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こんにちは。税理士のかわべです。
社員旅行の日程、費用、参加者等により社員旅行の費用が従業員の給与等として課税対象となってしまう場合があります。
社員旅行は3つの点に注意して計画を立てましょう。
[aside type=”yellow”]H27.11.2時点で確認できる法令に基づき記載しています。実際に社員旅行を計画する場合は、その時点での法令をご確認ください。[/aside]
参考
参考 国税庁;所得税法基本通達_36-30
参考 国税庁;所得税法基本通達36-30の運用について
参考 国税庁;No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
参考 国税不服審判所;(平22.12.17裁決)
目次 表示
社員旅行の税務上の3つのポイント
社員旅行の費用については、当然に会社の経費になると考えている人が多いかと思います。
しかし、税務上は、会社が従業員のために支払う費用(「経済的利益」)については、『(その従業員の給与として)所得税の課税の対象となる場合がある』という決まり(通達)があるため、「当然に」経費になると考えず、(会社の経費となるための)条件を事前に確認しておく必要があります。
社員旅行や運動会といったレクリエーションの費用については次の通達があります。
LINK 国税庁;所得税法基本通達_36-30
万が一、条件を満たしていないと指摘されると「給与」として社員は源泉所得税の対象となり、役員は「役員賞与」として法人税の計算上、損金に算入できなくなりますので、社員にとっても会社にとっても良くありません。
このような状況にならないために、次の3つのポイントに注意してください。
(①と②は、国税庁;所得税法基本通達36-30の運用についてより)
① 旅行の日数
日本国内の場合 4泊5日以内(海外旅行の場合は、目的地における滞在日数が4泊5日以内)
小規模の企業だと1泊2日、長くても2泊3日ぐらいだと思いますが、業績が好調の場合でも、長くならないようにする必要があります。
② 社員の参加割合
全従業員等の50%以上が参加(※1)
どの企業でも全員参加が原則になるかと思いますが、介護等の理由で参加できない社員が多い場合は、中止も検討した方が良いと思います。
※1 不参加社員に金銭を支給した場合
《 自己都合で不参加 》
参加した社員と不参加の社員、その全員に対してその不参加の社員に対して支給した金銭の額に相当する額の給与の支給があったものとされます。
(国税庁;No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行より)
上記いずれの要件も満たしている旅行であっても、自己の都合で旅行に参加しなかった人に金銭を支給する場合には、参加者と不参加者の全員にその不参加者に対して支給する金銭の額に相当する額の給与の支給があったものとされます。
⇒ 源泉所得税の対象となりますので、参加した社員への影響を考え、金銭を支給しない方が良いでしょう。
《 会社都合で不参加 》
その不参加の社員に対して支給した金銭の額は、給与等として課税されます。(参加者については影響ありません。)
③ 1人当たりの旅費の会社負担金額
10万円程度(※2)
旅費は、様々な事情により増減するので、一概には言えないと思いますが、海外旅行など高額になる場合は、従業員と会社の負担割合に注意してください。
※2 10万円程度について
国税庁のタックスアンサー「No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行 」に記載されている3つの事例から推定した金額です。
社員以外の方が参加する場合
社員旅行は、社員の慰安等を目的に実施される旅行ですので、社員以外の方が参加する場合は、税務上、それは「社員旅行ではない」という指摘を受ける場合があります。
(国税庁;No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行より)
なお、次のようなものについては、ここにいう従業員レクリエーション旅行には該当しないため、その旅行に係る費用は給与、交際費などとして適切に処理する必要があります。
- (1) 役員だけで行う旅行
- (2) 取引先に対する接待、供応、慰安等のための旅行
- (3) 実質的に私的旅行と認められる旅行
- (4) 金銭との選択が可能な旅行
まとめ
中小企業が実施する社員旅行のほとんどは、条件に合致する旅行で税務上は給与として課税されないケースかと思いますが、油断せずに計画時点で3つのポイントをチェックしてください。
■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■
昨日は、全日本大学駅伝を少しだけ見ました。なかなか楽しめました。