給与所得者の扶養控除等(異動)申告書とは?【令和2年分】

令和2年分-扶養控除等申告書とは?-アイキャッチ

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こんにちは。税理士のかわべです。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」っ何でしょうか?何のために提出するのでしょうか?

住所、生年月日、個人番号(マイナンバー)(※1)など本人のみならず家族の個人情報を記載するため、提出したくないと考えている人もいるのではないでしょうか?

また、独身で扶養している人がいない人は、「提出する必要があるの?」と疑問に思っているかも知れません。

今日は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」について、説明します。

※1 個人番号(マイナンバー)については、すでに会社に提出済みの場合など一定の要件を満たせば、記載を省略できる取扱もありますので勤務先に確認しましょう。

この記事でわかること

● 扶養控除等(異動)申告書をなぜ提出するのか?

この記事は令和元年10月14日時点の情報に基づき作成しています。法令等の更新があった場合は、記事内容と取り扱いが異なることもあります。ご了承ください。

 

参考 国税庁;令和2年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 PDF

参考 国税庁;《記載例》令和2年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の記載例 PDF

参考 国税庁;令和元年分 年末調整のしかた Web

参考 国税庁;年末調整がよくわかるページ(記事掲載日時点 未公開)

参考 国税庁;源泉所得税関係

※ 平成28年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(FPD)
参考 国税庁;平成28年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(PDF)


給与所得者の扶養控除等(異動)申告書とは?

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(以下、この記事では「扶養控除等申告書」と記載します。)とは、何でしょうか?何のために提出して、会社(勤務先)は、何に利用しているのでしょうか?

ざっくりと回答を書くと「扶養控除等申告書は、給与・賞与等の支払を受けるときに控除される源泉徴収税額の算出」に利用されています。つまり、源泉徴収税額を算出するために提出しているのです。

扶養控除等申告書の提出の有無や記載内容が、毎月(毎日)の給与や賞与から天引きされる源泉徴収税額の算出に影響を与えるのです。

この記事は、詳しい税額の算出方法については触れませんので、次の記事を参考にしてみてください。

 

何を記載して、申告しているのか?

令和2年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

令和2年分-扶養控除等申告書とは?-11

扶養控除等申告書は、給与の支払いを受ける人が自分の「家族の状況」を記載して申告するものです。

これは、源泉徴収税額を計算する場合に、「収入のない(又は少ない)家族を養っているかどうか?(源泉控除対象配偶者控除対象扶養親族はいるか?)」、「障害者に該当する家族がいるか?」などを考慮して算出しているからです。

つまり扶養控除等申告書は、源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族、障害者控除などを記載するための書類となります。

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申告書を提出しないとどうなるのか?

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、「……給与等の支払を受ける居住者は、その給与等の支払者……(中略)……に提出しなければならない。」(※)となっているので、勤務先1か所に提出しなければなりませんが、2社同時に勤務している場合、両方に提出することはできません。

申告書を提出しなかった勤務先での源泉徴収税額の算出はどうなるのでしょうか?

提出しなかった場合は、給与から天引きされる源泉徴収税額が、提出した場合と比較して高くなります

ただし、一年間の税額は、確定申告で2社を合算して再計算されるため、1か所で勤務している人と所得や控除等の状況が同じであれば、年税額は同じになります。(あくまで、毎月の給与や賞与から天引きされる源泉徴収税額に差が生じるだけです。)

なお、2か所目の勤務先に「給与所得者の従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」を提出することができますが、要件が厳しいので提出している人は少ないかと思います。次の記事を参考にしてみてください。

※ 所得税法(昭和四十年法律第三十三号。施行日:令和元年七月一日。第194条第1項。令和元年10月14日引用。

 

おまけ(提出先、記載内容に異動があった場合など)

扶養控除等申告書は会社(勤務先)に提出していますが、本来の提出先は別になります。ちょっとだけ触れておきます。

 

扶養控除等申告書の提出先

扶養控除等申告書の提出先について確認しておきます。

これは、勘違いしている人も多いかと思いますが、扶養控除等申告書は「給与等の支払者を通じて、(その給与等の支払者の)所轄税務署長に提出」しなければなりません

扶養控除等申告書については、所得税法194条に定められています。以下、194条の一部を引用しておきます。

所得税法 第194条

(給与所得者の扶養控除等申告書)
第百九十四条 国内において給与等の支払を受ける居住者は、その給与等の支払者(その支払者が二以上ある場合には、主たる給与等の支払者)から毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日までに、次に掲げる事項を記載した申告書を、当該給与等の支払者を経由して、その給与等に係る所得税の第十七条(源泉徴収に係る所得税の納税地)の規定による納税地(第十八条第二項(納税地の指定)の規定による指定があつた場合には、その指定をされた納税地。以下この節において同じ。)の所轄税務署長に提出しなければならない。
(以下、略)

(e-Gov法令検索;所得税法>194条より。令和元年10月14日引用。背景色は筆者追記。)

 

しかし、実際には提出を求められた場合に税務署長に提出し、それまでは勤務先が保管しています。

このことは、所得税法施行規則76条の3に規定があります。以下、76条の3を引用しておきます。

所得税法施行規則 第76条の3

(給与所得者の源泉徴収に関する申告書の保存)
第七十六条の三 法第百九十四条から第百九十六条まで(給与所得者の源泉徴収に関する申告書)に規定する給与等の支払者がその給与等の支払を受ける居住者から受理したこれらの規定による申告書(法第百九十八条第二項(給与所得者の源泉徴収に関する申告書の提出時期等の特例)の規定の適用により当該給与等の支払者が提供を受けた当該申告書に記載すべき事項を含む。以下この条において「申告書等」という。)は、これらの規定に規定する税務署長が当該給与等の支払者に対しその提出を求めるまでの間、当該給与等の支払者が保存するものとする。ただし、当該申告書等に係るこれらの規定に規定する提出期限の属する年(法第百九十五条第一項(従たる給与についての扶養控除等申告書)の規定による申告書(法第百九十八条第二項の規定の適用により当該給与等の支払者が提供を受けた当該申告書に記載すべき事項を含む。)にあつては、当該申告書を法第百九十五条第一項に規定する従たる給与等の支払者が受理した日(法第百九十八条第二項の規定の適用がある場合には、当該申告書に記載すべき事項を当該従たる給与等の支払者が提供を受けた日)の属する年)の翌年一月十日の翌日から七年を経過する日後においては、この限りでない。

(e-Gov法令検索;所得税法施行規則>76条の3より。令和元年10月14日引用。背景色は筆者追記。)

 

扶養控除等申告書の提出期限、異動があった場合

次に扶養控除等申告書の提出期限について確認しておきます。

扶養控除等申告書は「毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日までに」提出しなければなりません。

実務では、継続的に勤務している人は、年末に翌年分(平成30年の年末に平成31年(2019年)分)を提出するのが慣例になっています。新入社員は、原則として入社の時に提出します。

 

また、扶養控除等申告書の記載内容に異動があった場合はどうするのでしょうか?

異動があった場合は「異動後最初に給与等の支払を受ける日の前日まで」に給与等の支払者にその旨を申告しなければならないと規定されています。

これも、所得税法194条に規定されています。

所得税法 第194条

2 前項の規定による申告書を提出した居住者は、その年の中途において当該申告書に記載した事項について異動を生じた場合には、同項の給与等の支払者からその異動を生じた日後最初に給与等の支払を受ける日の前日までに、その異動の内容その他財務省令で定める事項を記載した申告書を、当該支払者を経由して、その給与等に係る所得税の第十七条の規定による納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
(以下、略)

(e-Gov法令検索;所得税法>194条より。令和元年10月14日引用。背景色は筆者追記。)

 


■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■

 週末は台風で動けなかったので、家で仕事をしていました。しかし、台風情報が気になってあまり集中できなかったですね。