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こんにちは。税理士のかわべです。
年末調整で意外と多いミスは「給与所得」の金額です。「給与所得」の金額は、源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族、基礎控除、配偶者(特別)控除などなど、判定に使うことが多く、ミスが残念な結果につながるケースもあります。
日常的には「給与所得」という言葉を「給与として得た金額」として使っている人が多いかと思いますが、税額を計算する場合の給与所得は『給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出』した金額となるため、給与収入を一覧表への当てはめたり(※)、ちょっとした計算をして給与所得を算出するひと手間が必要となります。
この記事では、令和3年分の給与所得の計算方法について触れます。
※ 給与等の収入金額が660万円未満の場合は『所得税法別表第五』を利用して算出することになります。(e-Gov法令検索;所得税法より。)
記事のなかでも触れますが、この「給与所得」の金額は、次の国税庁の公式サイトを利用して計算することもできます。
■ LINK 国税庁;No.1410 給与所得控除 web
この記事は令和3年11月11日時点で確認することができる法令等に基づき作成しています。 法令の改正、Webサイトの更新等があった場合は、この記事内容とは取り扱いが異なることもありますので、ご了承ください。
● 参考 国税庁;No.1410 給与所得控除 web
● 参考 国税庁;令和3年分 年末調整のしかた(PDF) PDF
● 参考 国税庁;令和3年分 年末調整のしかた web
● 参考 e-Gov法令検索;所得税法(昭和四十年法律第三十三号)、施行日:令和三年四月一日(令和三年法律第十一号による改正) web
給与所得の金額
繰り返しになりますが、給与所得は『給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出』します。ただし、給与等の収入金額が年660万円未満の場合は『所得税法別表第五』(e-Gov法令検索;所得税法より)により給与所得を算出します。
給与所得を計算するには給与所得控除額を計算しなければなりませんので、次に給与所得控除額について触れておきます。
(『所得税法別表第五』(e-Gov法令検索;所得税法より)については、のちほど触れますが、「(660万円未満の)給与等の収入金額」に対する「給与所得」を一覧表にしたものなので、給与所得控除額は掲載されていません。)
給与所得控除額
給与所得控除額の計算方法
給与所得控除額は、引用の画像のとおり、収入金額に応じて計算式が決まっているので、それに従って計算します。年によって異なりますので、該当する年の表や計算式を使いましょう。令和3年分は令和2年分と同じ計算式になります。
しかし、実務では、給与所得控除額を計算する機会はほとんどなく、 給与所得(給与収入から給与所得控除額を差し引いた金額)を直接求めます。660万円未満の給与等の収入金額では『所得税法別表第五』(e-Gov法令検索;所得税法より)により、660万円以上の給与等の収入金額では『速算表』により給与所得を算出することになります。
次に給与所得の求め方を説明します。
給与所得の求め方 (660万円未満の場合)
具体例で解説していきます。
しつこいようですが、給与の収入金額が660万円未満の場合は、『所得税法別表第五』(e-Gov法令検索;所得税法より)により給与所得の金額を求めます。e-Gavの法令検索で所得税法を検索すると、所得税法別表第五が次の画像のように表示されました。
所得税法 別表第五
上の画像(e-Gov法令検索)のPDFファイルをクリックすると次の画像のようなPDFファイルが表示されました。(ためしに(六)をクリックしてみました。)
所得税法 別表第五の(六)の一部
この『所得税法別表第五』(e-Gov法令検索;所得税法より)には、給与所得控除額の掲載はなく、給与所得から給与所得控除を差し引いた金額を「給与所得控除後の給与等の金額」と記載しています。(つまり、給与所等控除額を求める表ではなく、給与所得を直接、求める表です。)
以下の具体例では、e-Gov法令検索の画面よりも国税庁の「令和3年分 年末調整のしかた(PDF) PDF」に掲載されている表がカラーで読みやすいので、その表で確認してみます。
算出例 給与収入が4,586,200円の場合(660万円未満のケース)
(給与収入が660万円未満の場合)
例)令和3年分の給与収入が4,586,200円のケース
国税庁の「令和3年分 年末調整のしかた>令和3年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表PDF」で4,586,200円が当てはまる行を探します。
【給与所得】上の画像のとおり、4,586,200円は、『4,584,000円以上、4,588,000円未満』の行に該当するため、給与所得控除後お給与等の金額(給与所得)は3,227,200円となります。
給与所得の求め方(660万円以上の場合)
給与の収入金額が660万円以上の場合は、次の速算表にを使って給与所得を求めます。
給与所得の金額の速算表
給与収入が660万円以上
算出例 給与収入が8,125,358円の場合(660万円以上のケース)
例)令和3年分の給与収入が8,125,358円のケース
8,125,358円は、上の画像の『6,600,000円以上 8,500,000円未満』の行に該当するため、給与所得は次のとおりとなります。
【給与所得】8,125,358円×90%-1,100,000円=6,212,822.2
……6,212,822円(円未満端数処理切捨て)
給与所得の金額(国税庁の公式サイト等で算出する方法)
給与所得の金額は、国税庁の公式サイト等で算出することができます。
■ LINK 国税庁;No.1410 給与所得控除
さきほどの「8,125,358」円の給与収入金額を計算してみました。
給与所得の計算
上の画像のとおり、手計算と同じく給与所得の金額は「6,212,822」円となりました。
※ 令和3年分の確定申告の手引きは、記事掲載日時点では、公開されていないため、省略いたします。
■□◆◇ 編集後記 ◇◆□■
年末調整の準備をしつつ、古い書類などを処分。来年1月1日から改正される電子帳簿保存法の準備も徐々に進めています。