消費者に販売する場合の消費税の端数処理の違いによる納付税額等の違いを確認

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事業者(消費税法上の事業者)が消費者に対して価額を表示する場合の消費税の端数処理については、四捨五入、切捨て又は切上げのいずれかの方法で処理しても良いことになっています。

(国税庁-法令解釈通達-間接税関係 個別通達目次)

事業者が消費者に対して価格を表示する場合の取扱い及び課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置の取扱いについて(法令解釈通達)>「総額表示の具体的な表示方法」より)

なお、税込価格の設定を行う場合において、1円未満の端数が生じるときは、当該端数を四捨五入、切捨て又は切上げのいずれの方法により処理しても差し支えなく、また、当該端数処理を行わず、円未満の端数を表示する場合であっても、税込価格が表示されていれば、総額表示の義務付けに反するものではないことに留意する。

端数処理なので、こだわることはないかと思いますが、四捨五入、切捨て又は切上げによる納付税額等の違いを比較してみました。

この記事は平成28年7月20日現在で確認することができるほう冷凍に基づき記載しています。

(参考)

国税庁;No.6371 端数計算


 

税抜き価額と消費税額を集計

Excelで次のような表を作成しました。(消費税等の率は8%です。)

消費税端数処理比較_13

(販売の)税抜き価額を記載し、それに対する消費税額を計算します。消費税額については四捨五入、切捨て、切上げによりそれぞれ端数処理を実施し、最後に合計額を算出しました。

消費税端数処理比較_14

上の画像のとおり、1444件ほど集計したところ、四捨五入、切捨て、切上げのそれぞれの端数処理の合計額が、上記のような差となりました。(切捨てと切上げの差は「1,386円」です。)

 

消費者への販売時の端数処理の違いによる納付税額の違いを比較

次に、上記の集計金額に基づいて納付税額を算出してみます。(簡便的に計算するために仕入税額控除は考慮外とします。)

課税標準の算出

最初に「課税標準」を計算します。「課税標準」とは、税額の計算の基礎となる金額(計算過程のスタートの金額)です。

消費税では、収入(課税売上)の税込み金額を1.08で割って、千円未満の端数を切り捨てた金額を課税標準としています。

上記の集計表の(税抜き価額 + 消費税額)で一旦、税込み金額を算出し、その税込み金額を1.08で割り返して税抜き金額を算出して、千円未満の端数を切り捨てて課税標準を算出してみました。(下の画像の赤色の枠囲み部分)

(課税標準の端数処理については、「国税庁;No.6371 端数計算」を参照してください。)

消費税端数処理比較_15

上の画像のとおりこの時点で端数処理の違いにより差が生じています。(「四捨五入」処理を基準に考えると、「切捨て」処理は千円少なく、「切上げ」処理は千円多くなっています。)

 

消費税額の算出

次に課税標準に消費税率を掛けて、消費税額を算出します。

(実際の計算では、事業者が支払っている消費税額や中間納付税額を控除するのですが、この記事では省略しています。)

この記事では、課税標準に消費税率(8%)を乗じて算出した金額を納付すべき消費税額として百円未満の端数を切り捨てます。(下の画像の1457行の「消費税額」部分)

(納付すべき消費税額の端数処理については、「国税庁;No.6371 端数計算」を参照してください。)

消費税端数処理比較_16

上の画像おとおり、消費税額についても課税標準で差がついていたのと同じく、差が生じました。(「四捨五入」処理を基準に考えると、「切捨て」処理は百円少なく、「切上げ」処理は百円多くなっています。)

 

預かった消費税額と納付税額との差額

最後に消費者から預かった消費税額(下の画像の赤色の枠囲み部分)と課税標準に消費税率を乗じて算出した消費税額(下の画像の緑色の枠囲み部分)との差額を確認してみました。

消費税端数処理比較_17

上の画像の水色の枠囲み部分のとおり、四捨五入はあまり差がなく、切捨てと切上げは数百円の差が生じました。2,000万円の売上で数百円の差額なので、気にしないことが一番かと思います。

 

まとめ

消費者に販売する場合には、通常は消費税の端数処理について「切捨て」が消費者に良い印象を与えるため、切上げ処理をする会社はほとんどないかと思います。

また、経理処理での端数処理(会計ソフト等で設定する端数処理)については、消費税について税抜き経理を実施している場合には、多少の影響がありますが、それでも微々たるものかと思いますので、これもあまり気にしなくて良いかと思います。

 


 

■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■

今日も関東は雨です。半そでで風の強い場所にいると寒いぐらいです。交際費の5,000円基準で人数を水増ししている会社があったようです。(税務調査で指摘されたようです。)

どうやって調べたんだろう?