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こんにちは。税理士のかわべです。
この記事では、給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の見方について、初心者向けになるべくわかりやすく記載したいと思います。
● 給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の見方を、給与計算事務の初心者向けに解説
❓ 社会保険料控除後の給与等の金額とは?
❓ 『甲』、『乙』、『丙』の違いとは?
❓ 甲欄の「扶養親族等の数」とは?
⇒ 日給に対する源泉徴収税額の算出方法の基本を知ることができる
「源泉徴収税額表」については、以下の国税庁の公式サイトの掲載ページからダウンロードしてください。
LINK 国税庁;給与所得の源泉徴収税額表(平成31年(2019年)分)日額表 PDF
LINK 国税庁;平成31年(2019年)分 源泉徴収税額表 web
関連記事 月額表の見方については ⇒ 月給に対する源泉徴収税額の試算【令和元年(2019年、平成31年)分、制限あり】
関連記事 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の見方について ⇒ 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の見方【令和元年(平成31年 2019年)分】
[aside type=”yellow”]この記事は平成31年3月18日現在の情報に基づき作成しています。法令の改正等があるかも知れませんので、実際に源泉徴収事務を行う場合は、その時点の法令等を良くご確認ください。
なお、この記事では居住者に対して支払う給与を想定しています。
[/aside]
参考 所得税法基本通達;法第183条《源泉徴収義務》関係 web
参考 国税庁;No.2502 源泉徴収義務者とは web
参考 国税庁;平成31年(2019年)版 源泉徴収のしかた web
参考 国税庁;平成31年(2019年)分 源泉徴収税額表 web
給与所得の源泉徴収税額表とは?
国税庁の公開している「源泉徴収税額表」には、給与所得の源泉徴収税額、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表、退職所得に関する表などが含まれていますが、この記事では、給与所得の源泉徴収税額表のうち(日額表)の見方について説明します。
この章では(日額表)の対象となる給与について確認しておきます。
給与所得の源泉徴収税額表の種類
給与所得の源泉徴収税額表には、次の2種類あり、給与の[emphasis]支払サイクル、種類等[/emphasis](日給、月給)によって使う表が異なります。
[aside type=”boader”]● 月額表
● 日額表
[/aside]この記事では「日額表」について取り上げます。
給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の対象となる給与等
「給与所得の源泉徴収税額表(日額表)」(以下、「源泉徴収税額表(日額表)」と表記。)は、日給に対する源泉所得税を計算するために使います。
では「日給」とはどのような給与でしょうか?
国税庁のNo.2511 税額表の種類と使い方には、次のように記載されています。
(国税庁;No.2511 税額表の種類と使い方より)
週ごとに支払うもの、日割りで支払うものなどの給与支払いにも使用することに注意しましょう。
月額表、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表を使う場合
この記事では説明しませんが、月額表と賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表については、次のような給与等に使います。
(国税庁;No.2511 税額表の種類と使い方より)
(国税庁;No.2511 税額表の種類と使い方より)
源泉徴収税額表(日額表)の見方
この章では、源泉徴収税額表(日額表)を使いながら、表の見方を確認します。
源泉徴収税額表(日額表)の基本
(国税庁;平成31年(2019年)分 給与所得の源泉徴収税額表(日額表)(8から14ページ)>8ページより。クリックすると別窓で表示されます。)
源泉徴収税額表(日額表)は、大きく4つに区分されています。
[aside type=”boader”]● 「その日の社会保険料控除後の給与等の金額」(左端の2列)(上の画像の紫色の枠囲み部分)
● 「甲」欄(扶養親族等の数により8列に区分。上の画像の赤色の枠囲み部分。)
● 「乙」欄(1列。上の画像の緑色の枠囲み部分。)
● 「丙」欄(1列。上の画像のオレンジ色の枠囲み部分。)
[/aside]まずは、大きく4つに分かれていることを知っておきましょう。
給与所得者のその日の給与と扶養親族等の状況を、[emphasis]ルールに従って源泉徴収税額表(日額表)の4つの区分にあてはめて算出する[/emphasis]という仕組みになっています。
税額を算出するステップ
表を見ただけで、使い方はある程度、予想できるかと思いますが、税額を算出するステップは次のとおりです。
[flow]ステップ1 その日の社会保険料控除後の給与等の金額が含まれる行を探す[/flow] [sankaku][/sankaku] [flow]ステップ2 甲欄の扶養親族等の数、または、乙欄、もしくは丙欄を特定[/flow] [sankaku][/sankaku] [flow]ステップ3 税額を算出[/flow]社会保険料控除後の給与等の金額や扶養親族等の数については、次の章で説明していきますが、先に具体的な例で算出ステップを確認してみます。
税額を算出してみる
使い方はある程度、予想できるかと思いますが、ためしに、税額を算出してみましょう。
次のような条件を想定しました。
[aside type=”boader”]<条件>□ その日の社会保険料控除後の給与等の金額 18,050円
□ 扶養控除等申告書の提出があり、扶養親族等の数は3人[/aside]
この条件で税額を算出してみます。
手順は次のとおりです。
[flow]ステップ1 その日の社会保険料控除後の給与等の金額が含まれる行を探す[/flow]日額表で「その日の社会保険料控除後の給与等の金額」18,050円が含まれる行を探します。
→ 「18,000円以上、18,100円未満」の行(上の画像の水色の枠囲み部分)
[sankaku][/sankaku] [flow]ステップ2 甲欄の扶養親族等の数、または、乙欄、もしくは丙欄を特定[/flow]扶養親族等の数3人に対応する列を特定します。
→ 「甲欄 3人」の列(上の画像の緑色の丸囲み部分)
[sankaku][/sankaku] [flow]ステップ3 税額を算出[/flow]ステップ1で探した行とステップ2で特定した列の交点が算出する税額になります。
この例では、「610円」(上の画像の赤色の丸囲み)
税額を算出するためのポイント
上の具体例で税額を算出するためのイメージはつかめたかと思いますが、源泉徴収税額表(日額表)で税額を算出するためには、給与を支給する従業員について次の2つの事項を確認しておかなければいけません。
[aside type=”yellow”]□ その日の社会保険料控除後の給与等の金額はいくらか?
□ 甲欄、乙欄、丙欄のいずれに該当するか?甲欄に該当する場合、扶養親族等の数は何人になるか?
[/aside]それぞれどのように確認するかを解説します。
その日の社会保険料等控除後の給与等の金額とは?
「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」とは、『給与の金額から健康保険、厚生年金、雇用保険等の社会保険料等を控除した金額』です。(そのままです)
この後に説明する「扶養親族等の数」よりはシンプルで理解しやすいかと思いますが、非課税通勤手当など、源泉所得税額を算出する場合に計算に含めない手当てもありますので、Excel等でオリジナルの給与明細書を作成する場合などは、注意しましょう。
※1 非課税通手金手当以外の支給で非課税となるものなど給与計算の範囲については、次のリンク先で確認してみてください。
LINK 国税庁;平成31年(2019年)版 源泉徴収のしかた>給与所得の範囲 PDF
給与明細書で確認
簡易的な給与明細書をExcelで再現してみました。
上の画像のピンク色の枠囲み部分(18,050円)が「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」になります。
残業手当や社会保険料の控除額によって毎日変わる可能性があります。(つまり、源泉徴収税額も毎日変わる可能性があります。)
ポイントは、非課税通勤費を「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」に含めないこと。
上の画像の例では「小計」18,138円([emphasis]非課税通勤費を加算する前の金額[/emphasis])から「社会保険料」88円を差し引いて「その日の社会保険料控除後の金額」を算出しています。
「甲」欄、「乙」欄、「丙」欄の違いとは?
源泉徴収税額表(月額表)には「甲」欄、「乙」欄、「丙」欄がありますが、次のような違いがあります。
[aside type=”boader”]● 「甲」欄
⇒ 給与所得者からその年の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出が[emphasis]ある[/emphasis]場合に参照する列(日雇賃金を除きます。)
● 「乙」欄
⇒ 給与所得者からその年の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出が[emphasis]ない[/emphasis]場合に参照する列(日雇賃金を除きます。)
● 「丙」欄
⇒ 日雇賃金の場合に参照する列
[/aside]日雇賃金とは?
日雇賃金とは、その言葉通り、日雇いの人に支払われる賃金となります。国税庁の「平成31年(2019年)版 源泉徴収のしかた」を引用しておきます。
日雇賃金とは、日々雇い入れられる人が、労働した日又は時間によって算定され、かつ、労働した日ごとに支払を受ける(その労働した日以外の日において支払われるものも含みます。)給与等をいいます。ただし、一の給与等の支払者から継続して2か月を超えて給与等が支払われた場合には、その2か月を超える部分の期間につき支払われるものは、ここでいう日雇賃金には含まれません(所令 309、所基通 185-8)
甲欄のケース
従業員等からその年の初めに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(以下、「扶養控除等申告書」と記載します。)」を受け取っている場合は、「甲」欄を参照します。
正社員や常勤の役員の場合は、扶養控除等申告書の提出を受け「甲」欄を適用するケースが多いかと思います。
乙欄のケース
非常勤の役員やパート、アルバイトなど2以上の勤務先に勤務している場合は、[emphasis]他の勤務先[/emphasis]に扶養控除等申告書を提出している場合もあるかと思います。
扶養控除等申告書は、(同時に勤務する複数の)勤務先のうち1か所にしか提出できないため、従業員から提出がない場合には、「乙」欄を適用することになります。(日雇賃金に該当するケースを除きます。)
[topic color=”green” title=”乙欄を参照する場合の注意点”]扶養控除等申告書の提出がない場合は、「扶養親族等の数」を確認することができないため、源泉徴収税額表(月額表)の「乙」欄を参照して税額を算出することになりますが、「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」の提出があった場合は、注意が必要です。
「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」って何だろう?と気になった場合は、次の記事を参考にしてみてください。
関連記事 2か所の勤務先から給与の支払いを受ける場合の従たる給与についての扶養控除等申告書[/topic]
丙欄のケース
日雇賃金の場合は、「丙」欄を参照します。
「甲欄」に該当する場合の「扶養親族等の数」とは?
次に、源泉徴収税額表の「甲」欄を使用する場合の「扶養親族等の数」(0人~7人)について確認していきます。(※2)
「扶養親族等の数」は、従業員から提出された「扶養控除等申告書」を参考に算出しますので、手元に準備してから記事を読み進めてみてください。
※2 扶養親族等の数が「8人以上」になった場合の取り扱いについては、この記事の下部の「いろいろな算出方法」の章に記載しましたので、そちらをお読みください。
「扶養親族等の数」の算出方法
「扶養親族等の数」の算出方法は次のとおりです。
[aside type=”boader”]ざっくりとした確認方法(以下の合計数)
□ 源泉控除対象配偶者はいるか?
⇒ いる場合は「1人」
□ 控除対象扶養親族はいるか?
⇒ いる場合はその人数
□ 障害者、寡婦、寡夫、勤労学生等に該当するか?
⇒ 該当する場合は、該当するごとに1人を加算[/aside]
正確な説明は、国税庁の平成31年(2019年)版 源泉徴収のしかたに記載されていますので、以下に引用します。
[topic color=”green” title=”源泉控除対象配偶者について”]2 税額表の使い方
(中略)
(2) 税額表の甲欄は、給与等の支払を受ける人の扶養親族等の数に応じて使用するようになっています。
この「扶養親族等の数」とは、源泉控除対象配偶者と控除対象扶養親族(老人扶養親族又は特定扶養親族を含みます。)との合計数をいいます。また、給与等の支払を受ける人が、障害者(特別障害者を含みます。)、寡婦(特別の寡婦を含みます。)、寡夫又は勤労学生に該当する場合には、その一に該当するごとに扶養親族等の数に1人を加算し、その人の同一生計配偶者や扶養親族(年齢 16 歳未満の人を含みます。)のうちに障害者(特別障害者を含みます。)又は同居特別障害者に該当する人がいる場合には、これらの一に該当するごとに扶養親族等の数に1人を加算した数を扶養親族等の数とします。
(国税庁;平成31年(2019年)版 源泉徴収のしかた>税額表の適用方法、税額の求め方>15ページより。一部中略、背景色は筆者。)
平成30年から「源泉控除対象配偶者」という新しい言葉が使われるようになりました。(それまでは「控除対象配偶者」。)
源泉控除対象配偶者については次の記事を参考にしてみてください。
関連記事 平成30年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書に記載する源泉控除対象配偶者とは?[/topic] [topic color=”green” title=”控除対象扶養親族?障害者?寡婦?など”]
扶養親族等の数を確認するためには、「控除対象扶養親族」、「障害者」、「寡婦や寡夫」など、専門的な用語を使わなければなりません。
この専門的な用語について確認することも大事なのですが、記事が長くなり過ぎてしまうため、この記事では省略いたひます。次のリンク先で確認してみてください。
LINK 国税庁;平成31年(2019年)版 源泉徴収のしかた>給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、源泉徴収に際して控除される各種控除>3 控除対象者等の範囲(10ページ) PDF[/topic]
この記事ですべてのケースを解説できませんが、いくつか「扶養親族等の数」を確認するためのポイントを確認します。
最初に配偶者について確認します。
配偶者に係る「扶養親族等の数」の数え方
繰り返しになりますが、平成30年より「源泉控除対象配偶者」という新しい言葉を使用することになりました。平成29年までとは、配偶者について扶養親族等の数の数え方が変更となっていますので、注意が必要です。
国税庁の「平成31年(2019年)版 源泉徴収のしかた」に掲載されている図がわかりやすいので、引用して説明していきます。
(国税庁;平成31年(2019年)版 源泉徴収のしかた>税額表の適用方法、税額の求め方>15ページより。カラーの枠線は筆者追記。)
上の画像は、給与等の支払を受ける人(所得者)と配偶者の合計所得金額の大小により、「配偶者を扶養親族等の数に含めるのか(「1人」と数える)、含めないのか(「0人」とする)」を一覧にしたものです。
「1人」に該当する2つのケースを確認しておきます。
● 所得者の合計所得金額が900万円以下、その配偶者の合計所得金額が85万円以下の場合
上の画像のとおり、給与等の支払を受ける人(所得者)の合計所得金額が900万円以下でその所得者の配偶者の合計所得金額が85万円以下の場合は、(配偶者を)「1人」と数えます。(上の画像の赤色の枠囲み部分)
→ この場合、扶養控除等申告書の源泉控除対象配偶者の欄に配偶者の氏名等の記載があるはずです。
● 配偶者の合計所得金額38万円以下で配偶者が障害者に該当する場合
上の画像のとおり、給与等の支払を受ける人の合計所得金額に関係なく、配偶者の合計所得金額が38万円以下でその配偶者が障害者に該当する場合は、扶養親族等の数に「1人」を加算します。(上の画像の緑色の枠囲み部分)
→ この場合、給与等の支払を受ける人(所得者)の合計所得金額が
[emphasis]900万円を超える場合[/emphasis]は、扶養控除等申告書の源泉控除対象配偶者の欄に配偶者の氏名等の記載がないため、見落とさないように注意が必要です。
● 別の図で確認
国税庁の「平成31年(2019年)版 源泉徴収のしかた」に図がありますので、引用しておきます。
(慣れるとわかりやすい図かと思います。)
赤色の枠囲み部分が配偶者を1人(配偶者が障害者に該当する場合は『2人』、配偶者が同居特別障害者に該当する場合は『3人』)と数えるケースになります。
(国税庁;平成31年(2019年)版 源泉徴収のしかた>税額表の適用方法、税額の求め方>16ページより。カラーの枠線は筆者追記。)
配偶者以外の「扶養親族等の数」の数え方
次に配偶者以外の扶養親族について、「扶養親族等の数」の数え方を確認します。
配偶者以外の扶養親族についても、先ほどの国税庁の「平成31年(2019年)版 源泉徴収のしかた」に掲載されている図を参考にもう少し簡単な例で解説していきます。
(国税庁;平成31年(2019年)版 源泉徴収のしかた>税額表の適用方法、税額の求め方>16ページより。カラーの枠線は筆者追記。)
□ (配偶者以外の)扶養親族等の数が「0人」になる場合(下の画像の水色の枠囲み部分)
最初に配偶者以外の扶養親族等の数が「0人」となるケースを確認しておきます。
ケース1)
扶養控除等申告書に給与の支払を受ける人(給与所得者)のみが記載され、その所得者が障害者等に該当しない場合あれば扶養親族等の数は「0人」となります。(上の水色の枠囲みの1つ目の例)
ケース2)
扶養控除等申告書に所得者以外に「年齢16歳未満の人(年少扶養親族)」だけが記載されているケースも扶養親族等の数は「0人」となります。(上の水色の枠囲みの2つ目の例)
これは、上の画像の緑色の枠囲み部分の注書きのとおり、原則として16歳未満の人(年少扶養親族)は扶養親族等の数には加算しないためです。
[topic color=”green” title=”16歳未満の人(年少扶養親族)が障害者等に該当するケース”]16歳未満の人(年少扶養親族)は、扶養親族等の数には含めませんが、障害者や同居特別障害者に該当する場合は、それぞれ、つぎのように数えます。
● 16歳未満の人(年少扶養親族)が「障害者」に該当する場合
⇒ 「1人」となります。(下の画像の紫色の丸囲み部分)
● 16歳未満の人(年少扶養親族)が「同居特別障害者」に該当する場合
⇒ 「2人」となります。(下の画像のオレンジ色の丸囲み部分)
(扶養控除等申告書でしっかりと確認しましょう。)[/topic]
□ (配偶者以外の)扶養親族等の数が「3人」になる場合(下の画像のピンク色の枠囲み部分)
次に配偶者以外の扶養親族等の数が「3人」となるケースを確認してみます。
ケース3)
給与所得者の「控除対象扶養親族(扶養親族のうち年齢16歳以上の人)が1人いて、その控除対象扶養親族が同居特別障害者に該当するケースは、「3人」となります。(上の図のピンク色の枠囲みの1つ目の例)
ケース4)
給与所得者の控除対象扶養親族が2人いて、その控除対象扶養親族のうち1人が障害者に該当するケースは、「3人」となります。(上の図のピンク色の枠囲みの2つ目の例)
障害者や寡婦に該当する場合は、「1人」を加算することに気をつけましょう。
[/aside]「乙」欄に該当する場合の具体例
源泉徴収税額表(月額表)の「乙」欄で税額を算出方法を具体例で確認しておきます。
[aside type=”boader”](条件)● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が13,250円
● 扶養控除等申告書の提出なし
● 日雇賃金に該当しない[/aside]
[flow]ステップ1 その月の社会保険料控除後の給与等の金額が含まれる行を探す[/flow]
月額表で「その月の社会保険料控除後の給与等の金額」13,250円が含まれる行を探します。
→ 「13,200円以上、13,300円未満」の行(上の画像の水色の枠囲み部分)
[sankaku][/sankaku] [flow]ステップ2 甲欄の扶養親族等の数、または、乙欄もしくは丙欄を特定[/flow]扶養控除等申告書の提出がなく、日雇賃金に該当しないため「乙」欄を参照。
→ 「乙」欄の列(上の画像の緑色の丸囲み部分)
[sankaku][/sankaku] [flow]ステップ3 税額を算出[/flow]ステップ1で探した行とステップ2で特定した列の交点が算出する税額になります。
この例では、「2,820円」(上の画像の赤色の丸囲み部分)
「丙欄」に該当する場合
日雇賃金に該当する場合は、「丙」欄で税額を算出しますが、どのような給与が日雇賃金に該当するかを慎重に判断しなければなりません。
「丙」欄の具体例を確認する前に日雇賃金について確認しておきます。
源泉徴収税額表(日額表)の丙欄を適用する給与(日雇賃金)とは?
源泉徴収税額表(日額表)の「丙」欄を適用する給与は、「労働した日又は時間によって算定され、かつ、労働した日ごとに支払を受ける給与」で一定のもの(※3)です。
条文で確認してみましょう。
(賞与以外の給与等に係る徴収税額)
第百八十五条 次条に規定する賞与以外の給与等について第百八十三条第一項(源泉徴収義務)の規定により徴収すべき所得税の額は、次の各号に掲げる給与等の区分に応じ当該各号に定める税額とする
(中略)
三 労働した日又は時間によつて算定され、かつ、労働した日ごとに支払を受ける給与等で政令で定めるもの その給与等の金額に応じ、別表第三の丙欄に掲げる税額
ざっくり言うと「日雇い労働者に労働した日ごとに支払う給与等は丙欄(を使って税額を算出する)」と考えて良いと思います。
※3 一定のものについては次のトピックを参考にしてください。
[topic color=”orange” title=”日雇賃金の税額を算出する場合の注意点”]日雇賃金については、慎重に判断するケースもありますので、施行令と通達を引用しておきます。ちょっと難しいのですが、参考にしてみてください。
<注意点1> 継続して[emphasis]二月を超える[/emphasis]勤務の場合
<注意点2> 労働した日以外に支払われる日雇賃金の場合
<注意点3> あらかじめ2か月以内に勤務する契約で、労働した日又は時間によって算定される給与の場合
(日払の給与等の意義)
第三百九条 法第百八十五条第一項第三号 (賞与以外の給与等に係る徴収税額)に規定する政令で定める給与等は、日日雇い入れられる者が支払を受ける給与等(一の給与等の支払者から継続して二月をこえて支払を受ける場合におけるその二月をこえて支払を受けるものを除く。)とする。
通達には、つぎのように記載されています。
[/topic]185-8 法第185条第1項第3号の規定は、労働した日又は時間によって算定され、かつ、労働した日ごとに支払われる給与等で令第309条《日払の給与等の意義》に規定するもののほか、次に掲げる給与等についても適用があるものとする。この場合において、次に掲げる給与等を支払う際に徴収する税額は、労働した日ごとの給与等の額につき法別表第3の丙欄を適用して計算した税額の合計額となることに留意する。(昭49直所2-23、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平19課法9-9、課個2-20、課審4-32改正)
(1) 日々雇い入れられる者の労働した日又は時間により算定される給与等で、その労働した日以外の日において支払われるもの(令第309条かっこ内の規定に該当するものを除く。)
(2) あらかじめ定められた雇用契約の期間が2月以内の者に支払われる給与等で、労働した日又は時間によって算定されるもの(雇用契約の期間の延長又は再雇用により継続して2月を超えて雇用されることとなった者に当該2月を超える部分の期間につき支払われる給与等を除く。)
(所得税法基本通達;法第183条《源泉徴収義務》関係より)
源泉徴収税額表(日額表)の丙欄での求め方(日雇いのケース)
たとえば「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が8,000円の日雇賃金については、つぎの画像のとおり税額が「0円」となります。
[aside type=”boader”]★ いろいろな算出方法を確認する前にちょっと休憩 ★
源泉徴収税額表の見方がなんとなくわかってきましたか?なかなか難しいですよね。
でも心配いりません。
実務では給与計算用のソフトウェアを使って処理するのが一般的なので、表の見方がわからなくても、基本的な設定さえ間違えなければソフトウェアが自動で計算してくれます。(じゃあ、この記事を読まなくても・・・なんて思わないでくださいね。基本は大事です。)
ソフトウェアはそこそこ有名な会社のものであれば、機能はほぼ一緒なので、どこの会社のものを使っても問題ありません。
私のクライアントの中ではfreee人事労務の人気が高いです。
一般的な給与計算のソフトウェアでは当たり前の機能となっていますが、年末調整やマイナンバー管理の機能もあります。
このソフトウェアの特徴は、[keikou]無料でお試し[/keikou]ができるところです。(とりあえず使ってみるでも良いかも知れません。サポートもなかなか充実していますよ。)
クラウド会計ソフトではfreeeと人気を二分するMFクラウドシリーズも忘れてはいけません。MFクラウドシリーズにも「【公式サイト】MFクラウド」シリーズに「MFクラウド給与」という給与計算システムがあります。
(公式サイト⇒サービス一覧⇒MFクラウド給与を選択してください。)
こちらも[keikou]無料[/keikou]のお試しがあります。
よく「クラウドのシステムを使うならどっちがいいの?」と聞かれるのですが、ソフトは[emphasis]慣れ[/emphasis]なので、クラウドにこだわるなら上記2つのどちらでも良いかと。(どっちも良くできていると思います。それぞれ同系列のシステムとの連携もいいですよ。)
[/aside]いろいろな算出方法
いくつかの具体例で源泉徴収税額表の見方を説明していきます。
甲欄の場合
最初に「甲」欄のケースを確認します。
「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が2,900未満の場合
「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が2,900円未満の場合で扶養控除等申告書の提出がある場合(つまり税額表の「甲欄」で税額を算出する場合)は、扶養親族等の数にかかわらず税額は0円となります。(下の画像の赤色の枠囲み部分)
給与所得が高額(28,000円超)の場合
源泉徴収税額表(日額表)は
[emphasis]28,000円を超える[/emphasis]とちょっと様式が変わってきます。
28,000円以下のケースでは行と列の交点で税額を算出しましたが、28,000円を超えると「率による計算」が加わります。
たとえば、「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が30,000円、扶養親族等の数が2人の場合は次のようになります。
[aside type=”boader”](a) 28,000円の扶養親族等の数が2人の税額 2,610円(上の画像の薄緑色の丸囲み部分)(b) 28,000円を超える金額に対する税額(計算方法は上の画像の赤色の枠囲み部分)
(30,000 - 28,000)× 23.483% = 469.66円 → 469円
(c) 算出する税額 (a) + (b) = 3,079円[/aside]
扶養親族等の数が8人以上になるケース
かなり珍しいケースですが、扶養親族等の数ば8人以上になる場合は、つぎのように算出します。
1 「給与所得者の扶養控除等申告書」(以下この表において「扶養控除等申告書」といいます。)の提出があった人
⑴ まず、その人のその日の給与等の金額から、その給与等の金額から控除される社会保険料等の金額を控除した金額を求めます。⑵ 次に、扶養控除等申告書により申告された扶養親族等(扶養親族等が国外居住親族である場合には、親族に該当する旨を証する書類が扶養控除等申告書に添付され、又は当該書類が扶養控除等申告書の提出の際に提示された扶養親族等に限ります。)の数が7人以下である場合には、⑴により求めた金額に応じて「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄の該当する行を求め、その行と扶養親族等の数に応じた甲欄の該当欄との交わるところに
記載されている金額を求めます。これが求める税額です。⑶ 扶養控除等申告書により申告された扶養親族等の数が7人を超える場合には、⑴により求めた金額に応じて、扶養親族等の数が7人であるものとして⑵により求めた税額から、扶養親族等の数が7人を超える1人ごとに50円を控除した金額を求めます。これが求める税額です。
(以下、省略)(国税庁;給与所得の源泉徴収税額表(平成30年分)日額表(PDF)>14ページ>備考(1)~(3)より。背景色は筆者追記。)
たとえば、「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が22,900円で扶養親族等の数が
[emphasis]9人[/emphasis]の場合。
[aside type=”boader”](d) 「扶養親族等の数が7人であるもの」として税額 625円(下の画像の薄緑色の丸部分)(e) 扶養親族等の数は9人ですので、7人を超える2人分 100円(2×50円)
(f) 算出する税額 (d) - (e) = 525円[/aside]
乙蘭の場合
次に「乙」欄のケースを確認します。
その日の社会保険料等控除後の給与等の金額が2,900円未満の場合
「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が2,900円未満の場合で扶養控除等申告書の提出がなく日雇賃金ではない場合(つまり税額表の「乙」欄で税額を算出する場合)は、一定の率「3.063%」をかけて算出します。
たとえば、「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が2,000円で扶養控除等申告書の提出がなく日雇賃金ではない場合。
[aside type=”boader”](税額)2,000円 × 3.063% = 61.26 → 61円[/aside]給与所得が高額(28,000円超)の場合
源泉徴収税額表(日額表)は
[emphasis]28,000円を超える[/emphasis]場合は、率による計算が加わります。
たとえば、「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が30,000円で扶養控除等申告書の提出がなく日雇賃金ではない場合。
[aside type=”boader”](税額)10,350 +(30,000-28,000)× 40.84%=11,166.8 → 11,166円[/aside]従たる扶養控除等申告書の提出があった場合
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に似た申告書で「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」という申告書があります。この申告書の提出があった場合の税額の算出方法については、次の記事を参考にしてみてください。
関連記事 2か所の勤務先から給与の支払いを受ける場合の従たる給与についての扶養控除等申告書
丙蘭の場合
最後に「丙」欄のケースを確認します。
その日の社会保険料等控除後の給与等の金額が2,900円未満の場合
「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が2,900円未満の日雇賃金の場合は、税額は0円となります。
給与所得が高額(28,000円超)の場合
源泉徴収税額表(日額表)は
[emphasis]28,000円を超える[/emphasis]場合は、率による計算が加わります。
たとえば、「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」が30,000円で日雇賃金の場合。
[aside type=”boader”](税額)1,386+(30,000-28,000)× 20.42%=1,794.4 → 1,794円[/aside]源泉徴収税額表の準備
源泉徴収税額表は、年末に年末調整資料と一緒に新しい税額表が送られてきますが、国税庁の次のページからダウンロードすることもできます。
LINK 国税庁;平成31年(2019年)分 源泉徴収税額表 web
(日額表のみダウンロードする場合 ⇒ LINK 国税庁;給与所得の源泉徴収税額表(月額表)(1から7ページ) PDF
■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■
FIでHONDAが久しぶりの表彰台。CMの言葉「負けるもんか」。結構好きです。