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こんにちは。税理士のかわべです。
令和元年の年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるためには、「令和元年分 給与所得者の配偶者控除等申告書(以下、この記事では「配偶者控除等申告書」と記載します。)」に必要事項を記載し、勤務先に提出しなければなりません。
申告用紙は「PDF(手書き用)、PDF(入力用)、Excelファイル」の3種類(PDF(英語版)を含めると4種類)ありますが、国税庁の公式サイトでダウンロードすることできるExcelファイルでは、必要事項を入力すると、配偶者控除(又は配偶者特別控除)の金額等を自動で判定・算出してくれるので便利です。(もちろん金銭的な要件以外の要件については、事前に確認しておく必要があります。)
(ブラウザによっては、クリックするとすぐにダウンロードが始まるのでご注意ください。)
このExcelファイルの配偶者控除等申告書は、年末調整の担当者が手書きで提出された配偶者控除等申告書の記載内容と控除額をチェックする場合にもおすすめです。
今日は、Excelファイルの利用方法を中心に配偶者控除等申告書について記載します。(この記事では、非居住者に該当するようなケースは、取り扱いません。配偶者が非居住者に該当する場合の提出書類要件等は別途ご確認ください。)
参考 国税庁;No.1191 配偶者控除 web
参考 国税庁;No.1195 配偶者特別控除 web
参考 国税庁;令和元年分 年末調整のしかた web
参考 国税庁;年末調整がよくわかるページ(記事掲載日時点未公開。)
参考国税庁;令和元年分 給与所得者の配偶者控除等申告書(入力用ファイル) web
参考 国税庁;[手続名]給与所得者の配偶者控除等の申告 web
参考 国税庁;源泉所得税関係 web
令和元年分 給与所得者の配偶者控除等申告書
配偶者控除等申告書は、国税庁の公式サイトに次の3つファイルが公開されているので、状況に応じて利用することができます。
LINK 国税庁;令和元年分給与所得者の配偶者控除等申告書 入力用(PDF/1,690KB) PDF入力用
DL※ 国税庁;令和元年分 給与所得者の配偶者控除等申告書(入力用ファイル)(Excel/83KB) Excelファイル
※ Excelファイルは、上のリンクをクリックすると国税庁のサイトからダウンロードできます。(ご使用のブラウザによっては、クリック後、確認ダイアログの表示なしでダウンロードがはじまります。)
LINK 国税庁;(英語版は記事掲載日には公開されていませんでした。)
それぞれ次の国税庁のページでもダウンロードすることができます。
配偶者控除等申告書の記載例などのリンク
記載例
国税庁の公式サイトでは、6つの記載例が公開されています。
配偶者控除等のQ&Aなど
Excelファイルを利用する場合の注意事項等
Excelファイルを利用する場合の注意事項等は、次のページでご確認ください。
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配偶者控除等の要件の確認
最初に給与所得者の配偶者控除と配偶者特別控除について基本的な要件を確認しておきます。
配偶者控除の要件等
配偶者控除については、国税庁のサイトで「納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを配偶者控除といいます」と説明されています。(No.1191 配偶者控除より)
つまり、配偶者が「控除対象配偶者に該当するかどうか」が、配偶者控除を受けられるかどうかのポイントになります。
控除対象配偶者となる人の範囲については、次のように記載されています。
上の画像のとおり、配偶者控除を受けるためには、配偶者が(1)~(4)までの4つの要件を満たして「控除対象配偶者」に該当し、さらに所得者(本人)の合計所得金額(※1)が1,000万円以下であることが要件となります。
[topic color=”blue” title=”※1 合計所得金額とは?”]
合計所得金額とは? ⇒ LINK 国税庁;合計所得金額 web[/topic]
配偶者特別控除の要件等
次に配偶者特別控除の要件を確認します。
配偶者特別控除は、[emphasis]配偶者控除を受けられない場合[/emphasis]に、配偶者の所得に応じて特別に控除を受けることができる制度です。
この制度は、「配偶者控除を受けられない」場合に、「所得に応じて」適用を受けられるというのがポイントになります。
配偶者特別控除の要件等は次のとおりです。
上の画像のとおり、まず、給与の支払いを受ける所得者(本人)の合計所得金額が1,000万円以下でなければなりません。(画像の(1))
そして、配偶者が画像の(2)の4つの要件を満たしていなければなりません。
また、画像の(3)のとおり、配偶者が配偶者特別控除を適用していないことも要件となります。(配偶者特別控除は夫婦の間で互いに適用することができません。)
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Excelファイルの利用
配偶者控除と配偶者特別控除の要件は上記のとおりですが、「合計所得金額」や「控除額」については、配偶者控除等申告書を作成することで確認することができます。
合計所得金額は電卓等を使って手入力で計算することもできますが、給与所得控除の計算など、慣れていない人にとっては面倒と感じてしまう計算もありますので、自動で計算してくれるExcelファイルがおすすめです。
Excelファイルは、以下のリンクをクリックすると国税庁の公式サイトからダウンロードできます。
(ブラウザによっては、クリックするとすぐにダウンロードが始まるのでご注意ください。)
配偶者控除等申告書を作成する場合の「合計所得金額」は、(その申告書を作成する時点の)見積額で計算します。
見積額と確定額に差額が合った場合は、源泉徴収票を渡す翌年の1月末(令和元年分なら令和2年1月末)までの間に再調整することになります。[/topic]
Excelファイルを利用する場合は、環境を確認してください。(Macでは使えないらしい・・・・・・残念。確認していません。)
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Exelファイルの基本操作
最初に、このExcelファイルの基本的な仕組みを確認しておきます。
(PC、タブレット端末のみ)
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入力セルと自動処理セル
このExcelファイルをダウンロードして開くと、1枚のシートが表示されます。
このシートは、パスワードで保護されていて、「入力するセル」、「自動処理されるセル」、「何も変更できないセル」があります。
□ 自動処理セル・・・・・・ドット(水玉) ⇒ 自動処理後には白色
□ その他のセル・・・・・・白色
(PC、タブレット端末のみ)
たとえば、配偶者の生年月日を入力してみます。(画像の緑色の枠囲み部分。)
生年月日は、ドロップダウンリストで選択して入力します。
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(PC、タブレット端末のみ)
入力後、画像のように生年月日のうすだいだい色が白色に変化しました。
また、(画像のケースでは)配偶者の生年月日セルの下に表示されている「老人控除対象配偶者」のセルに「○」印が自動で表示されました。(画像の赤色の丸囲み部分)
このように、判定に必要な事項の入力が完了している場合(合計所得金額(見積額)等の入力が完了している場合)には、自動で変更されます。(生年月日を入力する前の時点では、「老人控除対象配偶者」のセルのセルはドット(水玉)でした。)
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このように配偶者控除等申告書のExcelファイルでは、うすだいだい色の部分に必要事項を入力していくことで、自動計算され、最終的に控除額(あるいは控除を受けることができない)が表示される仕組みとなっています。
印刷するときには、背景色はすべて白色になります。
入力漏れとメッセージ表示
(PC、タブレット端末のみ)
このExcelファイルでは、配偶者控除等の金額の判定に必要な条件をすべて入力しないと控除額を算出してくれない仕組みになっています。
「配偶者特別控除を算出するだけなら、年齢は関係ないのでは?」と疑問に思うかと思いますが、生年月日を入力しないと、控除額を算定してくれないのです。
画像のように入力漏れがあるとメッセージ(画像のピンク色の枠囲み部分)が表示されます。
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適用がない場合のメッセージ表示
(PC、タブレット端末のみ)
配偶者控除と配偶者特別控除のどちらも適用を受けることができない場合は、必要事項を入力後も控除額のセルの背景色がドット(水玉)のままです。(画像の赤色の丸囲み部分)
適用がない場合は、区分Ⅰに「1,000万円超です。」または区分Ⅱに「123万円超です。」というメッセージが表示されます。(画像のピンク色の枠囲み部分)
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Excelファイルの入力手順
入力手順は次のとおりです。(どこから入力しても、記入もれがなければ結果に違いは生じません。)
では、早速、具体的な計算例を入力して配偶者控除等の額を確認してみます。
Excelファイルを使って配偶者控除等の確認(具体例)
「配偶者控除」に該当する例
次のような配偶者控除に該当する例を想定し、Excelファイルに入力して、結果を確認してみました。
□ 配偶者の合計所得金額(見積額)・・・・・・給与収入のみ 100万円
□ 配偶者の生年月日 平成3年3月3日
(配偶者控除を受けるためのほかの要件は満たしているものと想定します。)
配偶者の生年月日の入力
(PC、タブレット端末のみ)
最初に配偶者の生年月日を入力してみました。(画像の①の緑色の枠囲み部分。)
この例では、「平成3年3月3日」を想定しましたので「老人控除対象配偶者(令和元年年12月31日で70歳以上)」には該当しません。
配偶者控除等の判定に必要な条件をすべて入力すると「老人控除対象配偶者」の欄が、ドット(水玉)の背景色が白色になりますが、画像では、すべての条件を入力していないため、ドット(水玉)のままです。(本人と配偶者の合計所得金額(見積額)を入力すると白色になりますので、それらの数値を入力後の画像で確認してみてください。)
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本人の合計所得金額(見積額)の入力
(PC、タブレット端末のみ)
次に本人の合計所得金額の見積額(この例では給与収入のみ)を入力していみました。
「あなたの合計所得金額(見積額)」の「給与所得(1)」の「収入金額等ⓐ」に450万(「4,500,000」)を入力しました。(画像の②の緑色の枠囲み部分。)
画像が小さくてわかり難いかと思いますが、450万円を入力すると、「所得金額(ⓑ-ⓑ)」が自動で計算されます。
給与の収入金額が450万円の場合、所得金額(※2)は、360万円となります。この例では、本人の収入を給与収入だけと想定していますので、「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」も360万円となります。(画像の水色の枠囲み部分。3か所とも)
区分Ⅰの判定欄の「900万円以下(A)」に☑がつきます。(セルがドット(水玉)から白色に変更されます。)さらに、その右側の「区分Ⅰ」に「A」と表示されます。(画像の紫色の枠囲み部分)
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[topic color=”blue” title=”※2 給与所得控除とは?”]
給与[emphasis]所得[/emphasis]は、収入金額から一定の方法で算出した控除額を控除して算出します。
この控除額を「給与所得控除」といいます。(控除した後の金額を「給与所得控除後の給与等の金額」といいます。)
LINK 国税庁;No.1410 給与所得控除 web[/topic]
[lnvoicer icon=”https://ar-kawabe.com/blog/wp-content/uploads/2015/06/1527_Ako_NC_31.jpg” name=”管理人”]このExcelファイルは、「給与所得控除後の給与等の金額」を自動計算してくれるので、便利なのです。[/lnvoicer]
配偶者の合計所得金額(見積額)の入力
(PC、タブレット端末のみ)
次に配偶者の合計所得金額(見積額)を入力します。
「配偶者の合計所得金額(見積額)」の「給与所得(1)」の「収入金額等ⓐ」に100万(「1,000,000」)を入力しました。(画像の③の緑色の枠囲み部分。)
100万円を入力すると、(本人の所得計算欄と同じく)「所得金額(ⓑ-ⓑ)」が自動で計算されます。
給与の収入金額が100万円の場合、所得金額は、35万円となります。この例では、配偶者の収入を給与収入だけと想定していますので、「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」も35万円となります。(画像の水色の枠囲み部分。3か所とも)
配偶者の年齢が70歳未満であることから、区分Ⅱの判定欄の「38万円以下かつ年齢70歳未満」に☑がつきます。(セルがドット(水玉)から白色に変更されます。)さらに、その右側の「区分Ⅱ」に「②」と表示されます。(画像のオレンジ色の枠囲み部分)
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配偶者控除の額の算定
(PC、タブレット端末のみ)
このExcelファイルでは、区分Ⅰと区分Ⅱが自動で判定されると、配偶者控除額も自動で算出されます。
この例では、区分Ⅰが「A」、区分Ⅱが「②」ですので、「控除額の計算」の一覧表のAと②の交点にある数値「380,000円」が配偶者控除の額となります。(下の画像の赤色の枠囲み部分)
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「配偶者特別控除」に該当する例
次のような配偶者特別控除に該当する例を想定し、Excelファイルに入力して、結果を確認してみました。
・・・・・・給与収入 1,120万円
・・・・・・不動産収入 72万円、 不動産経費 12万円
□ 配偶者の合計所得金額(見積額)・・・・・・給与収入のみ 180万円
□ 配偶者の生年月日 昭和24年12月12日
(配偶者特別控除を受けるためのほかの要件は満たしているものと想定します。)
配偶者の生年月日の入力
(PC、タブレット端末のみ)
最初に配偶者の生年月日を入力してみました。(画像の⑤の緑色の枠囲み部分。)
この例では、「昭和24年3月3日」を想定しましたので令和元年年12月31日で70歳以上となりますが、配偶者控除等の判定に必要な条件をを入力していないため、ドット(水玉)のままです。(本人と配偶者の合計所得金額(見積額)を入力すると白色になりますので、それらの数値を入力後の画像で確認してみてください。)
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本人の合計所得金額(見積額)の入力
(PC、タブレット端末のみ)
次に本人の合計所得金額の見積額(この例では給与と不動産の収入)を入力しました。
● 給与所得
「あなたの合計所得金額(見積額)」の「給与所得(1)」の「収入金額等ⓐ」に1,120万(「11,200,000」)を入力しました。(画像の⑥の緑色の枠囲み部分。)
入力すると「所得金額(ⓑ-ⓑ)」が自動で計算されます。給与の収入金額が1,120万円の場合、所得金額(※2)は、900万円(「9,000,000」)となります。(画像の給与所得の欄の水色の枠囲み部分。)
● 不動産所得
「不動産所得(5)」の「収入金額等ⓐ」に72万(「720,000」)、「必要経費等ⓑ」に12万(「120,000」(画像の⑦の緑色の枠囲み部分。)
入力すると、「所得金額(ⓑ-ⓑ)」が自動で計算され60万円(「600,000」)と表示されます。(画像の不動産所得の欄の水色の枠囲み部分。)
● あなたの本年中の合計所得金額の見積額
この例では、給与所得と不動産所得の合計960万円が「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」となります。(画像の「(1)~(7)の合計額」の水色の枠囲み部分。)
● 区分Ⅰの判定欄
区分Ⅰの判定欄の「950万円超1,000万円以下(c)」に☑がつきます。(セルがドット(水玉)から白色に変更されます。)
さらに、その右側の「区分Ⅰ」に「C」と表示されます。(画像の紫色の枠囲み部分)
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配偶者の合計所得金額(見積額)の入力
(PC、タブレット端末のみ)
次に配偶者の合計所得金額(見積額)を入力します。
「配偶者の合計所得金額(見積額)」の「給与所得(1)」の「収入金額等ⓐ」に100万(「1,000,000」)を入力しました。(画像の⑧の緑色の枠囲み部分。)
180万円を入力すると、(本人の所得計算欄と同じく)「所得金額(ⓑ-ⓑ)」が自動で計算されます。給与の収入金額が180万円の場合、所得金額は、108万円となります。この例では、配偶者の収入を給与収入だけと想定していますので、「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」も108万円となります。(画像の欄の水色の枠囲み部分。3か所とも)
区分Ⅱの判定欄の「85万円超123万円以下」に☑がつきます。(セルが水玉から白色に変更されます。)さらに、その右側の「区分Ⅱ」に「④」と表示されます。(画像のオレンジ色の枠囲み部分)
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配偶者特別控除額の算定
(PC、タブレット端末のみ)
このExcelファイルでは、区分Ⅰと区分Ⅱが自動で判定されると、配偶者控除額も自動で算出されます。
区分Ⅱが「④」に該当する場合は、配偶者の合計所得金額を確認する必要があります。(この例では108万円。)
この例では、区分Ⅰが「C」、区分Ⅱが「④」の「105万円超、110万円以下」ですので、「控除額の計算」の一覧表のCと④105万円超、110万円以下の交点にある数値「60,000円」が配偶者特別控除の額となります。(下の画像の赤色の枠囲み部分)
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まとめ
給与所得者の配偶者控除等を計算するならExcelファイルがおすすめですが、次の点に留意する必要があるようです。
[aside type=”boader”]
- 配偶者特別控除の控除額を算出するケースでも配偶者の生年月日が必要
- 合計所得金額は提出時点での「見積額」で算出するため、最終的な合計所得金額の確定額が見積額と異なった場合は、再調整が必要。
- 個人番号の記載ルールは会社に確認
- 配偶者が非居住者に該当する場合は、別途添付資料が必要
[/aside]
■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■
週末は、黒いタピオカの入ったドリンクを初めて飲みました。
タピオカがもちもちしていて美味しかった。