所得の見積額
国税庁の記載例 (参考)収入と所得
「令和3年中の所得の見積額」の欄には、配偶者の令和3年中の所得の見積額を記載します。 所得の見積額については、扶養控除等申告書を作成・提出する時点での見積りなので、多少の誤差については、気にする必要はないかと思いますが、収入金額と所得金額は同じではないので、注意してください。 画像は、国税庁の記載例に記載されている(参考)数値です。(各種記載欄の要件の「所得○○○万円以下」に該当するか否かを確認するための参考数値です。) また、令和2年から開始された「所得金額調整控除」に該当する人は少ないかと思いますが、源泉控除対象配偶者の要件を確認する場合の給与所得者本人の所得の見積りにも影響がありますので、要件等をご確認ください。 LINK No.1411 所得金額調整控除
[22] 非居住者に該当する場合
「1 申告についてのご注意 (6)」
「2 記載についてのご注意 (6)」
「非居住者である親族」の欄には、源泉控除対象配偶者が非居住者に該当する場合は、「○」印を記載します。(裏面の「2 記載についてのご注意 (6)」) また、「親族関係書類」を扶養控除等申告書に添付して提出しなければなりません。(「親族関係書類」については、裏面の「1 申告についてのご注意 (6)」で確認してください。)
B欄「控除対象扶養親族」の情報
B欄 「控除対象扶養親族(16歳以上)」欄
次に控除対象扶養親族の情報(氏名、生年月日、令和3年中の所得の見積額など)をB欄(画像のオレンジ色の枠囲み部分)に記載します。 扶養親族がいても16歳未満(平成18年1月2日以後生まれ)に該当するケースでは記載する必要はありません。(16歳未満の扶養親族については、申告書の下部に「住民税に関する事項」として記載することになります。) また、「扶養親族」が障害者に該当する場合は、「C欄 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」に記載が必要となります。
「扶養親族」「控除対象扶養親族」
「控除対象扶養親族(16歳以上)」の記載例
B欄 「控除対象扶養親族(16歳以上)」欄の記載例
[★] 個人番号(マイナンバー)
個人番号(マイナンバー)の記載方法については、勤務先で確認してください。
[31] 老人扶養親族の区分
老人扶養親族、同居老親等
控除対象扶養親族のうち老人扶養親族(昭和27年1月1日以前に生まれた人)については、同居老親等に該当するかどうかを確認し、同居老親等に該当する人については「□ 同居老親等」に☑し、それ以外の人については「□ その他」に☑をします。 老人扶養親族、同居老親等については、扶養控除等申告書の裏面を確認してください。
[32」 特定扶養親族に該当する場合
特定扶養親族
控除対象扶養親族のうち平成11年1月2日から平成15年1月1日までの間に生まれの人については、特定扶養親族に該当するため、「□ 特定扶養親族」に☑します。 特定扶養親族については、裏面の「3 扶養親族等の範囲」の「【⑥特定扶養親族】」に記載があります。
[33] 令和3年中の所得の見積額、[34]、[35] 非居住者に該当する場合
[33]、[34]、[35]については、上記の『A欄 源泉控除対象配偶者欄の[21]、[22]欄の書き方』を参考に、源泉控除対象配偶者を控除対象扶養親族(16歳以上)に置き換えて記載してみてください。(判断が難しい記載箇所なので、不明点は勤務先に確認してください。)C欄「障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生」の情報
C欄 「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」欄
次に障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生の情報をC欄(画像の紫色の枠囲み部分)に記載します。 該当しない場合は、何も記載する必要事項はありません。 寡婦とひとり親については、令和2年で改正がありましたので、次の記事を参考にしてみてください。
[41] 障害者(特別障害者)
「障害者(特別障害者)、同居特別障害者」の解説
「障害者(特別障害者)」については、裏面の「3 扶養親族等の範囲」の「【⑨障害者(特別障害者】」に、また、「同居特別障害者」については「【⑩同居特別障害者】」に解説されています。 それぞれ該当する場合には、「□ 障害者」を☑して、該当欄に○や☑をつけます。また、控除対象扶養親族が障害者等に該当する場合には、人数も記載します。 さらに、「障害者又は勤労学生の内容」に必要事項を記載します。(必要な記載事項については、扶養控除等申告書の裏面の「2 記載についてのご注意(8)」を参照してください。) ※ 平成30年から、同一生計配偶者(裏面の「3 扶養親族等の範囲」の「【①同一生計配偶者】」)が障害者に該当する場合に障害者控除を受けることができるという規定になりました。(源泉控除対象配偶者に該当しない場合でも同一生計配偶者が障害者に該当する場合は、障害者控除を受けることができます。)
[42] 寡婦、特別の寡婦、ひとり親、勤労学生
「寡婦、ひとり親、勤労学生」の解説
寡婦については、裏面の「3 扶養親族等の範囲」の⑪に、ひとり親については⑫に、勤労学生については⑬に、要件等が記載されています。 該当する場合はそれぞれの文字の横のチェック欄を☑し、さらに、勤労学生に該当する場合は「障害者又は勤労学生の内容」に必要事項を記載します。(必要な記載事項については、扶養控除等申告書の裏面の「2 記載についてのご注意(8)」を参照してください。
[43] 障害者又は勤労学生の内容
「障害者又は勤労学生の内容」欄の解説
上記でも触れましたが、障害者、勤労学生に該当する場合は、「障害者又は勤労学生の内容」欄に必要事項を記載しなければなりません。 それぞれ必要な記載事項ついては、裏面の「2 記載についてのご注意 (8)」の説明されています。 ※ 令和3年分から寡婦又はひとり親に該当する人については、この欄の記載が不要になりました。
D欄「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」の情報
D欄 「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」
D欄 「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」の記載についての注意
次に同一の生計内に2人以上の所得者がいる場合に、その同一生計内の他の所得者が控除を受けることとした扶養親族等がいる場合は、D欄の「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」にその扶養親族等の情報(氏名、続柄、生年月日、住所、他の所得者の情報等)を記載します。 同一生計内に2人以上の所得者がいない場合や、控除対象となる扶養親族がいない場合は記載する必要はありません。
D欄「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」の記載例
D欄 「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」の記載例
住民税に関する事項(「16歳未満の扶養親族」)の情報
住民税に関する事項(「16歳未満の扶養親族」)
住民税に関する事項(「16歳未満の扶養親族」)の記載についての注意
最後に「住民税に関する事項として16歳未満の扶養親族(平成18年1月2日以後生まれ)」の情報を記載します。 扶養親族のうち16歳未満の人がいる場合は、記載しましょう。令和3年中の所得の見積額(画像の62番)の記載の注意点は、A欄の源泉控除対象配偶者やB欄の控除対象扶養親族(16歳以上)と同じです。(まぁ「0円」の人が多いとは思いますが(^^)/) ※ 控除対象外国外扶養親族(国内に住所を有しない扶養親族のうち16歳未満の人)がいる場合は、「控除対象外国外扶養親族」欄(画像の61番)に○印を付け、親族関係書類及び送金関係書類を用意しておきましょう。(控除対象外国外扶養親族については、扶養控除等申告書の裏面、または、住所地の役所にご確認ください。)
住民税に関する事項(「16歳未満の扶養親族」)の記載例
住民税に関する事項(「16歳未満の扶養親族」)の記載例
まとめ
所得税の改正に合わせて、扶養控除等申告書の形式も少しずつ変更がありますので、昨年と同じ内容だとしても裏面を注意深く確認して記載しましょう。
また、扶養親族等で生年月日が前年と違うというケースをたまに見かけます。特に16歳未満と16歳以上では、記載欄が違いますので、慌てずに記載しましょう。
■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■
週末は、この記事を作成していました。ほぼ毎年、改正があるので、この記事の作成には時間がかかります。