平成28年度の査察の概要を読んでみる

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こんにちは。税理士のかわべです。

国税庁のサイトに「平成28年度 査察の概要(PDF)」が公開されていますので読んでみました。

(国税庁;平成28年度 査察の概要(PDF)より)

 

[aside type=”yellow”]この記事は、国税庁から発表された資料を参考に、過去の記事をリライトしたものです。[/aside]


税務調査と査察の違い

平成28年度 査察の概要(PDF)」を読む前に、「税務調査」と「査察」制度を混同している人がいるので、違いを確認しておきます。

税務調査とは

税務調査は申告の内容を確認する調査です。「内容の確認」ですので、誰でも受ける可能性があります。

(国税庁;パンフレット「税務手続について(国税通則法等の改正)」>3ページ上部の注書きより)

税務調査は、申告内容が正しいかどうかを帳簿などで確認し、申告内容に誤りが認められた 場合や、申告する義務がありながら申告していなかったことが判明した場合には、是正を求めるものです。

 

[lnvoicer icon=”https://ar-kawabe.com/blog/wp-content/uploads/2015/06/1527_Ako_NC_31.jpg” name=”管理人”]「税務調査」はいつ受けることになるのかわかりません。一般的に黒字営業を継続している法人に対する調査は「3年から5年の間に定期的に行われる」と言われています。

いつ「税務調査」を受けるかわかりませんが、まじめに帳簿を作成し、適法な申告を心がけていれば、恐れることはありません。[/lnvoicer]

査察とは

「査察」制度は、次のとおり「悪質な脱税者に対して刑事責任を追及」するために行われる調査です。年間で査察の着手件数は200件弱ですので、多くの人には関係ない制度かと思います。悪質な脱税をしていなければ査察を受けることはないでしょう。

(国税庁;平成28年度 査察の概要(PDF)>1ページより)

査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的としています。

[lnvoicer icon=”https://ar-kawabe.com/blog/wp-content/uploads/2015/06/1527_Ako_NC_31.jpg” name=”管理人”]税理士でも査察を受けた経験のある人は少ないかと思います。(過去の記事でも書きましたが、私もありません。)[/lnvoicer]

 

税務調査を受ける機会が少なくなるかも?書面添付制度について

税務調査が申告の内容を確認するためのものであっても、できれば税務調査をうけたくないと思う人は多いかと思います。(やましいところがなくても何となく嫌なものです。)

そのような人向けだと思いますが、「税務調査を受ける機会が少なくなる可能性がある制度」が、平成13年度の税理士法の改正により創設されました。「書面添付制度」と言われています。

この「書面添付制度」は、申告書に「税理士がその申告書等を作成するときに納税者と打ち合わせた事項、計算過程等」を記載した書面を添付する制度です。

税理士に依頼をしなければいけませんが、この書面添付制度を利用することにより、税務調査を受ける機会が少なくなる可能性があります。(いつか記事にしてみようと思いますが、私もこの制度を利用していますが、件数としては少ないです。)

LINK 国税庁;書面添付制度について (33条の2の書面及び35条の意見聴取)

税務調査は、調査の実施日(1日~)以外にも資料を準備するなど、少なくても2日程度は時間をとられます。また、税務調査の結果が出るまでには、小規模な企業で1ヶ月半ぐらはかかります。

税務調査を受けなければ、調査のためのとられる時間をほかのことに充てられますので、顧問の税理士に書面添付制度の件を相談してみてはいかがでしょうか?(書面を作成するのに意外と時間がかかりますので、別途、報酬が発生すると思います。顧問税理士に良く確認してください。)

 

平成28年度の査察の概要を読んでみる

社会的波及効果の高い事案への取組

昨年までの査察の概要には、最初のページに告発件数等の集計表が掲載されていましたが、「平成28年度 査察の概要(PDF)」では、1ページ目には、集計表ではなく概要が文章で掲載され、集計表は後ろの方に掲載されています。

そして2ページ目には「社会的波及効果の高い事案への取組」として積極的に取り組んだ次の事案が取り上げられています。

[aside type=”simple”]

● 消費税事案

● 国際事案

● 近年の経済社会情勢に即した事案

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消費税事案

消費税の免税制度を利用した事例が掲載されています。

(国税庁;平成28年度 査察の概要(PDF)>2ページより。赤い枠囲みは筆者追記。)

消費税の輸出免税を利用した悪質な脱税のケースと言えるかと思います。

上の画像の赤い枠囲みのとおり、削除したデータを復元する方法も用いているようです。

国際事案

国際事案として「架空の支払手数料を計上した」事例が掲載されています。

(国税庁;平成28年度 査察の概要(PDF)>3ページより。)

 

近年の経済社会情勢に即した事案

近年の経済社会情勢に即した事案として太陽光発電に関連する事案と震災に関連した事案が掲載されています。(この記事では省略いたします。LINK 国税庁;平成28年度 査察の概要(PDF)>の3ページ以降を参照してください。)

 

着手・処理・告発件数、告発率の状況

平成28年度 査察の概要(PDF)によると、平成28年度の着手件数はここ5年間では最小ですが、告発件数はここ5年間で一番多くなっています。平成26年度までは減少傾向にあった各件数が、平成27年度、平成28年度と少しずつ、増加していることが読み取れます。

(国税庁;平成28年度 査察の概要(PDF)>6ページより)

税額の状況

告発分の脱税額の総額は平成24年以降減少傾向にありましたが、平成28年度では増加しました。

(国税庁;平成28年度 査察の概要(PDF)>6ページより)

告発の多かった業種

平成28年度も平成27年度と同じく「建設業」の告発事案が多かったようです。(不動産業も多いですね。)

(国税庁;平成28年度 査察の概要(PDF)>7ページより)

 

 

不正資金の留保状況及び隠匿場所

不正資金の隠匿場所は、あいかわらず身近な場所です。(宝石などの貴金属の購入にも充てられそうですが、概要に記載されていません。なんでだろう?)

(国税庁;平成28年度 査察の概要(PDF)>5ページより)

脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金、有価証券、FX取引の証拠金と
して留保されていたほか、居宅や高級外車、高級腕時計、金地金、競走馬等の取得費用、
特殊関係人への援助資金、ギャンブル等の遊興費などに充てられていた事例もみられま
した。
また、不正資金の一部が、国外の預金口座で留保されるほか、国外のコンドミニアム
の取得費用に充てられていた事例や国外のカジノでの遊興に費消していた事例があり
ました。
脱税によって得た不正資金の隠匿場所は様々でしたが、
○ 居宅押入れの可動式床の床下に存在した金庫の中
○ 居宅敷地内の蔵の段ボール箱の中
○ 居宅のタンスの中及びタンスの前に存在したボストンバッグの中
○ 事務所の商品搬入用エレベータと壁の隙間の段ボール箱の中
に現金を隠していた事例などがありました。

「査察の概要」まとめのページ


■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■
ポイントがなくなると脅された(嘘)ので、9年ぶりぐらいに機種変しました。今度もガラケー(笑)。今のガラケーはLINEもできるのか。