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こんにちは。税理士のかわべです。
令和6年分の給与所得者の保険料控除申告書(この記事では以下「保険料控除申告書」と記載します。)のうち、「生命保険料」の控除欄の書き方についてまとめてみました。
保険料控除申告書は、次のリンク先からダウンロードすることができます。(リンク先は国税庁の公式サイトです。)
■ LINK 国税庁;令和6年分 給与所得者の保険料控除申告書 PDF
⇒ ■ LINK 国税庁;入力用 PDF
⇒ ■ LINK 国税庁;記載例 PDF
■ LINK 国税庁;A2-3 給与所得者の保険料控除の申告 web
この記事は、令和6年10月31日時点で確認することができる情報に基づき作成しています。法令の改正等があった場合は、記事内容と取り扱いが異なるケースもありますので、ご了承ください。
● 参考 国税庁;令和6年分 給与所得者の保険料控除申告書 PDF
● 参考 国税庁;令和6年分 給与所得者の保険料控除申告書 入力用 PDF
● 参考 国税庁;《記載例》令和6年分給与所得者の保険料控除申告書の記載例 PDF
● 参考 国税庁;A2-3 給与所得者の保険料控除の申告 Web
● 参考 国税庁;No.1130 社会保険料控除 Web
● 参考 国税庁;No.1135 小規模企業共済等掛金控除 Web
● 参考 国税庁;No.1140 生命保険料控除 Web
● 参考 国税庁;No.1145 地震保険料控除 Web
● 参考 国税庁;令和6年分 年末調整のしかた web
● 参考 国税庁;令和6年分 年末調整のしかた PDF
● 参考 国税庁;源泉所得税関係 web
目次 表示
保険料控除申告書の書き方(生命保険料控除)
給与所得者の保険料控除申告書
保険料控除申告書のうち生命保険料控除の欄(上の画像の赤い枠囲み部分)の書き方を簡単に説明していきます。
生命保険料の情報を記載する前の準備
書き方を説明する前に、準備について記載しておきます。
計算機の準備
控除額を計算するため、計算機(電卓アプリなど。8桁ぐらいの計算ができればOK)があった方が良いでしょう。(控除額を暗算で計算できるケースもありますが……)
対象となる保険料の範囲の確認( 生命保険料控除証明書の準備 )
生命保険料の情報を書き始める前に、加入している生命保険が生命保険料控除の対象かどうかを確認してください。
給与所得者の保険料控除申告書
控除の対象となる保険料の範囲等
控除の対象となる保険料の範囲等については、保険料控除申告書の裏面(上の画像の水色の枠囲み部分)に記載がありますが、毎年10月から11月にかけて自宅などに届く「生命保険料控除証明書」を確認することによって対象かどうかを判断できるかと思います。
「生命保険料控除証明書」は、封筒、はがきなど保険会社によってサイズは異なります。 11月上旬になっても証明書が届かない場合は、代理店等に確認するようにしましょう。(以下にもちょっと触れていますが、一部、控除証明書の添付が不要となる保険契約もあるようです。)
生命保険料控除証明書の内容の確認(生命保険料の区分の確認)
生命保険料控除証明書が手元にある場合は、証明書を見て次の3つ(「新」、「旧」の区分も含めると5つ)の区分のどの区分に当てはまるかを参照して確認しておきましょう。
● 一般の生命保険料(「新」、「旧」の区分あり)
● 介護医療保険料
● 個人年金保険料(「新」、「旧」の区分あり)
保険料控除証明書の見方がよくわからない場合は、各保険会社のサイトを参照してみてください。
例・・・かんぽ生命 ⇒ ■ LINK 生命保険料控除申告サポートツール Web
控除証明書が間に合わないとき
給与所得者の保険料控除申告書
証明書類を添付できない場合
控除証明書を紛失した場合や、加入年月が遅かったために、証明書の発行が年末調整の計算時期までに間に合わないときは、令和7年1月31日までに証明書を提出することを条件に、控除を受けることができます。
控除証明書が手元になく保険料控除申告書を記載しなければいけない場合、控除額を計算するためにいくつか確認しなければならない事項がありますので、次の記事を参考にしてください。(昨年の記事ですので、日付等については、1年後を想定してお読みください。)
★ 関連記事 【令和5年分】保険料控除証明書が年末調整計算までに間に合わない場合 Web
控除証明書の添付が不要の場合
給与所得者の保険料控除申告書
添付書類(控除証明書の添付が不要となる場合など)
「生命保険料控除証明書」は、原則として、保険料控除申告書に添付することになります。(「生命保険会社等が発行した証明書類」を添付することが原則となります。)
しかし、一般の生命保険料の「旧」の区分の一契約の保険料が9,000円以下のものについては、証明書を添付しなくても良いことになっています。
また、勤務先で加入した団体特約の生命保険料については、勤務先の代表者等の確認を受ければ、証明書を添付しなくて良いことになっています。
添付書類等については、保険料控除申告書の裏面(上の画像の水色の枠囲み部分)に記載がありますので一読しておくと良いかと思います。
保険料控除申告書の記載順
記載する順番は気にする必要はありませんが、この記事では、次の順に確認していきます。
給与所得者本人の情報の記載
「一般の生命保険料」の情報を記載
「介護医療保険料」の情報を記載
「個人年金保険料」の情報を記載
「生命保険料控除計」を記載(計算)
給与所得者本人の情報の記載
給与所得者の保険料控除申告書
「フリガナ、氏名、住所」欄
最初に給与所得者本人の情報「フリガナ、氏名、住所」を右上に記載します。 給与所得者本人の情報については特に難しい点はありません。 左上の所轄税務署の名称や給与支払者(勤務先)の名称等は、通常、勤務先が記載するため、記載する必要はありません。
一般の生命保険料の情報の書き方
給与所得者の保険料控除申告書の生命保険料控除の欄は、上から「一般」、「介護医療」、「個人年金」と区分されていますので、最初に「一般の生命保険料」について記載します。
手元の控除証明書を確認し、加入している生命保険が「一般の生命保険料」に区分されている場合は、この欄に記載します。
給与所得者の保険料控除申告書
「一般の生命保険料」欄
画像のとおり、保険料控除申告書に[11]~[14]の数字を追記しましたので、例を使って順番に説明していきます。次のような例を想定しました。
【 例 】(保険会社等の名称は省略)
□ 一般の生命保険料に該当し「新」の区分の保険料 35,855円
□ 一般の生命保険料に該当し「旧」の区分の保険料 73,222円
給与所得者の保険料控除申告書
「一般の生命保険料」欄の記載例
[11] 保険料等の情報を記載
最初に一般の生命保険料の「保険会社等の名称、保険等の種類、期間、契約者の氏名、保険金等の受取人の氏名、続柄、新・旧の区分、保険料等の金額(a)」を記載します。
一般の生命保険料については「新」と「旧」の区分があります。これを間違えると控除額を誤って計算してしまいます。控除証明書を良く確認して記載しましょう。 生命保険料の情報を記入したら、次に控除額を計算していきます。(計算機を用意しましょう。)
[12] 各保険料を区分ごとに合計して「A」欄と「B」欄に記載
控除額を計算するため、一般の生命保険料の「(a)」欄に記載した「保険料等の金額」を、「新」と「旧」に区分して合計します。
□「新」の区分の保険料の合計 35,855円 ⇒ A欄に記載
□「旧」の区分の保険料の合計 73,222円 ⇒ B欄に記載
[13] 控除額の計算をして①欄と②欄に記載
次に[12]で集計した「新」「旧」の区分ごとの合計額を、区分ごとに計算式に当てはめて仮の控除額を計算します。
給与所得者の保険料控除申告書
生命保険料控除額の計算式
□「新」の合計額(A欄)「35,855円」を計算式Ⅰに当てはめ
合計額「35,855円」は、計算式Ⅰの『20,001円から40,000円まで』に該当。
● 35,855円×1/2+10,000円=27,927.5円 → 27,928円 ⇒ ①欄に記載。
□「旧」の合計額(B欄)「73,222円」を計算式Ⅱに当てはめ
合計額「73,222円」は、計算式Ⅱの『50,001円から100,000円まで』に該当。
● 73,222円×1/4+25,000円=43,305.5円 → 43,306円 ⇒ ②欄に記載。
「控除額の計算において算出した金額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げた数値」になります。
[14] ①欄と②欄の合計を算出し、②欄と③欄を比較する
次に[13]で計算した仮の控除額の①欄の数値と②欄の数値を合計した数値(最高額は40,000円)を③欄に記載します。
さらに、②欄と③欄を比較して、いずれか大きい金額を㋑に記載します。
□ ①と②の合計額を③欄に記載(最高額は40,000円)
27,928円+43,306円=71,234円 > 40,000円 → 40,000円 → ③欄に記載
□ ②と③を比較して、いずれか大きい金額を㋑に記載
43,306円 > 40,000円 ∴ 43,306円 → ㋑に記載
※ 「生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)」の記載
以下に説明する介護医療保険料と個人年金保険料に該当する保険料の支払いがない場合は、㋑の金額を「生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)」に記載してください。
一般の生命保険料の記載はこれで終了です。
介護医療保険料の情報の書き方
次に「介護医療保険料」について記載します。
手元の控除証明書を確認し、加入している生命保険が「介護医療保険料」に区分されている場合は、この欄に記載します。
介護医療保険料については「旧」という区分はありません。(すべて「新」に区分されます。)控除額の計算式は、「計算式Ⅰ」の新保険料等用を使います。
給与所得者の保険料控除申告書
「介護医療保険料」欄
画像のとおり、保険料控除申告書に[21]~[23]の数字を追記しましたので、例を使って順番に説明していきます。次のような例を想定しました。
【 例 】(保険会社等の名称は省略) □ 介護医療保険料 125,771円
給与所得者の保険料控除申告書
「介護医療保険料」欄の記載例
[21] 保険料等の情報を記載
最初に介護医療保険料の「保険会社等の名称、保険等の種類、期間、契約者の氏名、保険金等の受取人の氏名、続柄、保険料等の金額(a)」を記載します。 介護医療保険料の情報を記入したら、次に控除額を計算していきます。(計算機を用意しましょう。)
[22] 合計額を「C」欄に記載
介護医療保険料の保険料等の金額((a)欄の金額)を合計し、C欄に記載します。
□ 介護医療保険料の合計 125,771円 ⇒ C欄に記載
[23] 計算式Ⅰに当てはめて計算した金額を㋺に記載
次に上記の[22]で計算した合計額を、計算式Ⅰに当てはめて控除額を計算し、㋺欄に記載します。
給与所得者の保険料控除申告書
生命保険料控除額の計算式
□ 合計額(C欄)「125,771円」を計算式Ⅰに当てはめ
合計額「125,771円」が計算式Ⅰの『80,001円以上』に該当するため、40,000円を㋺欄に記載
「控除額の計算において算出した金額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げた数値」になります。
※ 「生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)」の記載
一般の生命保険料と個人年金保険料に該当する保険料の支払いがない場合は、㋺の金額を「生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)」に記載してください。
介護医療保険料の記載はこれで終了です。
個人年金保険料の情報の書き方
次に、個人年金保険料について記載します。
手元の控除証明書を確認し、加入している生命保険が「個人年金保険料」に区分されている場合は、この欄に記載します。
給与所得者の保険料控除申告書
「個人年金保険料」欄
画像のとおり、保険料控除申告書に[31]~[34]の数字を追記しましたので、例を使って順番に説明していきます。次のような例を想定しました。
【 例 】(保険会社等の名称は省略)
□ 個人年金保険料に該当し「新」の区分の保険料 120,000円
□ 個人年金保険料に該当し「旧」の区分の保険料 90,000円
給与所得者の保険料控除申告書
「個人年金保険料」欄の記載例
[31] 保険料等の情報を記載
最初に個人年金保険料の「保険会社等の名称、保険等の種類、期間、契約者の氏名、保険金等の受取人の氏名、支払開始日、続柄、新・旧の区分、保険料等の金額(a)」を記載します。
個人年金保険料については「新」と「旧」の区分があります。これを間違えると控除額を誤って計算してしまいます。控除証明書を良く確認して記載しましょう。
生命保険料の情報を記入したら、次に控除額を計算していきます。(計算機を用意しましょう。)
[32] 各保険料を区分ごとに合計して「D」欄と「E」欄に記載
控除額を計算するため、個人年金保険料の「(a)」欄に記載した「保険料等の金額」を、「新」と「旧」に区分して合計します。
□「新」の区分の保険料の合計 120,000円 ⇒ D欄に記載
□「旧」の区分の保険料の合計 90,000円 ⇒ E欄に記載
[33] 控除額を計算して④欄と⑤欄に記載
次に[33]で集計した「新」「旧」の区分ごとの合計額を、区分ごとに計算式に当てはめて仮の控除額を計算します。
給与所得者の保険料控除申告書
生命保険料控除額の計算式
□「新」の合計額(D欄)「120,000円」を計算式Ⅰに当てはめ
合計額「120,000円」は、計算式Ⅰの『40,001円以上』に該当。
● 40,000円 ⇒ ④欄に記載
□「旧」の合計額(E欄)「90,000円」を計算式Ⅱに当てはめ
合計額「90,000円」は、計算式Ⅱの『50,001円から100,000円まで』に該当。
● 90,000円×1/4+25,000円=47,500円 → 47,500円 ⇒ ⑤欄に記載
「控除額の計算において算出した金額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げた数値」になります。
[34] ④欄と⑤欄の合計を算出し、⑤欄と⑥欄を比較する
次に[33]で計算した仮の控除額の④欄の数値と⑤欄の数値を合計した数値(最高額は40,000円)を⑥に記載します。
さらに、⑤欄と⑥欄を比較して、いずれか大きい金額を㋩に記載します。
□ ④と⑤の合計額を⑥欄に記載(最高額は40,000円)
40,000円+47,500円=87,500円 > 40,000円 → 40,000円 → ⑥欄に記載
□ ⑤と⑥を比較して、いずれか大きい金額を㋩に記載
47,500円 > 40,000円 ∴ 47,500円 → ㋩に記載
※ 「生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)」の記載
一般の生命保険料と介護医療保険料に該当する保険料の支払いがない場合は、㋩の金額を「生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)」に記載してください。
個人年金保険料の記載はこれで終了です。
生命保険料控除額計の計算
最後に、一般の生命保険料の控除額㋑、介護医療保険料の控除額㋺、個人年金保険料の控除額㋩を合計し、生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)に記載します。(最高額120,000円。)
今まで挙げた例を使用すると、次のような記載になります。
給与所得者の保険料控除申告書
生命保険料控除額
【 計算例 】
□[14] 一般の生命保険料の控除額㋑ 43,306円
□[23] 介護医療保険料の控除額㋺ 40,000円
□[34] 個人年金保険料の控除額㋩ 47,500円
□ ㋑、㋺、㋩を合計し、生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)に記載(最高120,000円)
● 43,306円+40,000+47,500円=130,806円 > 120,000円 ∴ 120,000円 ⇒ 生命保険料控除額計(㋑+㋺+㋩)に記載
生命保険料控除額の記載はこれで終了です。
まとめ
一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料という区分は、保険の商品名と異なる場合があります。控除証明書に記載された保険の区分と「新」、「旧」などの細かい違いに注意しながら、控除額を慎重に計算しましょう。
続きは後日記載致します。