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こんにちは。税理士のかわべです。
令和元年分 給与所得者の保険料控除申告書(この記事では以下「保険料控除申告書」と記載します。)の書き方についてまとめてみました。
記事が長くなるため(準備中)の段落については、後日、記載します。
保険料控除申告書は、次のリンク先からダウンロードすることができます。(リンク先は国税庁の公式サイトです。)
LINK 国税庁;令和元年分 給与所得者の保険料控除申告書 入力用 PDF
LINK 国税庁;[手続名]給与所得者の保険料控除の申告 Web
参考 国税庁;[手続名]給与所得者の保険料控除の申告 Web
参考 国税庁;No.1130 社会保険料控除 Web
参考 国税庁;No.1135 小規模企業共済等掛金控除 Web
参考 国税庁;No.1140 生命保険料控除 Web
参考 国税庁;No.1145 地震保険料控除 Web
参考 国税庁;《記載例》令和元年分給与所得者の保険料控除申告書の記載例(PDF/633KB) PDF
保険料控除申告書の書き方
保険料控除申告書の書き方を簡単に説明していきます。
控除額を計算するため、計算機(電卓アプリなど。8桁ぐらいの計算ができればOK)があった方が良いでしょう。(控除額を暗算で計算できるケースもありますが……)
記載順
保険料控除申告書に記載する順番については、特に気にする必要はありませんが、保険料控除額を計算するためこのサイトでは、申告書の上部から順に説明していきます。
説明の順番は次のとおりです。
⇒ 「一般の生命保険料」
⇒ 「介護医療保険料」
⇒ 「個人年金保険料」
⇒ 「生命保険料控除額計」の計算
給与所得者本人の情報の記載
最初に給与所得者本人の情報(フリガナ、氏名、住所)を右上に記載し、押印します。
「フリガナ、氏名、住所」欄
(PC、タブレット端末のみ)
給与所得者本人の情報については特に難しい点はありません。
左上の所轄税務署の名称や給与支払者(勤務先)の名称等は、通常、勤務先が記載するため、記載する必要はありません。
生命保険料控除の情報の記載および控除額の計算
次に生命保険料控除に関連する項目を記載していきます。該当する保険料の支払いがない場合は、記載する必要はありません。
生命保険料控除証明書の準備
生命保険料を支払っている場合、生命保険会社から「生命保険料控除証明書」という書類が10月から11月にかけて自宅等に郵送されてきます。(封筒、はがきなど保険会社によってサイズは異なります。)
この「生命保険料控除証明書」を準備してください。
控除証明書の添付が不要の場合
「生命保険料控除証明書」は、原則として、保険料控除申告書に添付することになります。(「生命保険会社等が発行した証明書類」を添付することが原則となります。)
しかし、一般の生命保険料の「旧」の区分の一契約の保険料が9,000円以下のものについては、証明書を添付しなくても良いことになっています。
また、勤務先で加入した団体特約の生命保険料については、勤務先の代表者等の確認を受ければ、証明書を添付しなくて良いことになっています。
控除証明書が間に合わないとき
控除証明書を紛失した場合や、加入年月が遅かったために、年末調整計算事務までに証明書の発行が年末調整の計算時期までに間に合わないときは、令和2年1月31日までに証明書を提出することを条件に、控除を受けることができます。
控除証明書がない場合、控除額を計算するためにいくつか確認しなければならない事項がありますので、次の記事を参考にしてください。
生命保険料の区分の確認
生命保険料控除は、次の3つ(「新」、「旧」の区分も含めると5つ)に区分して控除額を計算します。
● [emphasis]介護医療[/emphasis]保険料
● [emphasis]個人年金[/emphasis]保険料(「新」、「旧」の区分あり)
この区分は生命保険料控除証明書に記載されています。
例・・・かんぽ生命 ⇒ LINK 生命保険料控除申告サポートツール
対象となる保険料の範囲
控除の対象となる保険料の範囲等については、保険料控除申告書の裏面に記載があります。
一般の生命保険料の情報
生命保険料控除については、上から「一般」、「介護医療」、「個人年金」と区分されていますので、最初に「一般の生命保険料」について記載します。
「一般の生命保険料」欄
(PC、タブレット端末のみ)
次のような例を想定しました。
□「新」の区分の保険料 35,855円
□「旧」の区分の保険料 73,222円
画像のとおり、保険料控除申告書に[1]~[4]の数字を追記しましたので、例を使って順番に説明していきます。
[1]保険料等の情報を記載
最初に一般の生命保険料の「保険会社等の名称、保険等の種類、期間、契約者の氏名、保険金等の受取人の氏名、続柄、新・旧の区分、保険料等の金額(a)」を記載します。
一般の生命保険料については「新」と「旧」の区分があります。これを間違えると控除額を誤って計算してしまいます。控除証明書を良く確認して記載しましょう。
生命保険料の情報を記入したら、次に控除額を計算していきます。(計算機を用意しましょう。)
[2]合計額を「A」欄と「B」欄に記載
控除額を計算するため、最初に一般の生命保険料の「(a)」欄に記載した「保険料等の金額」を、「新」と「旧」に区分して合計します。
□「旧」の区分の保険料の合計 73,222円 ⇒ B欄に記載
[3]計算式に当てはめて計算した金額を①と②に記載
次に[2]で集計した合計額を、計算式に当てはめて仮の控除額を計算します。
合計額「35,855円」は、計算式Ⅰの『20,001円から40,000円まで』に該当。
「35,855円×1/2+10,000円=27,927.5円 → 27,928円 ⇒ ①欄に記載。
□「旧」の合計額(B欄)「73,222円」を計算式Ⅱに当てはめ
合計額「73,222円」は、計算式Ⅱの『50,001円から100,000円まで』に該当。
「73,222円×1/4+25,000円=43,305.5円 → 43,306円 ⇒ ②欄に記載。
計算式Ⅰと計算式Ⅱは、生命保険料控除申告書の下部に記載があります。(下の画像の黄色と薄緑色の枠囲み部分)
計算式Ⅰと計算式Ⅱ
(PC、タブレット端末のみ)
[/topic]
[4]①と②の合計、②と③の比較
次に[3]で計算した仮の控除額①と②を合計した数値(最高額は40,000円)を③に記載します。
さらに、②と③を比較して、いずれか大きい金額を㋑に記載します。
27,928円+43,306円=71,234円 > 40,000円 → 40,000円 → ③欄に記載
□ ②と③を比較して、いずれか大きい金額を㋑に記載
43,306円 > 40,000円 ∴ 43,306円 → ㋑に記載
一般の生命保険料の記載はこれで終了です。
介護医療保険料と個人年金保険料に該当する保険料のお支払いがない場合は、㋑の金額を「生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)」に記載してください。
介護医療保険料の情報
次に「介護医療保険料」について記載します。
介護医療保険料については「旧」という区分はありません。(すべて「新」に区分されます。)
控除額の計算式は、「計算式Ⅰ」の新保険料等用を使います。
「介護医療保険料」欄
(PC、タブレット端末のみ)
次のような例を想定しました。
画像のとおり、保険料控除申告書に[5]~[7]の数字を追記しましたので、例を使って順番に説明していきます。
[5]保険料等の情報を記載
最初に介護医療保険料の「保険会社等の名称、保険等の種類、期間、契約者の氏名、保険金等の受取人の氏名、続柄、保険料等の金額(a)」を記載します。
介護医療保険料の情報を記入したら、次に控除額を計算していきます。(計算機を用意しましょう。)
[6]合計額を「C」欄に記載
介護保険料の保険料等の金額((a)欄の金額)を合計し、C欄に記載します。
「介護医療保険料」欄の記載例
[7]計算式Ⅰに当てはめて計算した金額を㋺に記載
次に上記の[6]で計算した合計額を、計算式Ⅰに当てはめて控除額を計算し、㋺欄に記載します。
合計額「125,771円」が計算式Ⅰの『80,001円以上』に該当するため、40,000円を㋺欄に記載
介護医療保険料の記載はこれで終了です。
一般の生命保険料と個人年金保険料に該当する保険料のお支払いがない場合は、㋺の金額を「生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)」に記載してください。
計算式Ⅰは、生命保険料控除申告書の下部(下の画像の黄色と枠囲み部分)に記載があります。
計算式Ⅰ
(PC、タブレット端末のみ)
[/topic]
個人年金保険料の情報
次に、個人年金保険料について記載します。
「個人年金保険料」欄
(PC、タブレット端末のみ)
次のような例を想定しました。
□「新」の区分の保険料 120,000円
□「旧」の区分の保険料 90,000円
画像のとおり、保険料控除申告書に[8]~[11]の数字を追記しましたので、具体例を使って順番に説明していきます。
[8]保険料等の情報を記載
最初に個人年金保険料の「保険会社等の名称、保険等の種類、期間、契約者の氏名、保険金等の受取人の氏名、支払開始日、続柄、新・旧の区分、保険料等の金額(a)」を記載します。
一般の生命保険料については「新」と「旧」の区分があります。これを間違えると控除額を誤って計算してしまいます。控除証明書を良く確認して記載しましょう。
生命保険料の情報を記入したら、次に控除額を計算していきます。(計算機を用意しましょう。)
[9]合計額を「D」欄と「E」欄に記載
控除額を計算するため、最初に個人年金保険料の「(a)」欄に記載した「保険料等の金額」を、「新」と「旧」に区分して合計します。
□「旧」の区分の保険料の合計 90,000円 ⇒ E欄に記載
「個人年金保険料」欄の記載例
[10]計算式に当てはめて計算した金額を④と⑤に記載
次に[9]で集計した合計額を、計算式に当てはめて仮の控除額を計算します。
合計額「120,000円」は、計算式Ⅰの『40,001円以上』に該当。
40,000円 ⇒ ④欄に記載
□「旧」の合計額(E欄)「90,000円」を計算式Ⅱに当てはめ
合計額「90,000円」は、計算式Ⅱの『50,001円から100,000円まで』に該当。
「90,000円×1/4+25,000円=47,500円 → 47,500円 ⇒ ⑤欄に記載
計算式Ⅰと計算式Ⅱは、生命保険料控除申告書の下部に記載があります。(下の画像の黄色と薄緑色の枠囲み部分)
計算式Ⅰと計算式Ⅱ
(PC、タブレット端末のみ)
[/topic]
[11]④と⑤の合計、⑤と⑥の比較
次に[10]で計算した仮の控除額④と⑤を合計した数値(最高額は40,000円)を⑥に記載します。
さらに、⑤と⑥を比較して、いずれか大きい金額を㋩に記載します。
40,000円+47,500円=87,500円 > 40,000円 → 40,000円 → ⑥欄に記載
□ ⑤と⑥を比較して、いずれか大きい金額を㋩に記載
47,500円 > 40,000円 ∴ 47,500円 → ㋩に記載
個人年金保険料の記載はこれで終了です。
一般の生命保険料と介護医療保険料に該当する保険料のお支払いがない場合は、㋩の金額を「生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)」に記載してください。
生命保険料控除額計の計算
最後に、一般の生命保険料の控除額㋑、介護医療保険料の控除額㋺、個人年金保険料の控除額㋩を合計し、生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)に記載します。(最高額120,000円。)
今まで挙げた例を使用すると、次のような記載になります。
「生命保険料控除額計」欄の記載例
□[4] 一般の生命保険料の控除額㋑ 43,306円
□[7] 介護医療保険料の控除額㋺ 40,000円
□[11] 個人年金保険料の控除額㋩ 47,500円
□[12] ㋑、㋺、㋩を合計し、生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)に記載(最高120,000円)
43,306円+40,000+47,500円=130,806円 > 120,000円 ∴ 120,000円 ⇒ 生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)に記載
生命保険料控除額の記載はこれで終了です。
地震保険料の情報の記載および控除額の計算(準備中)
社会保険料控除の情報の記載(準備中)
小規模企業共済等掛金の情報の記載(準備中)
保険料控除額申告書とは?
最後に保険料控除申告書について基本的な事項に少しだけ触れておきます。
保険料控除申告書とは?
保険料控除申告書を年末調整で提出するのはなぜでしょうか?
ざっくりと回答を書くと「年末調整において、保険料の控除を受けるため」に保険料控除等申告書を勤務先に提出します。
「保険料」とは、社会保険料、小規模企業共済等掛金、新生命保険料、旧生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料、旧個人年金保険料、地震保険料です。
以下、興味のある方は、条文を確認してみてください。
国内において給与等の支払を受ける居住者は、第百九十条(年末調整)に規定する過不足の額の計算上、同条第二号ロに規定する社会保険料、小規模企業共済等掛金、新生命保険料、旧生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料、旧個人年金保険料又は地震保険料に係る控除を受けようとする場合には、その給与等の支払者(二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合には、主たる給与等の支払者)からその年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、次に掲げる事項を記載した申告書を、当該給与等の支払者を経由して、その給与等に係る所得税の第十七条(源泉徴収に係る所得税の納税地)の規定による納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
所得税法(給与所得者の保険料控除申告書)第百九十六条
国内において給与等の支払を受ける居住者は、第百九十条(年末調整)に規定する過不足の額の計算上、同条第二号ロに規定する社会保険料、小規模企業共済等掛金、新生命保険料、旧生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料、旧個人年金保険料又は地震保険料に係る控除を受けようとする場合には、その給与等の支払者(二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合には、主たる給与等の支払者)からその年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、次に掲げる事項を記載した申告書を、当該給与等の支払者を経由して、その給与等に係る所得税の第十七条(源泉徴収に係る所得税の納税地)の規定による納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
(e-Gov法令検索;所得税法(昭和四十年法律第三十三号)施行日:令和元年七月一日、最終更新:平成三十一年三月二十九日公布(平成三十一年法律第六号)改正>196条より。令和元年10月28日引用。)
国内において給与等の支払を受ける居住者は、第百九十条(年末調整)に規定する過不足の額の計算上、同条第二号ロに規定する社会保険料、小規模企業共済等掛金、新生命保険料、旧生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料、旧個人年金保険料又は地震保険料に係る控除を受けようとする場合には、その給与等の支払者(二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合には、主たる給与等の支払者)からその年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、次に掲げる事項を記載した申告書を、当該給与等の支払者を経由して、その給与等に係る所得税の第十七条(源泉徴収に係る所得税の納税地)の規定による納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
保険料控除申告書は、給与等の支払者を経由して(その給与等の支払者の)所轄税務署長に提出しなければなりません。
しかし、実際には所轄税務署長に提出することは、ほとんどありません。(提出を求められた場合は提出する必要があります。)
このことは、所得税法施行規則76条の3に規定があるので、興味がある方は条文を確認してみてください。
(給与所得者の源泉徴収に関する申告書の保存)
第七十六条の三 法第百九十四条から第百九十六条まで(給与所得者の源泉徴収に関する申告書)に規定する給与等の支払者がその給与等の支払を受ける居住者から受理したこれらの規定による申告書(法第百九十八条第二項(給与所得者の源泉徴収に関する申告書の提出時期等の特例)の規定の適用により当該給与等の支払者が提供を受けた当該申告書に記載すべき事項を含む。以下この条において「申告書等」という。)は、これらの規定に規定する税務署長が当該給与等の支払者に対しその提出を求めるまでの間、当該給与等の支払者が保存するものとする。ただし、当該申告書等に係るこれらの規定に規定する提出期限の属する年(法第百九十五条第一項(従たる給与についての扶養控除等申告書)の規定による申告書(法第百九十八条第二項の規定の適用により当該給与等の支払者が提供を受けた当該申告書に記載すべき事項を含む。)にあつては、当該申告書を法第百九十五条第一項に規定する従たる給与等の支払者が受理した日(法第百九十八条第二項の規定の適用がある場合には、当該申告書に記載すべき事項を当該従たる給与等の支払者が提供を受けた日)の属する年)の翌年一月十日の翌日から七年を経過する日後においては、この限りでない
まとめ
生命保険、地震保険、社会保険、確定拠出型年金など、様々な控除がありますので、控除証明書をもれなく用意して、「新」、「旧」などの細かい違いに注意しながら、控除額を慎重に計算しましょう。
■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■
先週末は、久しぶりに山手線に乗りました。ずっと同じ広告なのは苦痛だったな~。