平成28年分。サラリーマンが確定申告で医療費控除を受けるための準備

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こんにちは。税理士のかわべです。

今日は、平成28年分の確定申告で医療費控除を受けるサラリーマンの方の事前準備について記載します。(この記事では、申告書の記載方法については説明していません。)

平成29年分の所得税の確定申告について新しい記事を書きました。

関連記事 サラリーマンが平成29年分の所得税の確定申告で医療費控除等の適用を受けるための準備

[aside type=”yellow”]平成29年から「セルフメディケーション税制による特例」制度が始まります。新しい医療費控除に関する明細書のイメージが公開されています。

関連記事 平成29年分の所得税の医療費控除に関する明細書のイメージが公開されました[/aside]

(国税庁;パンフレット「暮らしの税情報」(平成28年度版)より)

医療費控除の準備_12
[aside type=”pink”]この記事は、記事掲載日現在の情報を集めています。実際の申告には、その時点での法令等に従って慎重に申告書の作成作業を進めてください。[/aside]

医療費控除を受けるための準備(サラリーマン対象)

申告書を作成する前の準備

実際に申告書を作成する手続きに入る前に次の準備をしましょう。

[aside type=”boader”]□ 源泉徴収票で源泉所得税の確認

□ 医療費の領収書の整理及び集計表の作成[/aside]

源泉徴収票で源泉所得税の確認

源泉徴収票の「年」を間違えないように

医療費の集計を始める前に、勤務先に交付してもらった源泉徴収票を用意して、源泉所得税の金額を確認しておきましょう。「年」を間違いないようにご注意ください。

平成28年分の確定申告には、平成28年分の源泉徴収票を使います。

[lnvoicer icon=”https://ar-kawabe.com/blog/wp-content/uploads/2015/06/1527_Ako_NC_31.jpg” name=”管理人”]当たり前のようですが、領収書の「年」の違いも含めると、意外と多い間違えです。あわてずしっかり確認しましょう。[/lnvoicer]

源泉徴収税額の確認

源泉徴収票を用意したら「源泉徴収税額」を確認します。

医療費控除による還付は、給与等から天引きされている源泉徴収税額を確定申告によって還付することになるので、源泉徴収税額が「0」のような場合は還付を受けられません。集計作業に入る前に必ず確認しておきましょう。

[aside type=”yellow”]同年に複数の源泉徴収票があるケース。
年の途中で勤務先が変わったり、同時に2ヶ所以上の職場に勤務した場合は、複数の源泉徴収票を持っているというケースもあるかと思います。

この場合は、説明が複雑になってしまいますので、この記事では考慮外としています。

同年に複数の源泉徴収票をがあるケースでは、確定申告によって納付する税額が少なくなる可能性もありますので、ねんのため医療費の集計作業をしておいたほうが良いでしょう。[/aside] [aside type=”pink”]医療費控除は住民税の計算にも影響を与えるため、源泉所得税額が少なくて還付の計算が無意味なようなケース(例えば源泉徴収税額が1,000円以下のようねケース)でも、少しでもご本人の負担する税額を少なくしたい場合は、還付申告をした方が良いかもしれません。(医療費の集計作業や申告書の作成時間、交通費、郵送料などを考慮して、どのように考えるか。判断が難しいところです。)[/aside]

還付を受ける可能性がある場合(ケースA)

上のケースの源泉徴収税額は「72,200」円なので、このようなケースでは、還付を受けられる可能性があります。(医療費の合計額や保険金での補填の状況によっては還付を受けられない可能性もあります。)

次の医療費の領収書の整理及び集計表の作成の手順にすすみます。

還付を受ける可能性がない場合(ケースB)

上のケースの源泉徴収税額は「0」円なので、こちらの方からの所得税の還付の可能性はありません。(収入がこの勤務先1か所の場合です。ほかに収入がある場合は、別途、検討してください。)

医療費の領収書の整理及び集計表の作成

医療費の領収書の整理

医療費の領収書は、一定のルールで集計し、きれいに束ねておくとよいです。独自のルールでかまわないかと思いますが、私は次の区分で集計するようにしています。

[aside type=”boader”]・ 医療を受けた人ごと

・ 医療機関ごと

・ 日付順[/aside]

たとえば、「父、○○病院」で日付順に集計し、付箋をつけて「枚数と合計金額」を記載しておきます。

[aside type=”yellow”]対象となる医療費については、国税庁の次のページを参考にしてみてください。

LINK 国税庁 平成28年 確定申告書等作成コーナー よくある質問>医療費控除の対象となる医療費が知りたい(控除の対象になるか具体例で確認する)

LINK 国税庁;No.1122 医療費控除の対象となる医療費

LINK 国税庁;No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例

LINK 国税庁;No.1126 医療費控除の対象となる入院費用の具体例

[/aside]

医療費の集計(集計表の作成)

医療費の領収書の枚数が少ない場合や申告書を手書きする場合は、集計表も手書きで問題ないと思いますが、領収書の枚数や金額が多くなりそうな場合は、国税庁の「平成28年分確定申告特集」の「医療費控除の準備」の画面からExcelのシートをダウンロードして利用するのがよいと思います。

(国税庁;平成28年分確定申告特集医療費控除の準備より)

関連記事 医療費を集計するなら国税庁が公開する「医療費集計フォーム」が便利

医療費集計の注意点

医療費の領収書等を集計する場合は、次の点に注意しましょう。

医療費を支払った日付

医療費は、平成28年に支払ったものが対象となります。

未払いの場合は次のような取り扱いになります。(国税庁;質疑応答事例>所得税目次一覧未払の医療費より)

医療費控除の対象となる医療費の金額は、その年中に実際に支払った金額に限られており、その年中に治療が終わっている場合であっても、未払となっている医療費は、その年の医療費控除の対象とはなりません(所得税法第73条第1項)。

診察等を受けた医療機関の住所及び名称

医療機関の住所や名称は、領収書に記載されていると思いますが、領収書に記載されていない場合は、調べて記載します。

[lnvoicer icon=”https://ar-kawabe.com/blog/wp-content/uploads/2015/06/1527_Ako_NC_31.jpg” name=”管理人”]※ 移動交通費の場合
私は電車・バス等の公共交通機関を利用してその利用金額を医療費控除の明細に記載する場合は、その公共交通機関の住所を記載していません。医療費控除の対象となるタクシー代の場合は、住所を記載するようにしています。[/lnvoicer]

保険金等で補填されている場合

高額な医療費を支払う手術等で、保険会社等に申請し保険金等を受け取った場合は、医療費の明細書のその保険の対象となる医療費の横に記載する必要があります。

医療費控除の準備_13

保険金等の額が対象となる医療費より多い場合は、支払った医療費と同額を記入することになります。(国税庁;No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)より)

(注) 保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。

その他申告に必要な準備事項

申告書の作成、提出等で必要な準備について記載します。(申告書の記載方法については記載していません。)

還付口座の決定

還付金は、本人名義の銀行口座に還付されます。申告書を作成する段階になったら、還付口座を決めておきましょう。

ネット系の銀行は対応していないものもあるので注意が必要です。

(国税庁;確定申告の時期に多い問い合わせ事項Q&A【税金の還付】>Q43より。)

Q43 還付金の受取りにインターネット専用銀行の口座を指定できますか。
A 預貯金口座への振込みを希望する場合は、原則として、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合、漁業協同組合及びゆうちょ銀行の預貯金口座に振込みが可能です。
ただし、一部のインターネット専用銀行については、還付金の振込みができませんので、振込みの可否について、あらかじめご利用のインターネット専用銀行にご確認ください。

確定申告書を印刷して提出する場合

個人番号カード等について

確定申告書を印刷して提出する場合、平成28年分以降の申告書を提出する際には、マイナンバーカード(個人番号カード)等が必要となります。

[aside type=”pink”]平成28年分以降の申告書を提出する場合は、マイナンバーの記載と本人確認書類の提示(又は写しの提出)が必要です。(国税庁;(社会保障・税番号制度<マイナンバー>についてはこちらから)より)

※ e-Taxで提出する場合には、本人確認書類の提示又は写しの添付は不要です。
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窓口で提出する時に必要な書類等

確定申告書を印刷して提出する場合は、確定申告書やマイナンバーカード(個人番号カード)等のほかに、源泉徴収票、医療費の領収書、印鑑なのども必要となります。

また、前年に確定申告をしている場合は、その申告書の控えもあると税務署等でアドバイスを受ける場合に便利です。さらに、使い慣れたボールペン等もあった方がよいと思います。

[lnvoicer icon=”https://ar-kawabe.com/blog/wp-content/uploads/2015/06/1527_Ako_NC_31.jpg” name=”管理人”]何度も税務署に行くのは大変なので、しっかり準備して提出に行きましょう。私は若かりしころに源泉徴収票を忘れて、2時間ぐらいかけて往復したことがあります。[/lnvoicer]

必要書類は次のページを参考にしてみてください。

(国税庁(関東信越国税局);確定申告の際にご持参いただくものより。赤色の枠囲み部分は、サラリーマンの方が医療費控除の還付申告書を提出する場合に必要な資料です。収入や控除が他にある場合は、必要書類が異なる場合もありますので、ご注意ください。)

[aside type=”yellow”]平成29年分の確定申告について

平成30年1月1日以後に提出する申告書からは、医療費の領収書の添付等が不要になる予定です。

控除を受ける場合は、医療費の明細書又は医薬品購入費の明細書(※)を確定申告書に添付する必要があり、領収書は5年間、保存しなければなりません。

LINK 財務省>平成29年度税制改正大綱(PDF)(リンク切れ)>21ページから

※ 医薬品購入の明細書は「特定一般用医薬品等購入費を支払った場の医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)」という新しい制度で作成する明細書です。私はまだ記事を書いていませんので、税理士の井ノ上先生の記事を参考にしてみてください。

LINK EX-IT>薬で節税!2017年1月からのセルフメディケーション税制の医療費控除との違い・注意点

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e-Taxで電子送信する場合

申告書への添付を省略することができる書類

e-Taxで電子送信する場合は、源泉徴収票や医療費の領収書を申告書へ添付することを省略することができます。(下の画像の赤色の枠囲み部分)

保存の義務はあります。(下の画像の緑色の枠囲み部分。)

e-Taxe-Taxを利用して所得税の確定申告書を提出する場合の「源泉徴収票」や「医療費の領収書」などの第三者作成書類の添付省略の制度について教えてください。より。画像は一部です。画像をクリックすると該当ページが開きます。)

H27_医療費控除_54

電子申告のために必要なもの

次のものも準備してからPCでの作成作業に取り掛かった方が良いでしょう。作成を開始したところ、操作の不明点などがあり、その日に難なく電子送信できるとは限らないのですが、いざ電子送信しようとした時に、次のものがないと困ります。(私の場合、利用者識別番号で困ることが多いですね。)

[aside type=”boader”]・ 利用者識別番号と暗証番号(を記載したもの)

・ 電子証明書(の格納されている個人番号カードなど)

・ ICカードリーダライタ[/aside] [lnvoicer icon=”https://ar-kawabe.com/blog/wp-content/uploads/2015/06/1527_Ako_NC_31.jpg” name=”管理人”]個人番号カードは、申請から受け取りまでに時間がかかるらしいので、住所地の市役所に事前に確認しましょう。[/lnvoicer]


■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■

 土曜日は仕事をしていましたが、日曜日は若干、喉が痛かったのでゆっくりしていました。冴えないサラリーマンのドラマ、刑事と警官のシーンは・・・。