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こんにちは。税理士のかわべです。
この記事では、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の見方について、初心者向けになるべくわかりやすく記載したいと思います。
平成30年分の記事を作成しました。
関連記事 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の見方(平成30年分)
[aside type=”pink”]
この記事は平成29年用です。平成30年は使用する源泉徴収税額表が異なります。
LINK 国税庁;平成30年分 源泉徴収税額表(サイト)
また、扶養親族等の数についても改正があるのでご注意ください。(平成30年分用の記事を執筆中です。)
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関連記事 月額表の見方については → 源泉徴収税額表(月額表)の見方(平成29年分)
関連記事 日額表の見方については → 源泉徴収税額表(日額表)の見方(平成29年分)
(国税庁;賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(PDF)より)
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【 この記事のポイント 】
● 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の見方がわかる
● 賞与のうち給与所得の源泉徴収税額表(月額表)を使用するケースがわかる
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[aside type=”yellow”]
この記事は平成29年11月20日現在の情報に基づき作成しています。法令の改正等があるかも知れませんので、実際に源泉徴収事務を行う場合は、その時点の法令等を良くご確認ください。
なお、この記事では居住者に対して支払う賞与を想定しています。
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[aside type=”pink”](H29.9.13追記)平成30年から配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われたことに伴い、扶養親族等の数の求め方が変更されています。
LINK 平成29年4月 源泉所得税の改正のあらまし(PDF/4,068KB)
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参考
参考 e-Gov法令検索;所得税法(昭和四十年法律第三十三号)、施行日: 平成三十年四月一日、最終更新: 平成三十年三月三十一日公布(平成三十年法律第七号)改正
参考 e-Gov法令検索:所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)、施行日: 平成三十年五月一日、最終更新: 平成三十年三月三十一日公布(平成三十年政令第百三十一号)改正
参考 所得税法基本通達;法第183条《源泉徴収義務》関係
参考 国税庁;No.2502 源泉徴収義務者とは
参考 国税庁;賞与に対する源泉徴収
参考 国税庁;平成29年版 源泉徴収のしかた(サイト)
参考 国税庁;平成29年分 源泉徴収税額表(サイト)
給与所得の源泉徴収税額表とは?
(国税庁;平成29年分 源泉徴収税額表(表紙)PDFより)
給与所得の源泉徴収税額表は、給与や賞与に対する源泉徴収税額を算出する表です。
LINK 国税庁;平成29年分 源泉徴収税額表(サイト)
給与所得の源泉徴収税額表の種類
給与所得の源泉徴収税額表には、次の3種類あり、給与の支払サイクル等によって使う表が異なります。
[aside type=”boader”]
● 月額表
● 日額表
● 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表
[/aside]
この記事では、3種類のうち三番目の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」について取り上げます。
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の対象となる賞与等
「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」は、賞与、ボーナス等に対する源泉徴収税額を計算するために使います。対象となる賞与は、「賞与、ボーナス等の名目で月給等以外に支給されるもの」と考えて問題ありませんが、国税庁のサイトには次のように記載されています。
( 国税庁;賞与に対する源泉徴収より)
この対象となる賞与であっても、次の場合には「給与所得に対する源泉徴収税額表(月額表)(PDF)」を使用してその賞与に対する源泉徴収税額を算出します。
[topic color=”yellow” title=”給与所得の源泉徴収税額表(月額表)を使用するもの”]
□ 前月中に支払うべき給与がない場合
□ 賞与、ボーナス等の金額が前月中の給与の金額の10倍を越える場合
※ 特別な算出方法となります。(算出方法は、この記事の下の方で解説します。)[/topic]
賞与でも「給与所得に対する源泉徴収税額表(月額表)(PDF)」を使用するケースがあるということを覚えておいてください。
[aside type=”pink”]ポイント
賞与に対する源泉徴収税額の計算では「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(PDF)」を使用する場合と「給与所得に対する源泉徴収税額表(月額表)(PDF)」を使用する場合がある。[/aside]
この記事では月給と日給については説明しませんが、それぞれ次のような給与等に「給与所得に対する源泉徴収税額表(月額表)(PDF)」と「給与所得の源泉徴収税額表(日額表)」を使用します。
● 月額表
● 日額表
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の見方
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の基本
(国税庁;賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(PDF)>15~16ページより)
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表は、大きく3つに区分されています。
[aside type=”boader”]
● 「賞与の金額に乗ずべき率」(左端の列)
● 「甲」欄(扶養親族等の数により8つに区分。上の画像の赤色の枠囲み部分。)
● 「乙」欄(上の画像の緑色の枠囲み部分。)
[/aside]
以下、基本的なことを解説していきます。
税額を算出してみる
使い方はある程度、予想できるかと思いますが、ためしに税額を算出してみましょう。
次のような条件を想定しました。
[aside type=”boader”](条件)
□ 前月の社会保険料等控除後の給与等の金額 298,240円
□ 給与所得者の扶養控除等申告書の提出があり、扶養親族等の数は3人
□ 賞与の金額 572,813(社会保険料等控除後の金額)[/aside]
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表では、給与所得者の扶養控除等申告書(以下、この記事では「扶養控除等申告書」とする。)の提出がある場合は、「甲」欄の扶養親族等の数に応じた欄(0人~7人以上までの8区分)から「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が当てはまる行を探して、「賞与の金額に乗ずべき率」を算出します。
(扶養控除等申告書に提出がない場合は、「乙」欄で「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が当てはまる行を探します。)
では、先ほどの条件で税額を算出してみます。
<ステップ1 扶養控除等申告書の提出の有無を確認>
扶養控除等申告書の提出があり、扶養親族等の数が3人ですので、「甲」欄の3人を参照します。(上の画像の緑色の丸囲み部分)
<ステップ2 前月の社会保険料等控除後の給与等の金額が当てはまる行を探す>
前月の社会保険料等控除後の給与等の金額は298,240円ですので、「甲3人」欄から当てはまる行を探します。
→ 「295千円以上、345千円未満」の行(上の画像の緑色の枠囲み部分)になります。
<ステップ3 「賞与の金額に乗ずべき率」(算出率)を確認>
ステップ2で探した行の一番左端の「賞与の金額に乗ずべき率」欄を確認します。
この例では「4.084%」になります。(上の画像の赤色の枠囲み部分)
<ステップ4 源泉徴収税額を計算>
最後に賞与の金額にステップ3で求めた税率を乗じますが、この場合の賞与の金額は、社会保険料等控除の金額となります。
[aside type=”boader”]572,813円×4.084% =23,393.6829⇒23,393円(1円未満の端数切捨て)[/aside]
税額を算出するために必要な事項
上記の例で税額を算出するためのイメージはつかめたかと思いますが、賞与に対する源泉徴収税額を算出するには、賞与を支給する従業員について次の3つの事項を確認しておかなければいけません。
[aside type=”yellow”]
□ 前月の社会保険料控除後の給与等の金額はいくらか?
□ 甲欄、乙欄のいずれに該当するか?甲欄に該当する場合、扶養親族等の数は何人になるか?
□ 社会保険料控除後の賞与の金額はいくらか?
[/aside]
このうち「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」については、注意点が多いので次のパラグラフで解説します。
扶養親族等の数については、次の記事を参照してください。
前月の社会保険料等控除後の給与等の金額とは?
「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」とは、前月の給与の金額(非課税通勤手当を除く)から(前月の)健康保険、厚生年金、雇用保険等の社会保険料等を控除した金額ですが、前月に給与の支払がないというケースもありますので、注意が必要です。
前月の給与明細書で確認
簡易的な給与明細書をExcelで再現してみました。
上の画像のA「課税支給額合計」(赤丸)からB「社会保険料合計」(緑丸)を差し引いた金額が「社会保険料等控除後の給与等の金額」になります。(黄色の背景色の金額)
残業手当や社会保険料の控除額によって毎月変わる可能性がありますので、「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」も毎月一定ではありません。
7月に賞与を支給する場合は6月の給与明細書を、12月に賞与を支給する場合は11月の給与明細書を確認することになります。
[aside type=”pink”]ポイント
非課税通勤費を「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」に含めないこと。
※ 上の画像の例では「課税支給合計」(非課税通勤費を加算する前の金額)から「社会保険料合計」を差し引いて「その月の社会保険料控除後の金額」を算出しています。
[/aside]
支給期が月の整数倍になっている場合
給与の支給期が月の整数倍になっている場合は、次のように考えます。(これは、非常勤役員等の半年俸などの稀なケースを想定していると考えられます。)
(国税庁;賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(PDF)>注意書き5より)
その人の受ける給与等の支給期が月の整数倍の期間ごとと定められているときは、その賞与の支払の直前に支払を受けた若しくは支払を受けるべき給与等の金額又はその給与等の金額から控除される社会保険料等の金額をその倍数で除して計算した金額を、それぞれ前月中の給与等の金額又はその金額から控除される社会保険料等の金額とみなします。
つまり、6か月ごとに給与等を支給していれば、賞与を支給する直前に支払った給与等と控除した社会保険料等をそれぞれ6で除して計算した金額で賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」とみなすことなります。
いろいろな計算例
いろいろなケースを想定して源泉徴収税額を計算してみます。
扶養親族等の数が8人以上になるケース
かなり珍しいケースですが、扶養親族等の数ば8人以上になることがあります。その場合は「7人以上」の欄を参照します。
毎月(日)の給与については、扶養親族等の数が8人以上になった場合には特殊な計算方法があります。次の記事で確認してみてください。
関連記事 月額表の見方については → 源泉徴収税額表(月額表)の見方(平成29年分)
関連記事 月額表の見方については → 源泉徴収税額表(日額表)の見方(平成29年分)
乙欄を参照する場合
扶養控除等申告書を提出していない従業員について賞与を支給する場合は、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の「乙」欄を参照します。
(国税庁;賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(PDF)を一部加工しています。)
計算例)扶養控除等申告書の提出がなく、前月の社会保険料等控除後の給与等の金額 50,000円のケース
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の乙欄を参照し、50,000円が当てはまる行を探します。239,000円(239千円)未満に該当しますので、賞与の金額に乗ずべき率は10.210%となります。(上の画像の赤色の丸囲み部分)
半年俸を支給する役員等に賞与を支給する場合
半年俸を支給している役員等に賞与を支給する場合の源泉徴収税額の計算例をみてみます。
(国税庁;賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(PDF)を一部加工しています。)
計算例)
[aside type=”boader”](条件)
□ 扶養控除等申告書の提出なし
□ 半年俸 2,400,000万円(控除すべき社会保険料等は0円)
□ 社会保険料等控除後の賞与の金額 800,000円(賞与の計算期間は半年とする)[/aside]
[aside type=”boader”](計算過程)
イ 2,400,000÷6-0÷6=400,000円(前月の社会保険料等控除後の給与等の金額とみなす金額)
ロ 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の乙欄で400,000円が当てはまる行を探す。「296千円以上、528千円未満」(上の画像のピンク色の枠囲み部分)
ハ 算出率を確認。30.630%(上の画像の赤色の丸囲み部分)
二 800,000円×30.630%=245,040円[/aside]
賞与の支払時に給与所得の源泉徴収税額表(月額表)を使用する場合
次に賞与の支給で給与所得の源泉徴収税額表(月額表)(PDF)を使用して源泉徴収税額を算出する例を確認しておきます。
前月の給与の金額の10倍を超える賞与を支払う場合と、前月の社会保険料控除後の給与等の金額がない場合は、給与所得の源泉徴収税額表(月額表)(PDF)を使用して賞与に対する源泉徴収税額を算出します。
前月の給与の金額の10倍を超える賞与を支払う場合
前月の社会保険料控除後の給与等の金額の10倍を超える賞与(社会保険料等を差し引いた金額)を支払う場合の賞与に対する源泉徴収税額の算出方法は次のとおりです。
( 国税庁;賞与に対する源泉徴収より)
具体的な計算例
計算例)
[aside type=”boader”](条件)
□ 扶養控除等申告書の提出あり
□ 扶養親族等の数 2人
□ 前月の社会保険料等控除後の給与等の金額 213,250円
□ 社会保険料等控除後の賞与の金額 2,181,135円(賞与の計算期間は半年とする)[/aside]
[aside type=”boader”](計算過程)
(10倍超の確認)2,361,135>2,132,500円(213,250×10)
(源泉徴収税額の確認)
イ 2,361,135÷6=393,522.5 → 393,522円(「(賞与から社会保険料等を差し引いた金額)÷6」)
ロ 393,522+213,250=606,772円(「イ+(前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額)」)
ハ 606,722円を給与所得の源泉徴収税額表(月額表)の甲欄2人に当てはめると税額は35,270円
二 35,270-2,030(※)=33,240円(「ハ-(前月の給与に対する源泉徴収税額))
※ 前月の源泉徴収税額・・・213,250円を給与所得の源泉徴収税額表(月額表)に当てはめ2,030円
ホ 33,240×6=199,440円(「二×6」)[/aside]
前月に給与等を支払っていない場合
前月中に給与等の金額がない場合の賞与に対する源泉徴収税額の算出方法は次のとおりです。
( 国税庁;賞与に対する源泉徴収より。一部加工しています。)
具体的な計算例
計算例)
[aside type=”boader”](条件)
□ 扶養控除等申告書の提出あり
□ 扶養親族等の数 0人
□ 前月の社会保険料等控除後の給与等の金額 なし
□ 社会保険料等控除後の賞与の金額 532,523(賞与の計算期間は半年とする)[/aside]
[aside type=”boader”](計算過程)
イ 532,523÷6=88,753.833 → 88,753円(「(賞与から社会保険料等を差し引いた金額)÷6」)
ロ 88,753円を給与所得の源泉徴収税額表(月額表)の甲欄0人に当てはめると税額は130円
ハ 130×6=780円(「ロ×6」)
[/aside]
源泉徴収税額表の準備
源泉徴収税額表は、年末に年末調整資料と一緒に新しい税額表が送られてきますが、国税庁の次のページからダウンロードすることもできます。PDF版のLINKを貼りましたが、Excel版もあります。
(国税庁;平成29年分 源泉徴収税額表(サイト)より)
■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■
ここ数日、関東はかなり寒くなりました。所得税の基礎控除が拡大されるかも知れませんね。103万の壁も変更されるかな。