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こんにちは。税理士のかわべです。
給与所得(月給)に対する源泉徴収税額の原則的な求め方(※1)により算出した例をまとめてみました。
源泉徴収税額表(月額表)の基本的な見方は、次の記事を参考にしてください。
★ 関連記事 【令和6年分】給与所得の源泉徴収税額表(月額表)の見方
扶養親族等の数え方は、次の記事を参考にしてください。
★ 関連記事 【令和6年分】扶養親族等の数の数え方
※1 源泉徴収税額の算出方法は、原則的な求め方以外に「月額表の甲欄を摘要する給与等に対する税額の電算機計算の特例」を利用して算出する方法があり、この方法を利用する場合には、原則的な求め方と異なる結果となります。(年末調整や確定申告により年税額は確定するため、結果が異なっても問題ないそうです。)
令和6年分の特例計算については、次のLINK先でご確認ください。
■ LINK 国税庁;【電算機計算の特例】月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例について【令和3年分~令和6年分】 PDF
この記事は令和6年6月10日時点で確認することができる情報に基づき作成しています。法令等の改正があった場合は、記事の内容とは異なる取り扱いとなる場合もありますので、最新の法令等をご確認ください。
● 参考 e-Gov>法令検索;所得税法 web
● 参考 国税庁;No.2502 源泉徴収義務者とは web
● 参考 国税庁;令和6年版 源泉徴収のしかた web
● 参考 国税庁;令和6年分 源泉徴収税額表 web
● 参考 国税庁;【電算機計算の特例】月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例について【令和3年分~令和6年分】 PDF
給与所得(月給)の源泉徴収税額の具体例(甲欄の場合)
給与所得(月給)の源泉徴収税額の原則的な算出方法を具体的な例を使って説明していきます。
最初に「甲」欄に該当するケースについて確認します。
例1「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が88,000未満のケース
(条件)
● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が88,000円未満
● 扶養控除等申告書の提出があり、扶養親族等の数は0人
この条件のケースでの源泉徴収税額は0円となります。(上の画像の赤色の丸囲み部分)
また、その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が88,000円未満で甲欄に該当するケースでは、扶養親族等の数が1人以上になっても源泉徴収税額は0円となります。(上の画像のピンク色の枠囲み部分)
例2「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が88,000以上、740,000円以下のケース
(条件)
● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が322,000円
● 扶養控除等申告書の提出があり、扶養親族等の数は4人
この条件のケースでの源泉徴収税額は、2,750円となります。(上の画像の赤色の丸囲み部分部分)
例3「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が740,000円超のケース
(条件)
● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が755,500円
● 扶養控除等申告書の提出があり、扶養親族等の数は2人
その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が740,000円を超えるケースでは、74万円以下のケースと異なり源泉徴収税額表に記載された一定の算式を使って源泉徴収税額を算出します。
上記の(条件)のケースでの源泉徴収税額は、次の計算のとおり63,615円となります。(計算方法は、上の画像の赤色の枠囲み部分。)
(a) 740,000円の扶養親族等の数2人の税額 60,450円
(b) 740,000円を超える金額に対する税額
(755,500–740,000)×20.42%=3,165.1円→3,165円
(c) 算出する税額 (a) + (b) = 63,615円
例4 扶養親族等の数が8人以上になるケース
かなり珍しいケースですが、給与を受け取る従業員が甲欄に該当し扶養親族等の数が8人以上になるケースでは、つぎのように算出します。
(7ページの『(備考)1』より)
1 「給与所得者の扶養控除等申告書」(以下この表において「扶養控除等申告書」といいます。)の提出があった人
⑴ まず、その人のその月の給与等の金額から、その給与等の金額から控除される社会保険料等の金額を控除した金額を求めます。
次に、扶養控除等申告書により申告された扶養親族等(その申告書に記載がされていないものとされる源泉控除対象配偶者を除きます。また、扶養親族等が国外居住親族である場合には、親族に該当する旨を証する書類(その国外居住親族である扶養親族等が年齢30歳以上70歳未満の控除対象扶養親族であり、かつ、留学により国内に住所及び居所を有しなくなった人である場合には、親族に該当する旨を証する書類及び留学により国内に住所及び居所を有しなくなった人に該当する旨を証する書類)が扶養控除等申告書に添付され、又は扶養控除等申告書の提出の際に提示された扶養親族等に限ります。)の数が₇人以下である場合には、⑴により求めた金額に応じて「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄の該当する行を求め、その行と扶養親族等の数に応じた甲欄の該当欄との交わるところに記載されている金額を求めます。これが求める税額です。
⑶ 扶養控除等申告書により申告された扶養親族等の数が₇人を超える場合には、⑴により求めた金額に応じて、扶養親族等の数が7人であるものとして⑵により求めた税額から、扶養親族等の数が7人を超える1人ごとに1,610円を控除した金額を求めます。これが求める税額です。
(以下、省略)
次のような条件を想定してみました。
(条件)
● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が452,000円
● 扶養控除等申告書の提出があり、扶養親族等の数は9人
上記の(条件)のケースでの源泉徴収税額は、70円となります。計算過程は次のとおりです。
(d) 「扶養親族等の数が7人であるもの」として求めた税額 3,290円(上の画像の赤色の丸囲み)
(e) 扶養親族等の数7人を超える人数 ⇒ 2人 3,220円(2×1,610円)
(f) 算出する税額 (d) - (e) = 70円
給与所得(月給)の源泉徴収税額の具体例(乙蘭の場合)
次に源泉徴収税額表の「乙」欄を参照するケース(扶養控除等申告書の提出がないケース)を確認します。
例5「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が88,000円未満のケース
(条件)
● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が50,000円
● 扶養控除等申告書の提出はなし
その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が88,000円未満で乙欄に該当するケースでは、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額×3.063%」という計算式により源泉徴収税額を算出します。(下の画像の赤色の枠囲み部分)
上記の(条件)では、次の計算のとおり源泉徴収税額が1,531円となります。
50,000円×3.063%=1,531.5→1,531円
例6「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が88,000以上、740,000円以下のケース
(条件)
● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が603,000円
● 扶養控除等申告書の提出はなし
このケースの源泉徴収税額は、197,800円となります。(上の画像の赤色の丸囲み部分部分)
例7「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が740,000万円超のケース
(条件)
● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が1,200,000円
● 扶養控除等申告書の提出はなし
その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が740,000円を超え、乙欄に該当するケースでは、源泉徴収税額表に記載された計算式により源泉徴収税額を算出します。
上記の(条件)での源泉徴収税額は、次の計算のとおり447,664円となります。 (計算式は、上の画像の赤色の枠囲み部分)
259,800+(1,200,000-740,000)×40.84%=447,664円
(おまけ)従たる扶養控除等申告書の提出があった場合
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に似た申告書で「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」という申告書があります。この申告書の提出があった場合の税額の算出方法については、次の記事を参考にしてみてください。
■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■
週末は、新しいことの準備。うまくいくと良いのですが……。