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こんにちは。税理士のかわべです。
この記事では、給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の見方について、初心者向けになるべくわかりやすく記載したいと思います。
「源泉徴収税額表」については、以下の国税庁の公式サイトの掲載ページからダウンロードしてください。「日額表(PDF)」のリンク先も貼っておきます。
なお、この記事では居住者に対して支払う給与を想定しています。
参考 e-Gov>法令検索;所得税法施行令 web
参考 所得税法基本通達;法第183条《源泉徴収義務》関係 web
参考 国税庁;No.2502 源泉徴収義務者とは web
参考 国税庁;令和3年版 源泉徴収のしかた web
参考 国税庁;令和3年分 源泉徴収税額表 web
給与所得の源泉徴収税額表とは?
源泉徴収税額表
この章では(日額表)の対象となる給与について確認しておきます。
給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の対象となる給与等
「給与所得の源泉徴収税額表(日額表)」(以下、「源泉徴収税額表(日額表)」と表記。)は、国税庁のNo.2511 税額表の種類と使い方に記載されているとおり4つの給与等を対象にしています。
週ごとに支払うもの、日割りで支払うものなどの給与にも「日額表」を使用することに注意しましょう。
月額表、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表を使う場合
この記事では、月額表と賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表については説明しませんので、 国税庁のNo.2511 税額表の種類と使い方で確認してみてください。
源泉徴収税額表(日額表)の見方
この章では、源泉徴収税額表(日額表)を使いながら、表の見方を確認します。
源泉徴収税額表(日額表)の基本
日額表の1ページ目の一部
源泉徴収税額表(日額表)は、大きく4つに区分されています。
● 「甲」欄(扶養親族等の数により8列に区分。上の画像の赤色の枠囲み部分。)
● 「乙」欄(1列。上の画像の緑色の枠囲み部分。)
● 「丙」欄(1列。上の画像のオレンジ色の枠囲み部分。)
まずは、大きく4つに分かれていることを知っておきましょう。
毎日の給与に対する源泉徴収税額は、給与所得者のその日の給与と扶養親族等の状況を、ルールに従って源泉徴収税額表(日額表)の4つの区分にあてはめて算出するという仕組みになっています。
税額を算出するステップ
表を見ただけで、使い方はある程度、予想できるかと思いますが、税額を算出するステップは次のとおりです。
社会保険料控除後の給与等の金額や扶養親族等の数については、次の章で説明していきますが、先に具体的な例で算出ステップを確認してみます。
「甲欄」に該当する場合の具体例
使い方はある程度、予想できるかと思いますが、ためしに、税額を算出してみましょう。
最初に「甲欄」に該当する場合の具体例を確認します。次のような条件を想定しました。
□ その日の社会保険料控除後の給与等の金額 18,050円
□ 扶養控除等申告書の提出があり、扶養親族等の数は3人
この条件で税額を算出してみます。
日額表の4ページ目の一部
源泉徴収税額表(日額表)では、「その日の社会保険料控除後の給与等の金額」と「甲」(又は「乙」もしくは「丙」)の交点が求める税額になります。では、先ほどの条件で税額を算出してみます。
→ 「18,000円以上、18,100円未満」の行(上の画像の水色の枠囲み部分)
→ 「甲欄 3人」の列(上の画像の緑色の丸囲み部分)
この例では、「610円」(上の画像の赤色の丸囲み部分)
「乙欄」に該当する場合の具体例
源泉徴収税額表(日額表)の「乙欄」で税額を算出方法を具体例で確認しておきます。
● その日の社会保険料等控除後の給与等の金額が13,250円
● 扶養控除等申告書の提出なし
● 日雇賃金に該当しない
日額表の3ページ目の一部
→ 「13,200円以上、13,300円未満」の行(上の画像の水色の枠囲み部分)
→ 「乙欄」の列(上の画像の緑色の丸囲み部分)
この例では、「2,960円」(上の画像の赤色の丸囲み部分)
「丙欄」に該当する場合の具体例
日雇賃金に該当する場合は、「丙欄」で税額を算出しますが、算出方法は、上記の乙欄のケースと似ていますので省略いたします。
「丙欄」で算出する場合は、「どのような給与が日雇賃金に該当するか?」ということが重要なポイントとなりますので、次の章のなかで確認していきます。
税額を算出するためのポイント
上の具体例で税額を算出するためのイメージはつかめたかと思いますが、源泉徴収税額表(日額表)で税額を算出するためには、給与を支給する従業員について次の2つの事項を確認しておかなければいけません。
□ 甲欄、乙欄、丙欄のいずれに該当するか?
□ 甲欄に該当する場合、扶養親族等の数は何人になるか?
それぞれどのように確認するかを解説します。
その日の社会保険料等控除後の給与等の金額とは?
「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」とは、『給与の金額から健康保険、厚生年金、雇用保険等の社会保険料等を控除した金額』です。(そのままです)
この後に説明する「扶養親族等の数」よりはシンプルで理解しやすいかと思いますが、非課税通勤手当など、源泉所得税額を算出する場合に計算に含めない手当てもありますので、Excel等でオリジナルの給与明細書を作成する場合などは、注意しましょう。
※1 非課税通手金手当以外の支給で非課税となるものなど給与計算の範囲については、次のリンク先で確認してみてください。
給与明細書で確認
簡易的な給与明細書をExcelで再現してみました。
上の画像のピンク色の枠囲み部分(18,050円)が「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」になります。
残業手当や社会保険料の控除額によって毎日変わる可能性があります。(つまり、源泉徴収税額も毎日変わる可能性があります。)
ポイントは、非課税通勤費を「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」に含めないこと。
上の画像の例では「小計」18,138円(非課税通勤費を加算する前の金額)から「社会保険料」88円を差し引いて「その日の社会保険料控除後の金額」を算出しています。
「甲欄」、「乙欄」、「丙欄」の違いとは?
源泉徴収税額表(日額表)には「甲欄」、「乙欄」、「丙欄」がありますが、次のような違いがあります。
⇒ 給与所得者からその年の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出が[emphasis]ある[/emphasis]場合に参照する列(日雇賃金を除きます。)
● 乙欄
⇒ 給与所得者からその年の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出が[emphasis]ない[/emphasis]場合に参照する列(日雇賃金を除きます。)
● 丙欄
⇒ 日雇賃金の場合に参照する列
日雇賃金とは?
日雇賃金とは、その言葉通り、日雇いの人に支払われる賃金となります。国税庁の「令和3年版 源泉徴収のしかた」を引用しておきます。
日雇賃金とは?
上記の引用文とおり、源泉徴収税額表(日額表)の「丙欄」を適用する給与は、ざっくり言うと「日雇い労働者に、労働した日ごとに支払う給与等は丙欄(を使って税額を算出する)」と考えて良いと思います。
甲欄のケース
従業員等からその年の初めに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(以下、「扶養控除等申告書」と記載します。)」を受け取っている場合は、「甲欄」を参照します。
正社員や常勤の役員の場合は、扶養控除等申告書の提出を受け「甲欄」を適用するケースが多いかと思います。
乙欄のケース
非常勤の役員やパート、アルバイトなど2以上の勤務先に勤務している場合は、[emphasis]他の勤務先[/emphasis]に扶養控除等申告書を提出している場合もあるかと思います。
扶養控除等申告書は、(同時に勤務する複数の)勤務先のうち1か所にしか提出できないため、従業員から提出がない場合には、「乙欄」を適用することになります。(日雇賃金に該当するケースを除きます。)
「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」って何だろう?と気になった場合は、次の記事を参考にしてみてください。
関連記事 2か所の勤務先から給与の支払いを受ける場合の従たる給与についての扶養控除等申告書
丙欄のケース
日雇賃金の場合は、「丙欄」を参照します。
「甲欄」に該当する場合の「扶養親族等の数」とは?
次に、源泉徴収税額表の「甲欄」を使用する場合の「扶養親族等の数」(0人~7人)について確認していきます。(※2)
「扶養親族等の数」は、従業員から提出された「扶養控除等申告書」を参考に算出しますので、手元に準備してから記事を読み進めてみてください。
※2 扶養親族等の数が「8人以上」になった場合の取り扱いについては、この記事の下部の「いろいろな算出方法」の章に記載しましたので、そちらをお読みください。
「扶養親族等の数」の算出方法
「扶養親族等の数」の算出方法は次のとおりです。
□ 源泉控除対象配偶者はいるか?
⇒ いる場合は「1人」
□ 控除対象扶養親族はいるか?
⇒ いる場合はその人数
□ 障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生等に該当するか?
⇒ 該当する場合は、該当するごとに1人を加算
正確な説明は、国税庁の令和3年版 源泉徴収のしかたに記載されていますので、以下に引用します。
税額表の適用方法、税額の求め方(15ページ)の一部
(中略)
(2)税額表の甲欄は、給与等の支払を受ける人の扶養親族等の数に応じて使用するようになっています。
この「扶養親族等の数」とは、源泉控除対象配偶者と控除対象扶養親族(老人扶養親族又は特定扶養親族を含みます。)との合計数をいいます(注)。
また、給与等の支払を受ける人が、障害者(特別障害者を含みます。)、寡婦、ひとり親又は勤労学生に該当する場合には、これらの一に該当するごとに扶養親族等の数に1人を加算し、その人の同一生計配偶者や扶養親族(年齢 16 歳未満の人を含みます。)のうちに障害者(特別障害者を含みます。)又は同居特別障害者に該当する人がいる場合には、これらの一に該当するごとに扶養親族等の数に1人を加算した数を扶養親族等の数とします(所法 187)。
なお、配偶者に係る扶養親族等の数の数え方は次の【参考:配偶者に係る扶養親族等の数の数え方】のとおりです。
また、扶養親族等の数を算定する際には、下記の〔扶養親族等の数の算定方法〕を参考にしてください。
(注) 夫婦の双方がお互いに源泉控除対象配偶者に係る配偶者(特別)控除の適用を受けることはできませんので、ご注意ください。
関連記事 平成30年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書に記載する源泉控除対象配偶者とは?
また、令和2年から、それまで「寡婦、特別の寡婦、寡夫」に整理されていた制度が、寡婦とひとり親控除という制度に整理されました。ひとり親控除については、次の記事を参考にしてみてください。
関連記事 ひとり親控除って何?寡婦控除との違いを整理。(令和2年、年末調整)
関連記事 ひとり親、寡婦の確認チャート(令和2年分、オリジナル)
この専門的な用語について確認することも大事なのですが、記事が長くなり過ぎてしまうため、この記事では省略いたひます。次のリンク先で確認してみてください。
LINK 国税庁;令和3年版 源泉徴収のしかた>給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、源泉徴収に際して控除される各種控除>3 控除対象者等の範囲(10ページ) PDF
「扶養親族等の数」の具体的な数え方については、次の記事を参照してください。
まとめ
源泉徴収税額表の見方のポイントは、次のとおりです。
● 扶養控除等申告書の提出の有無を確認 ⇒ 提出がない場合で日雇賃金に該当しない場合は「乙欄」、該当する場合は「丙欄」で計算。
● 扶養親族等の数を毎月確認 ⇒ 障害者、ひとり親、寡婦のケースに注意。また、4月など就職時期には特に注意が必要。
源泉徴収税額表の準備
源泉徴収税額表は、年末に年末調整資料と一緒に新しい税額表が送られてきますが、国税庁の次のページからダウンロードすることもできます。
■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■
先週は、ネット回線の不具合により記事の更新ができませんでした。ネットが繋がらないって、ちょー不便ですね。