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こんにちは。税理士のかわべです。
国税庁のサイトに東京国税局の「令和3年度 査察の概要」が公開されているので読んでみました。
この記事は、令和4年6月に国税庁(東京国税局)から発表された資料を参考に、過去の記事をリライトしたものです。
● 参考 国税庁;東京国税局 令和3年度 査察の概要 PDF
● 参考 国税庁;東京国税局 令和2年度 査察の概要 PDF
● 参考 国税庁;東京国税局 令和元年度 査察の概要 PDF
● 参考 国税庁;東京国税局 平成30年度 査察の概要 PDF
● 参考 国税庁;東京国税局 平成29年度 査察の概要 PDF
● 参考 国税庁;平成28年度 査察の概要 PDF
● 参考 国税庁;平成27年度 査察の概要 PDF
● 参考 国税庁;パンフレット「税務手続について(国税通則法等の改正)」 PDF
● 参考 国税庁;平成26年度 査察の概要 Web
● 参考 国税庁;平成25年度 査察の概要 Web
● 参考 国税庁;平成24年度 査察の概要 Web
● 参考 国税庁;平成23年度 査察の概要 Web
● 参考 国税庁;平成22年度 査察の概要 Web
● 参考 国税庁;平成21年度 査察の概要 Web
目次 表示
税務調査と査察の違い
「令和3年度 査察の概要」を読む前に、「税務調査」と「査察」制度を混同している人がいるので、違いを確認しておきます。
税務調査とは
税務調査は申告の内容を確認する調査です。(以下の画像を参照してください。)
「内容の確認」ですので、誰でも受ける可能性があります。
査察とは
「査察」制度は、次のとおり「悪質な脱税者に対して刑事責任を追及」するために行われる調査です。
年間で査察の着手件数は116件(「令和3年度 査察の概要」より)ですので、多くの人には関係ない制度かと思います。悪質な脱税をしていなければ査察を受けることはないでしょう。
書面添付制度について(税務調査を受ける機会が少なくなるかも???)
上記のとおり、税務調査は「申告の内容を確認するためのもの」ですが、できれば税務調査をうけたくないと思う人は多いかと思います。(やましいところがなくても何となく嫌なものです。)
そのような人向けだと思いますが、「税務調査を受ける機会が少なくなる可能性がある制度」(筆者の造語)が、平成13年度の税理士法の改正により創設されました。
「書面添付制度」と言われています。
この「書面添付制度」は、申告書に「税理士がその申告書等を作成するときに納税者と打ち合わせた事項、計算過程等」を記載した書面を添付する制度です。
税理士に依頼をしなければいけませんが、この書面添付制度を利用することにより、税務調査を受ける機会が少なくなる可能性があります。(いつか記事にしてみようと思いますが、私もこの制度を利用していますが、件数としては少ないです。)
■ LINK 国税庁;4 書面添付・意見聴取制度 Web
税務調査は、調査の実施日(1日~)以外にも資料を準備するなど、少なくても2日程度は時間をとられます。また、税務調査の結果が出るまでには、小規模な企業で1ヶ月半ぐらはかかります。
税務調査を受けなければ、調査のためのとられる時間をほかのことに充てられますので、顧問の税理士に書面添付制度の件を相談してみてはいかがでしょうか?(書面を作成するのに意外と時間がかかりますので、別途、報酬が発生すると思います。顧問税理士に良く確認してください。)
令和3年度の査察の概要を読んでみる
前置きが長くなりましたが、「令和3年度 査察の概要」を読んで、感じたことを記載しておきます。
重要事案への取組
「令和3年度 査察の概要」も前年までの査察の概要と同じく、1ページ目に概要が掲載され、集計表は後ろの方に掲載される形式でまとめられています。
2ページ目以降に「2 重点事案への取組」が記載されていますので、確認していきます。
● 消費税不正受還付事案
● 無申告ほ脱事案
● 国際事案
● その他の社会的波及効果の高い事案
消費税事案
消費税の輸出免税制度を利用した事例が掲載されています。
令和3年度の告発件数は21件とここ5年間では令和2年度に次ぐ少なさで、コロナの影響が前年度に引き続き大きいのかも知れません。平成30年度の告発件数が41件とかなり多かったことがわかります。
消費税の輸出免税を利用した悪質な脱税のケースは多いようですね。
「令和3年度 査察の概要」 には、上の画像のとおり、イベント企画会社の消費税不正受還付事案が掲載されていますが、そのほかにも化粧品等の輸出販売等を装った事案も掲載されています。
無申告ほ脱事案
無申告のほ脱事案として、再生可能エネルギー設備工事の請負会社と輸入雑貨等の通販の事案が掲載されています。
無申告はやっぱり悪質ですよね。申告という納税者の性善説に基づいた制度なので、無申告は許しがたいです。
国際事案
海外法人を利用した国際的な不正スキームの事案が掲載されています。
国際事案についての告発件数は、平成29年度に次ぐ少なさですので、コロナの影響があるのかも知れません。
その他の社会的波及効果の高い事案
建設会社の元従業員の無申告の事案など、3つの事例が掲載されています。
着手件数、脱税額など
着手・処理・告発件数、告発率の状況
「令和3年度 査察の概要」によると、すでに触れていますが、令和3年度の着手件数は令和2年度に次いで少なく、処理件数や告発件数はここ5年間で最少となっています。
着手件数が減少傾向にあるのは、コロナの影響かと思いますが、告発率が上がっていることから、重要案件に的を絞って着手していると推察しています。(着手と告発には、時間的な乖離があると思いますので、一概には言えないかと思います。)
脱税額の状況
令和3年度の告発分の脱税額の総額は、ここ5年間で一番少ない金額です。
総額のうち1件あたりの脱税額が99百万円(9千9百万円)と昨年(8千万円)と比較して、脱税額が多くなっています。
告発の多かった業種
令和3年度は、建設業が告発事案が多かったようです。(毎年度記載していますが、建設業と不動産業のツートップは変わらないという印象ですね。)
不正資金の留保状況及び隠匿場所
不正資金の隠匿場所は、あいかわらず身近な場所ですが、カジノなどで費消してしまった事例もあるようです。
まとめ
脱税の事案を知っておくのも経営者として誤った道に進まないために必要なことかも知れません。
■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■
関東では連日の猛暑。暑いです。出勤は、渋谷駅から30分ぐらいの時間をかけて歩いているのですが、暑すぎて帰宅時は、最寄り駅の恵比寿から電車に乗ってしまっています。