仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合

平成30年-仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合-アイキャッチ2

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こんにちは。税理士のかわべです。

仮想通貨の不正流出事件があり、「仮想通貨に代えて、金銭の補償を受けた」人で「その金銭の補償部分は、非課税所得になるの?」と疑問に思った人もいるでしょう。

この問題について国税庁が新しいタックスアンサー「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合」を公開しました。

『仮想通貨に代えて、金銭の補償を受けた場合に非課税所得になるのか?』という問いに対する国税庁の見解が記載されています。

国税庁の見解は、「

[keikou]雑所得として課税の対象となる[/keikou]

」とのこと。

今日は、仮想通貨についてちょっとだけ記事にしてみました。

[aside type=”yellow”] この記事は平成30年4月23日現在で確認することができる情報に基づき作成されています。法令等の改正があった場合は、取り扱いが異なりますので、ご注意ください。[/aside]

仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合

国税庁が「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて、金銭の補償をした場合のその受けた場合」の税務上の取り扱いについて見解を表明しました。

繰り返しになりますが、国税庁の見解は、「仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合、雑所得として課税の対象となる」ということです。

LINK 国税庁;No.1525 仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合より。太字や背景色は筆者追記。)

[平成30年4月1日現在法令等]

仮想通貨を預けていた仮想通貨交換業者が不正送信被害に遭い、預かった仮想通貨を返還することができなくなったとして、日本円による補償金の支払を受けました。
この補償金の額は、預けていた仮想通貨の保有数量に対して、返還できなくなった時点での価額等を基に算出した1単位当たりの仮想通貨の価額を乗じた金額となっています。
この補償金は、損害賠償金として非課税所得に該当しますか。

一般的に、損害賠償金として支払われる金銭であっても、本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合にこれが賠償されるときは、非課税にならないものとされています。
ご質問の課税関係については、顧客と仮想通貨交換業者の契約内容やその補償金の性質などを総合勘案して判断することになりますが、一般的に、顧客から預かった仮想通貨を返還できない場合に支払われる補償金は、返還できなくなった仮想通貨に代えて支払われる金銭であり、その補償金と同額で仮想通貨を売却したことにより金銭を得たのと同一の結果となることから、本来所得となるべきもの又は得られたであろう利益を喪失した部分が含まれているものと考えられます。
したがって、

[keikou]ご質問の補償金は、非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得として課税の対象となります[/keikou]


なお、補償金の計算の基礎となった1単位当たりの仮想通貨の価額がもともとの取得単価よりも低額である場合には、雑所得の金額の計算上、損失が生じることになりますので、その場合には、

[keikou]その損失を他の雑所得の金額と通算することができます[/keikou]

(所法35、36)

仮想通貨に関するタックスアンサーが発表された背景

このタックスアンサーが公開された背景には、2018年1月に発生した仮想通貨の不正流出事件があります。

(事件については、コインチェック株式会社、東京都渋谷区・・・LINK 公式サイト;コインチェック株式会社会社概要を参照してください。)

[lnvoicer icon=”https://ar-kawabe.com/blog/wp-content/uploads/2015/06/1527_Ako_NC_31.jpg” name=”管理人”]仮想通貨に関連する税務処理の問題は、最近になって取り上げられている問題であり、今後も新しい見解が発表される可能性があると思っています。(かなり偏った私見ですが・・・)

この見解を読み、「ハイリスクとなる投機対象や市場が存在し、そのような投機対象や市場で損害を被った、税務上の救済措置は、期待できない」という姿勢で、仮想通貨の市場に参加しなければいけないな~と改めた感じました。[/lnvoicer]

仮想通貨で損失が発生した場合は、他の雑所得の金額と通算ができる

このタックスアンサーに記載されている事項で、しっかりと確認しておいて欲しいのは、「(仮想通貨で)損失が発生した場合には、他の雑所得の金額と通算ができる」(※)という点です。

※ 事業として仮想通貨を取り扱っている場合は、「事業所得」となります。(下記の国税庁の引用を確認してください。)

(国税庁;No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係より)

[平成29年4月1日現在法令等]

ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。

このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。

(所法27、35、36)

[lnvoicer icon=”https://ar-kawabe.com/blog/wp-content/uploads/2015/06/1527_Ako_NC_31.jpg” name=”管理人”]今回の事象で損失を出した人は、今後、2018年中に雑所得に区分される所得で生じた利益と、損失を相殺することができますが・・・現実としてなかなか難しいですが、チャレンジする人は【GMOコイン】

など、通貨取引業者を変更しても良いかも知れません。[/lnvoicer]

仮想通貨によって生じる利益については、次のPDF等を参考にしてみてください。

LINK 国税庁;仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)(PDF)

おまけ 消費税における「損害賠償金」の取扱い

損害賠償金つながりで、消費税における損害賠償金の取扱について、記載しておきます。

(国税庁;消費税>課税取引・非課税取引>No.6257 損害賠償金より)

No.6257 損害賠償金
心身又は資産に対して加えられた損害の発生に伴って受ける損害賠償金については、通常は資産の譲渡等の対価に当たりません。

ただし、その損害賠償金が資産の譲渡等の対価に当たるかどうかは、その名称によって判定するのではなく、その実質によって判定すべきものとされています。

例えば、次のような損害賠償金は、その実質からみて資産の譲渡又は貸付けの対価に当たり、

[keikou]課税の対象となります[/keikou]

1 損害を受けた棚卸資産である製品が加害者に対して引き渡される場合において、その資産がそのまま又は軽微な修理を加えることによって使用することができるときにその資産の所有者が収受する損害賠償金

2 特許権や商標権などの無体財産権の侵害を受けた場合に権利者が収受する損害賠償金

3 事務所の明渡しが遅れた場合に賃貸人が収受する損害賠償金

(消基通5-2-5)

(平成29年4月1日現在の法令等によっています。)

実務で私が良く目にするのは「1」の棚卸資産に関する損害賠償金。「軽微な修理」についてはあいまいな部分もあるので見解の相違もありそうです。「3」のケースも取り扱ったことがありますが、あまり多くはないです。

被害にあわないのが一番ですよね。

この記事のアイキャッチ画像は、私がブログについて学んでいるBlog Marketing School【BMS】のジュンイチさんが提供している画像を使っています。


■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■

 土日はかなり暑かったので、今日はかなり涼しく感じます。最寄りの駅のそばにツインタワーが完成し、その間を抜けるビル風がとても冷たかったですね。