給与所得(月給)の源泉徴収税額の具体例【令和2年分】

令和2年分-給与(月給)に対する源泉税(具体例)-アイキャッチ

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給与所得(月給)の源泉徴収税額の具体例(原則的な求め方(※1)により算出した例)をまとめてみました。

※1 「月額表の甲欄を摘要する給与等に対する税額の電算機計算の特例」を利用する場合には、この原則的な方法と異なる結果となります。 LINK 国税庁;【電算機計算の特例】月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例について(令和2年分)(PDF/211KB) PDF
源泉徴収税額表(月額表)の基本的な見方は、次の記事を参考にしてください。 関連記事 給与所得の源泉徴収税額表(月額表)の見方(令和2年分)
扶養親族等の数え方は、次の記事を参考にしてください。 関連記事 扶養親族等の数の数え方
この記事は令和2年7月20日時点で確認することができる情報に基づき作成しています。法令等の改正があった場合は、記事の内容とは異なる取り扱いとなる場合もありますので、最新の法令等をご確認ください。

給与所得(月給)の源泉徴収税額の具体例(甲欄の場合)

給与所得(月給)の源泉徴収税額の求め方を具体的な例を使って説明していきます。最初に「甲」欄に該当するケースについて確認します。

例1「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が88,000未満のケース

(条件) ● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が88,000円未満 ● 扶養控除等申告書の提出があり、扶養親族等の数は0人
甲欄、88,000円未満のケース
令和2年分-給与(月給)に対する源泉税(具体例)-11

給与を受け取る従業員が甲欄に該当し「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が88,000円未満のケースでは、源泉徴収税額表に記載された数値を参照して源泉徴収税額を算出します。

この条件のケースでは「0」円となります。(上の画像の赤色の丸囲み部分)

また、扶養親族等の数が1人以上になっても「0」円となります。(上の画像のピンク色の枠囲み部分)

例2「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が88,000以上、740,000円以下のケース

(条件) ● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が322,000円 ● 扶養控除等申告書の提出があり、扶養親族等の数は4人
甲欄、88,000円以上、740,000円以下のケース
令和2年分-給与(月給)に対する源泉税(具体例)-16

給与を受け取る従業員が甲欄に該当し「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が88,000円以上、740,000円以下のケースでは、源泉徴収税額表に記載された税額を参照して源泉徴収税額を算出します。

この条件のケースでは、上の画像のとおり「2,750」円となります。(上の画像の赤色の丸囲み部分部分)

例3「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が74万円超のケース

(条件) ● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が755,500円 ● 扶養控除等申告書の提出があり、扶養親族等の数は2人
甲欄、74万円を超えるケース
令和2年分-給与(月給)に対する源泉税(具体例)-13

給与を受け取る従業員が甲欄に該当し「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が74万円を超える(※2)ケースでは、源泉徴収税額表に従い一定の算式による計算によって源泉徴収税額を算出します。

※2 令和元年(平成31年、2019年)までは、86万円を超えると一定の算式による計算によって源泉徴収税額を算出していましたが、令和2年から給与所得控除額と基礎控除の改正があったことにより、74万円が区切りの金額となりました。

上記の(条件)のケースでの計算方法は次のとおりです。

(a) 740,000円の扶養親族等の数2人の税額 60,450円 (b) 740,000円を超える金額に対する税額(計算方法は上の画像の赤色の枠囲み部分) (755,500740,000)×20.42%=3,165.1円→3,165円 (c) 算出する税額 (a) + (b) = 63,615

例4 扶養親族等の数が8人以上になるケース

かなり珍しいケースですが、給与を受け取る従業員が甲欄に該当し扶養親族等の数ば8人以上になるケースでは、つぎのように算出します。

扶養親族等の数が8人以上になるケース
(7ページの『(備考)1』より)
⑴ まず、その人のその月の給与等の金額から、その給与等の金額から控除される社会保険料等の金額を控除した金額を求めます。
⑵ 次に、扶養控除等申告書により申告された扶養親族等(扶養親族等が国外居住親族である場合には、親族に該当する旨を証する書類が扶養控除等申告書に添付され、又は当該書類が扶養控除等申告書の提出の際に提示された扶養親族等に限ります。)の数が7人以下である場合には、⑴により求めた金額に応じて「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄の該当する行を求め、その行と扶養親族等の数に応じた甲欄の該当欄との交わるところに記載されている金額を求めます。これが求める税額です。
 ⑶ 扶養控除等申告書により申告された扶養親族等の数が₇人を超える場合には、⑴により求めた金額に応じて、扶養親族等の数が7人であるものとして⑵により求めた税額から、扶養親族等の数が7人を超える1人ごとに1,610円を控除した金額を求めます。これが求める税額です。 (以下、省略)
(国税庁;令和2年分 源泉徴収税額表給与所得の源泉徴収税額表(月額表)(1から7ページ)PDF7ページ より。令和2年7月20日引用。背景色等は筆者追記。)

次のような条件を想定してみました。

(条件) ● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が452,000円 ● 扶養控除等申告書の提出があり、扶養親族等の数は9人
扶養親族等の数が8人以上になるケース
令和2年分-給与(月給)に対する源泉税(具体例)-15

上記の(条件)のケースでの計算方法は次のとおりです。

(d) 「扶養親族等の数が7人であるもの」として求めた税額 3,290円(上の画像の赤色の丸囲み) (e) 扶養親族等の数は9人ですので、7人を超える2人分 3,220円(2×1,610円) (f) 算出する税額 (d) - (e) = 70

給与所得(月給)の源泉徴収税額の具体例(乙蘭の場合)

次に「」欄を参照するケースを確認します。

例5「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が88,000円未満のケース

(条件) ● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が50,000円 ● 扶養控除等申告書の提出はなし

給与を受け取る従業員が乙欄に該当し「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が88,000円未満のケースでは、一定の率「3.063%」をかけて算出します。(下の画像の赤色の枠囲み部分)

乙欄、88,000円未満のケース
令和2年分-給与(月給)に対する源泉税(具体例)-17-1

上記の(条件)のケースでの計算方法は次のとおりです。

50,000円×3.063%=1,531.5→1,531

例6「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が88,000以上、740,000円以下のケース

(条件) ● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が600,000円 ● 扶養控除等申告書の提出はなし
乙欄、88,000円以上、740,000円以下のケース
令和2年分-給与(月給)に対する源泉税(具体例)-19

給与を受け取る従業員が乙欄に該当し、その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が88,000円以上、740,000円以下のケースでは、源泉徴収税額表に記載された金額を参照して源泉徴収税額を算出します。

この条件のケースでは、源泉徴収税額は「197,800」円となります。(上の画像の赤色の丸囲み部分部分)

例7「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が74万円超のケース

(条件) ● その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が1,200,000円 ● 扶養控除等申告書の提出はなし
乙欄、74万円を超えるケース
令和2年分-給与(月給)に対する源泉税(具体例)-20

給与を受け取る従業員が乙欄に該当し、その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が74万円を超えるケースでは、源泉徴収税額に従い一定の算式による計算で源泉徴収税額を算出します。

上記の(条件)のケースでの計算方法は次のとおりです。(計算式は、上の画像の赤色の枠囲み部分)

259,800+(1,200,000-740,000)×40.84%=447,664

従たる扶養控除等申告書の提出があった場合

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に似た申告書で「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」という申告書があります。この申告書の提出があった場合の税額の算出方法については、次の記事を参考にしてみてください。

関連記事 2か所の勤務先から給与の支払いを受ける場合の従たる給与についての扶養控除等申告書


■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■

コロナの感染者数が増加傾向にあるので、在宅勤務をしています。モニターを見ている時間が長くなり、視力が落ちた気がする。